介護施設において、看護師の安定的な確保は大きな課題の1つです。一般的な企業と違って、介護施設の多くは人事担当部門を設置しておらず、募集から面接までを施設長が担っているケースも多く、相当な負担を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな介護施設の看護師採用における“落とし穴”について、医療・福祉分野を専門に人事の総合アドバイザーをされている株式会社エンブライト代表取締役社長の中島 恵里さんににお話を伺いました。
看護師採用がうまくいかない施設に共通する特徴
――採用がうまくいかない施設に共通する特徴はなんでしょうか
エンブライトでは、医療・介護・福祉業界に特化した人事採用支援として多くの法人、施設様の支援を行っています。採用がうまくいかない施設の特徴として、以下の3点が多くみられます。
・条件や待遇面などの施設の魅力を伝えきれていない
・職場の様子や雰囲気が伝わっていない
・夜間オンコール待機がある
今回はこの3点について、「なぜうまくいかないのか」「どうすればいいのか」についてご説明します。
条件・待遇面の積極開示で施設の魅力を伝えましょう
――条件・待遇の記載・情報開示で気を付けるべきところはなんでしょうか？
求人側と同じように、求職者側も、職種×施設形態×エリアで給与データ（相場）を分析しています。給与の高い安いも大切ですが、手当ての内訳などを詳しく載せるのも求職者の安心材料になります。
――金銭面以外で重視されているポイントはありますか？
休日についての記載も重視されています。「4週8休」しか書いていなく、年間休日がわからない、などは求職者にマイナスな印象を与えてしまいます。
求職者は職場の雰囲気を知りたがっている
――最近の求人媒体は、動画や写真が多く見られますが、重要性はいかがでしょうか？
最近は「職場の様子・雰囲気」が重要視されています。待遇面も大切なのですが、求職者の方も「できれば長く働きたい」と思ってる方が多いです。
職場の様子がわかる、動画や写真、働いている方のインタビューなどで判断する方が多いようです。動画や写真が流行る前は、職場の様子・雰囲気は「働いてみないとわからない」でした。今は、動画や写真の掲載は応募の率が上がる傾向にありますね。あとは、職員のインタビューも有効です！面接時や入職時に「採用ページのインタビュー読みました！」なんて言われたら話もしやすいですね。
「夜間体制」はライフステージの変化を想定した環境づくりを
――夜勤や夜間オンコール待機などの夜間体制についてはいかがでしょうか？
夜勤や夜間オンコール待機の有無については、採用に大きく影響します。看護師は９割が女性です。結婚・出産などライフステージが変わることによって、働き方も変わってきます。子育て中の看護師さんは夜間対応が難しいこともありますし、そうでなくても夜間に電話に出られるように、お酒を飲めなかったり遠出ができなかったりするのは負担ですよね。
すぐには結婚や出産の予定がない方でも「夜勤なし・オンコールなし」で探していることが多いです。ライフステージにあわせた働き方の選択肢がある施設は人気がありますね。
採用成功の秘訣を「とにかく求人の“面”を広げること、無料から有料媒体まで積極的に掲載することです」と語る中島さん。次回は「看護師の採用が成功している施設の特徴」について伺います。9月上旬に配信いたしますので、お楽しみに！
「オンコールなし」で募集して看護師の採用に成功した事例はこちら
中島恵里（なかしまえり）さん
株式会社エンブライト 代表取締役社長
鹿児島大学理学部卒。
新卒でメーカーに就職、人事に携われる仕事に従事したいと考え、2018年まで約4年間ティスメ株式会社（現：株式会社トライトキャリア）にて医療・福祉従事者の就職を支援。
関東県内の病院・施設へ赴き面接や見学に同席する中で、「受け身」の採用となっており、高い手数料を払って紹介会社から採用する前に、人事部の広報活動に注力できていない法人様が多く、また、実際に施設へ行くと、ホームページなどの情報だけでは分からない、法人の魅力が多くあり、求人PRが整っておらず「もったいない」と感じた。
そこで、採用フローの見直しなど採用課題を解決し、次々と応募が来る「自社採用」の構築を支援する株式会社エンブライトを創業。
株式会社エンブライト Webサイト
