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介護施設のBCP 「有効性・実効性」「スタッフへの浸透」が課題に ~ドクターメイト 介護施設のBCPに関するアンケート調査結果より~

2024年4月から義務化された介護施設のBCP(業務継続計画)ですが、この1年だけを振り返ってみても地震やそれに伴う津波警報・注意報、台風災害などの自然災害に加え、インフルエンザの流行など感染症の流行も起こっています。こうした自然災害や感染症の流行を踏まえ、BCPが”絵に描いた餅”とならずにきちんとアップデートされているか、また、現場に浸透しているか、についてドクターメイトが2026年5月にインターネットアンケートで独自に調査を行いました。その結果を解説します。

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BCP発動した施設「想定外の事象が発生」

過去3年にBCPが発動した施設に、BCPが役に立ったかどうかを聞いたところ、「BCP通りに行かなかった」などの声が寄せられました。その詳細について聞いたところ、「第一避難所の受け入れ体制がとられていなかった」「地震発生時個室から集合室へ移動したが、その際の感染予防対策が取られなかったため、コロナの蔓延になってしまった」と、BCPの想定の範囲を超えるトラブルやアクシデントが起きていることがわかりました。

自然災害BCP「定期的に訓練を行い、見直しをしている」36%

地震や台風などの自然災害BCPについて、88.0%の施設で「策定済み」となっていますが、その浸透度については管理・経営層と現場でバラつきがみられました。

管理・経営層で「定期的に訓練を行い、見直しもしている」と回答した施設は36%にとどまり、半数以上の施設が「一部の職員は計画を把握している」と回答。「全く周知できていない(不安がある)」と回答した施設も1割ありました。

一方、現場層では勤務先の自然災害用BCPの内容について、46.9%が「詳細まで知っている」と回答。「存在は知っているが内容は知らない」は9.4%となりました。

緊急時における対応について 医療面で一部対応が不明確な施設も

緊急時における対応が明確になっているか、を聞いたところ、指揮・役割や医療連携、インフラ面や避難判断では半数以上の施設で「明確なルールがある」と回答があった一方、「停電や交通網の麻痺が発生した場合、酸素濃縮器やたん吸引器などの「医療機器の代替電源」や、インスリン等の「必須医薬品の確保・代替手配」について、具体的な手順が決まっている」と回答した施設は18.8%にとどまりました。

現在のBCPで対応できるか、に不安を持つ現場職員も

現時点で策定しているBCPが、災害などの緊急時に対応できるか、という問いに対しては「それなりに対応できる」とした施設は4割にとどまり、半数以上の施設がBCPの有効性に不安を抱いている結果となりました。

BCPのアップデートについても、直近の訓練で見つかった課題をマニュアルに反映しアップデートした施設は4割弱にとどまっています。また、現場サイドも、「BCPによる訓練」は自分たちの役に立っているかどうかについては、約半数が「どちらでもない」と回答しています。

BCPの訓練について「役に立っている」「役に立っていない」意見をそれぞれ抜粋して紹介します。

<役に立っている>
・シュミレーションによる改善の実施で課題の共有ができている
・基本動作の確認にはなっている
・BCPによる訓練は「いざという時に確実に現場で機能し、利用者の命を守るために役立っている」と実感しています。
・日常の業務を行っている時とは違った視点で事業所を見る事が出来る

<役に立っていない>
・内容自体が見直しが必要であることと、訓練内容がどうしても数をこなすだけのものになっている
・全体での訓練ができていないため、役にたっているといえない
・現実に即した訓練ができていない
・やらないよりは役に立っている程度
・訓練自体形骸化していて、BCPを自分の必要なものだとの意識がない
・訓練内容が、BCPからの判断でなく、訓練要綱が主となっている
・訓練の必要な内容が多岐にわたるためやりきれていない部分が多いため
・訓練の仕方に問題があるのは明確だが、自身の行動に落とし込めていない職員が一定数いる

実効性のあるBCPへ スタッフが「自分ごと」にできるBCPを

今後、BCPをより実効性のあるものにするための課題について、約8割の施設が「現場の全スタッフに内容を浸透させるのが難しい」を挙げていました。

その背景の1つとして考えられるのが、スタッフがBCPを「自分ごと」として捉えられていない状況があるかもしれません。「BCPによって自分の安全は守られていると感じますか?」という質問に対し、「はい」と回答した割合は31.3%にとどまり。BCPの実効性・有効性の懸念が「自分ごと」になれない事情を表しているといえます。

以下にその回答理由を抜粋して紹介します。

・必要物品やこうしていきたいという方向性はあるが、まだしっかりと準備できていない。例えばトランシーバーで通信予定としているが購入未とか、窓に飛散防止フィルムを張る予定だがまだ購入できていない、などの予算的な工面が困難状況を作っている。
・災害規模により一概に言えない。南海トラフのような広域的な災害の場合はどのような対策を講じても大きな影響は必ずあると考えられる
・想定できる災害に対し、訓練等は実施しているが安全が担保されているかと問われると、まだBCPの策定も地震、感染症のみとなっていて、水害、土砂災害の内容が薄いと感じている
・訓練は行いつつも有事の際にマニュアル通りに動けるのか、その場その場での対応ができるのか心配
・想定を超える災害の場合は、安全とは言い切れない
・短時間の訓練だけでは、備え切れていないと感じる

BCPを”絵に描いた餅”で終わらせないためには、スタッフ全員が「自分ごと化」できるような、有効性・実効性ある計画の策定と、「訓練のための訓練」で終わらせないシミュレーションや訓練の実行が求められます。

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