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オミクロン株 高齢者施設等への医療従事者の派遣など医療支援の強化の動き

3月に入り、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のオミクロン株流行は、新規感染者数だけでなく、重症者数もピークアウトしつつあります。しかし、死亡者数はまだ増加傾向を示しています。このことは重症者が回復するよりも死亡に至る例が多いためと推察されます。首相官邸HP で公表されている新型コロナワクチン3回目接種完了率は国内全体で24.9%ですが、65歳以上の高齢者に限ればようやく61%にまで達しました(いずれも2022年3月7日時点)。とはいえ、各地の高齢者施設では今もクラスター報告が絶えず、施設側はまだ気を抜けないのが本音だと思われます。

そうした中で厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が3月2日付で事務連絡「オミクロン株の特性を踏まえた保健・医療提供体制の対策徹底について」(以下、3.2通知)を発出しました。この通知は7項目で構成されますが、今回はこの通知の第6項「高齢者施設等への医療従事者の派遣など医療支援の強化について」の部分を解説します。

専門の支援チームの強化など施設の要請から24時間以内で対応できる体制に

高齢者施設向けには、すでに2月10日付で同じく厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部から事務連絡通知「高齢者施設等における感染制御及び業務継続の支援のための都道府県における体制整備や人材確保等に係る支援について」が発出され、都道府県、保健所設置市、特別区に対し、「高齢者施設等における感染抑止や感染発生時の早期収束のためには、感染制御及び業務継続の両面に係る支援が可能な専門の支援チームを形成し、感染が一例でも確認された場合に、早期に電話等による相談を行い、必要に応じて専門家等の派遣等を行うことが有効」と指摘しています。

今回の3.2通知では、この支援チームによる支援実施について、高齢者施設からの要請から24 時間以内にすべて対応できる体制確認と拡充を求めました。また、こうした初動の支援に加え、(1)医師や看護師等の医療チームによる往診・派遣体制の組織、(2)新型コロナ治療薬の迅速投与開始に向けた体制整備、(3)酸素療法の実施を見越した酸素供給体制の整備、(4)新型コロナからの回復患者の適切な受け入れと正当な理由なき入所拒否禁止、も高齢者施設に求めています。

「医師や看護師等の医療チームによる往診・派遣体制の組織」については、自治体が一定圏域ごとに高齢者施設などへの医療チームの派遣に協力している医療機関を指定する、あるいは高齢者施設側と医療機関などで医療チーム派遣の事前取り決め締結など各地域の実情に応じた体制整備を指導しています。

「新型コロナ治療薬の迅速投与開始に向けた体制整備」では経口の新型コロナ治療薬「ラゲブリオ(一般名:モルヌピラビル)」が、医療機関や高齢者施設での備蓄による施設内投与のほか、登録薬局を通じた院外処方も行われていることを踏まえ、高齢者施設に対し医療機関や薬局との連携体制の構築を求めています。2月に承認された治療薬「パキロビット(一般名:ニルマトレルビル/リトナビル)」も今般ラゲブリオと同様に登録医療機関・薬局を通じた流通体制が取られることが決まっています。おそらくラゲブリオ登録薬局はパキロビッド登録薬局も兼ねると思いますが、各高齢者施設では念のためその点を近隣薬局に確認しておいた方が良いでしょう。

一方、「新型コロナからの回復患者の適切な受け入れと正当な理由なき入所拒否禁止」について、新型コロナ回復期高齢者の受け入れに関しては、感染の危険性を過剰に心配するあまり医療機関や高齢者施設が受け入れを拒むことが一部で大きな問題になっています。推定感染日・発症日から一定期間経過し、周囲に二次感染を引き起こす可能性のない患者の受け入れ先がないことで、新型コロナ専用病床の占有率が改善せず、感染拡大時の医療逼迫につながるからです。こうした受け入れ拒否は高齢者家族によるネット発信などで施設の評価悪化につながりかねません。安易な受け入れ拒否は将来の経営に影響する可能性も念頭に置いておきましょう。

また、3.2通知では自治体に対し、衛生主管部局と介護保険担当主管部局が確実に連携することで、高齢者施設からのクラスター対策などの相談窓口を一元化することも求めています。各施設は予め自治体の相談窓口体制の変更状況などの確認なども忘れずに行いましょう。

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