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職員の自宅待機が発生した法人の約3割「一部でサービス提供を中止」~日本在宅介護協会緊急アンケート

年明けから始まったオミクロン株による新型コロナウイルス感染症の蔓延、いわゆる「第6波」は、ピーク時は1日の新規陽性者が全国で10万人超となりましたが、現在では6~7万人台へと減少してきました。しかし、過去2週間は減少速度が鈍化し、重症者数はピークアウトしかかったばかりです。

そしてこの間、問題になったのは新規陽性者とともに増加した濃厚接触者です。濃厚接触者は当然一定期間の自宅待機が必要になりますが、医療・介護の現場でも職員などの自宅待機者が増加し、マンパワーのひっ迫が伝えられました。

こうした中で一般社団法人日本在宅介護協会は、同協会会員法人を対象に「オミクロン株による感染拡大に伴う影響についての緊急アンケート」を実施し、このほどその結果を公表しました。今回はこの内容について解説します。

アンケートは同協会の正会員と介護事業を主とする賛同会員156法人を対象に1月28日~2月10日にWEBで行いました。回答は法人単位で集計を行い、55法人から回答がありました。ちなみに回答を寄せた55法人が有する事業所数は合計7902。アンケートは全8問で、これに自由記述が加わります。

約7割の法人で職員の自宅(宿泊施設)待機が発生

「陽性者または濃厚接触者となったことによる職員の自宅(宿泊施設)待機は発生していますか?」との設問には、69.1%(38法人:7817事業所)が「発生している」と回答しました。発生していると回答した38法人に対してどのサービスで発生しているか尋ねた結果(複数回答)は、「訪問介護」が29法人と最多で、次いで「入居型施設(GH、有料老人ホーム、サ高住など)」が22法人、「通所介護」、「居宅介護支援」がそれぞれ21法人、「小規模多機能型居宅介護(看護含む)」が14法人などでした。

自宅待機発生した法人の31.6%「一部でサービス提供を中止している」

この38法人に「全体の何割ほどの事業所で発生していますか?(回答日時点)」と尋ねたところ、最多は「1~3割」の63.2%、以下順に「5~7割」が13.2%、「3~5割」が10.5%などでしたが、「1割未満」と回答した法人が5.3%ある一方で、「ほぼすべて」と回答した法人も同じく5.3%など、全体の約3割は陽性者・濃厚接触者がかなり広範囲に発生していました。

さらにこの38法人に発生状況の程度について、複数ある場合は最も深刻な事業所を事例として尋ねた結果、「利用者の同意を得て既に一部でサービス提供を中止している」と回答した法人が31.6%にものぼりました。その他では「なんとか自拠点内の人員で補えているが拡大が続くと限界」が50.0%、「自拠点の人員では間に合わず近隣拠点や本部からの応援で補っている」が18.4%で、「まだシフトの穴埋めに若干の余裕がある」と回答した法人は皆無。

一方、現時点で陽性者や濃厚接触者が発生していない法人に対して、職員の待機者が発生した場合の影響について尋ねた設問では、「直ちにサービス継続が難しい状況に陥り大変心配」が29.4%、「待機者が増えてきたら深刻な事態になるので心配」が58.8%、「現時点では大きな影響は無い」が11.8%という回答状況でした。

もともと人手不足と言われる業界だけに、今回の結果は感染状況次第ではより一層深刻な事態になる可能性を示唆していると言えます。

保健所の機能不全により、濃厚接触者の判定が現場に任されて苦慮する法人も

「法人負担で職員の陰性を確認する為に自主的な感染検査(PCR検査、抗原検査等)を行っていますか?」との設問には、「PCR検査(検査キットを含む)」、「抗原定性検査(検査キットを含む)」を行っていると回答した法人がそれぞれ23法人(うち3法人がどちらの検査も行っていると回答)、「行っていない」が10法人。最も手軽に入手可能な抗原定性検査キットの入手状況については、「在庫不足で購入できないとき(または地区)がある」が50.0%、「まだ入手できるが価格が上昇してきた」が35.0%、「在庫不足でまったく入手できない」と「特に問題なく入手できている」がそれぞれ5.0%でした。

自由回答に関しては、一部抜粋で公開されていますが、概観して目立つのが保健所の機能不全により、濃厚接触者の判定が現場に任されて苦慮している点や自主的な検査キット入手などに伴う経済的負担増への懸念です。また、「医療、看護にはある陽性者・濃厚接触者対応の加算について、訪問介護に関して存在しないというのは明らかに在宅ケアの軽視であると考える」といった介護報酬面での不満の声も上がっています。

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