
疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こる感染症です。強いかゆみや発疹が特徴で、人から人へうつることもあります。
この記事では、疥癬の症状や感染経路、通常疥癬と角化型疥癬の違い、日常生活で気をつけたい予防・感染対策についてわかりやすく解説します。
目次
症状の特徴と原因
疥癬の代表的な症状は、強いかゆみと特徴的な皮疹(発疹)です。特にかゆみは夜間や就寝時に強く感じることが多く、眠れないほどになる場合もあります。
原因となるのは「ヒゼンダニ(疥癬虫)」という体長0.2〜0.4mmほどの非常に小さなダニです。
このダニが人の皮膚の角質層に潜り込み、卵を産み落としたり糞をしたりすることで、激しいアレルギー反応を引き起こします。
感染力は病型の種類によって大きく異なり、大きく以下の2つのタイプに分類されます。
通常疥癬であれば短時間の接触(手をつなぐ、すれ違うなど)で感染することはほとんどありません。
しかし、角化型疥癬の場合はわずかな接触や環境を介して簡単に移ってしまうため、型に応じた正しいリスク評価が必要です。
感染経路と潜伏期間
通常疥癬の場合、感染してから症状が出るまでに約4〜6週間(約1ヶ月)の潜伏期間があります。
これは、寄生したダニが体内で繁殖し、その存在に対して体の免疫システムがアレルギー反応を起こすまでに時間がかかるためです。
そのため、「最近接触した人」だけでなく、1ヶ月ほど前に長時間接触した人物や環境に原因がある可能性を考慮しなければなりません。
一方、角化型疥癬の場合はダニの数が膨大なため、数日〜1〜2週間程度で発症することがあります。
日常での主な感染場所としては、病院や介護施設、障害者施設などが挙げられます。スキンシップが多い環境や、日常的に身体介護が行われる場所で集団感染が発生しやすいのが特徴です。
主な症状の特徴
ヒゼンダニは夜間になると活動が活発になるため、布団に入って体が温まると、 強いかゆみを感じることがあります。
指の間や手首、足の側面などにみられる、 2〜5mmほどの細長い筋状の盛り上がりです。
お腹や胸、太ももの内側、わきの下などに、 強いかゆみを伴う赤いブツブツが生じることがあります。
「ただの湿疹や乾燥肌だろう」と市販のステロイド外用薬を使用してしまうと、ステロイドの免疫抑制作用によってダニが増殖し、かえって症状が悪化してしまうリスクがあるため注意が必要です。
予防と対策〜日常生活で気をつけること
疥癬と診断された場合、あるいは家族や施設内で発生した場合は、感染拡大を防ぐために迅速かつ適切な予防・管理を行うことが大切です。
特に病型(通常疥癬か角化型疥癬か)によって対応のレベルが変わります。
① 通常疥癬の気をつけるポイント
通常疥癬の場合、過度な消毒や隔離は必要ありません。
治療が完了するまでは、同じ布団で寝るなどの 長時間のスキンシップを控えましょう。
服や寝具は、毎日通常通り洗濯すれば問題ありません。
ヒゼンダニは熱に弱いため、心配な場合は 50℃以上のお湯に10分以上浸すか、 衣類乾燥機を使用して熱処理を行います。
入浴で感染することはありませんが、 タオルやバスタオルの共有は避けましょう。
② 角化型疥癬の気をつけるポイント
角化型疥癬の場合は感染力が非常に強いため、徹底した管理が必要です。
施設や病院では個室管理を行い、介護・看護時には ガウンや手袋を着用します。
皮膚から剥がれ落ちた角質の中には、 大量のダニが含まれています。
掃除機で部屋を丁寧に清掃し、 ベッド周囲のフケや角質を散らさないよう注意します。
衣類や寝具は洗濯前に 50℃以上のお湯に10分以上浸すか、 乾燥機で熱処理を行ってから洗います。
③ 早期の医療機関(皮膚科)受診
疥癬の疑いがある場合は、速やかに皮膚科を受診してください。顕微鏡検査でダニの本体や卵を確認できればすぐに診断がつきます。
治療には、塗り薬(フェノトリンやイベルメクチン外用)や飲み薬(イベルメクチン内服)が用いられ、適切な治療を行えば確実に治すことができる病気です。
まとめ
同居家族に同様の痒みがある場合は、同時に治療を受けることが再感染(ピンポン感染)を防ぐカギとなります。
疥癬は確かに「人から人に移る感染症」ですが、過度に恐れる必要はありません。通常疥癬であれば短時間の接触で移ることはなく、正しい知識を持っていれば日常生活の中で感染を防ぐことができます。
「激しい痒みが続いている」「家族や周りに同じような症状の人がいる」という場合は、放置せずに早めに皮膚科を受診し、適切な治療と対策を開始しましょう。
