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特養の入所申込者 61.8%が「2か所以上に申し込み」 42.1%が「入所まで半年以上」

厚生労働省老健局高齢者支援課が昨年末に発表した令和7年(2025年)度の「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」によると、2025年4月1日時点で特養への入所申し込み待機中の人は全国で20.6万人いたことがわかっています。前回調査である令和4年(2022年)度の25.3万人からは減少しているものの、依然として特養では入所待機者の多さが大きな問題となっています。

この入所待機中に入所希望本人や家族はどのような状況に置かれているか、気になっている人も少なくないでしょう。

そうした中で株式会社Speee(本社・東京都港区)は、特養への入所経験がある本人やその家族586名を対象にした「特養の入所実態に関する調査」の結果を公表しました。申し込みから入所までに半年以上待機したケースが4割を超え、その間、多くの家族が仕事と介護の両立という厳しい局面に直面している実態が明らかになりました。今回はこの内容を解説します。

調査は2026年5月にインターネットによるアンケート調査として実施されました。回答自体は1,000人にスクリーニング調査を行い、このうち特養への入所経験がある本人・そのご家族586人の回答を集計したものです。

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申し込みから入所まで 「半年以上」42.1%「1年以上」22.9%

調査結果によると、特養への申し込みから入所までの待機期間は、「1ヵ月未満」が16.6%、「1~3ヵ月未満」が24.4%、「3~6ヵ月未満」が16.9%、「6ヵ月~1年未満」が19.3%、「1~2年未満」が10.9%、「2~3年未満」が6.5%、「3年以上」が5.5%という結果でした。

「1~3ヵ月未満」が調査結果内のボリュームゾーンですが、集計すると「半年以上」が42.1%に達し、「1年以上」におよんだ割合も22.9%にのぼりました。かつてから社会問題と指摘されている特養の「入所順番待ち」の長期化が、改めて具体的な数値として裏付けられた形です。

申し込んだ特養の施設数は「1カ所」が38.2%、「2カ所」が27.5%、「3カ所」が20.1%、「4カ所」が6.1%、「5カ所」が2.9%、「6カ所以上」が5.1%。2カ所以上に申し込んだ割合は61.8%に達し、4カ所以上に申し込んだ人も1割を超えています。この点でも特養入所のハードルの高さがうかがえます。同時に入所申し込みに関する書類の準備や情報収集、施設見学など、入所に至るまでの家族側の負担も大きなものになっていると考えられます。

入所申し込み者の申し込み時点の要介護度は、「要介護3」が24.4%、「要介護4」が21.8%、「要介護5」が16.0%で、特養の原則的な入所条件である要介護3以上は62.3%でした。一方で、要介護2以下が38.7%(最多は「要介護2」の15.7%以下)と全体の約4割を占めていることもわかりました。

これは一般的には特例入所の申し込み者だと考えられますが、回答では要支援や自立なども含まれており、Speee側では「回答者の記憶に基づく主観や、併設するショートステイなどの利用記憶との混同が含まれる可能性がある」と分析しています。ちなみに冒頭で取り上げた厚生労働省の令和7年(2025年)度の「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」では、特例入所でも1.8万人の入所待機者がいることがわかっています。

待機者の1割以上「病院に入院」しながら待機

待機期間中の入所申し込み者の居住環境については、「独居(介護者は近隣/県内)」が45.6%、「独居(介護者は遠方/県外)」が20.5%と、独居で待機している割合が6割以上を占めました。これ以外では「介護者/他の家族と同居」が19.6%、「高齢者のみ世帯(老老介護など)」が14.3%でした。

待機期間中の入所申し込み者の介護環境は、「在宅介護(ショートステイ・デイサービス等あり)」が48.6%、「在宅介護(ショートステイ等なし)」が15.5%、「病院に入院」が13.3%、「老健・グループホーム・介護医療院」が12.5%、「ケアハウス(一般)・有料老人ホーム住宅型・サ高住」が6.7%、「介護付き有料老人ホーム・ケアハウス(介護型)」が3.4%。前出の待機中の居住環境と併せると、近隣・遠方の家族が独居の入所申し込み者を既存の介護サービスを利用しながら在宅介護で凌いでいる構図が見て取れます。

また、もう1つの注目点は、「病院に入院」で待機している人が1割以上いる点です。そもそも介護保険の創設は、医療必要度の低い高齢者が介護施設ではなく、病院への入院で対応されている「社会的入院」の解消でした。今回、1割以上いた「病院に入院」で待機している人は、それぞれ個別事情もあるかもしれませんが、特養の場合は老人保健施設と比べ医療必要度の低い高齢者向けです。このようなことも併せて考えれば、この数字は社会的入院が今も現実に存在することを示しています。

介護者の半数以上がビジネスケアラー

そして深刻なのが介護を担う家族の状況です。調査によると、入所実現時点での状況(複数回答)は、入所申し込み者の介護者の52.2%が「フルタイム就労」の介護者で、20.0%の「パート・アルバイト等」を合わせると、7割強が働きながら介護を行っていました。また、「介護者以外に手伝う者がいなかった」という孤立した状況にあるケースも約4人に1人の22.0%にのぼり、このほかにも「介護のために離職や転職を検討、または実施した」が12.8%、「就学または求職活動中」が8.7%、「未就学児の育児があった」が4.8%などとなっています。

いわゆる「ビジネスケアラー(仕事と介護の両立)」をめぐる問題が、特養の待機期間という局面で顕著に現れており、ごく一部には「ダブルケアラー(高齢者介護と育児の負担)」もいることも明らかになりました。高齢者本人だけでなく、それを支える現役世代への支援や受け皿の確保が引き続き急務となっていることがわかります。

株式会社Speee プレスリリース

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