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創傷被覆材とは?種類や効果・注意点をわかりやすく解説

創傷被覆材は、傷口を保護しながら適度な湿潤環境を保ち、治癒を促すために使用される医療用素材です。

種類によって特徴や適した傷が異なるため、正しく選んで使用することが大切です。

この記事では、創傷被覆材の仕組みや種類、効果、使用する際の注意点についてわかりやすく解説します。

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創傷被覆材とは? 湿潤療法を支える仕組み

創傷被覆材(ドレッシング材)とは、傷口(創傷)を外部から覆い保護することで、傷の治癒に最適な環境を作り出すために用いられる医療用素材の総称です。

従来のガーゼ保護と創傷被覆材の最も大きな違いは、「傷口を乾かさず、適度な湿り気(湿潤環境)を保つかどうか」という点にあります。

この湿潤環境を利用した治療法を「湿潤療法(モイストヒーリング)」と呼びます。

湿潤療法(モイストヒーリング)のメカニズム

皮膚が傷つくと、傷口からは「浸出液(しんしゅつえき)」と呼ばれる体液が分泌されます。

この浸出液には、傷ついた組織を修復したり、新しい皮膚細胞を再生・増殖させたりするための各種成長因子(細胞増殖因子)やタンパク質が豊富に含まれています。

従来のガーゼ治療と創傷被覆材の違い
1
従来のガーゼ治療

ガーゼが浸出液を吸収することで、傷口が乾燥しかさぶたが形成されやすくなります
傷口が乾燥すると、新しい皮膚細胞の移動が妨げられる場合があり、治癒に時間がかかることがあります。また、乾燥によって神経が刺激され、痛みを感じやすくなることもあります。

2
創傷被覆材による治療

創傷被覆材で傷口を覆うことで、浸出液を適度に保ち湿潤環境を維持します
細胞が活動しやすい水分環境が保たれるため、新しい皮膚(上皮)が形成されやすくなり、傷の治癒を促すことが期待できます

ポイント: 創傷被覆材は、傷口を単に保護するだけでなく、適度な湿潤環境を保つことで皮膚の再生を促すことを目的としています。

創傷被覆材は単なる「傷口のカバー」ではなく、体本来の治癒能力を最大限に引き出すための重要な医療用具です。

創傷被覆材の種類と主な効果

創傷被覆材には、傷の種類や深さ、浸出液の量、感染の有無などに応じて様々なタイプが存在します。

症状に合わせた適切な製品を選択することで、高い治療効果を得ることができます。

代表的な創傷被覆材の種類と特徴

代表的な創傷被覆材5種類
1
ポリウレタンフィルム材 (フィルムドレッシング)

薄く透明なフィルム状の素材で、外部からの水分や細菌の侵入を防ぎながら、水蒸気を透過させる特徴があります。

適しているケース: 浸出液がほとんど出ない浅い傷、皮膚の保護、摩擦の予防など
2
ハイドロコロイド材

浸出液を吸収するとゲル状に変化する素材で、傷口の適度な湿潤環境を保ちます。 家庭用の高機能絆創膏などにも使用されています。

適しているケース: 浅い擦り傷や切り傷、浸出液が少量〜中等量の傷など
3
ポリウレタンフォーム材

スポンジ状の素材でできており、浸出液の吸収力とクッション性に優れているのが特徴です。 傷口を外部の刺激から保護する役割もあります。

適しているケース: 浸出液が多い傷、圧迫や摩擦から保護したい傷など

床ずれの予防では、同じ部位に圧力がかかり続けないようにすることも大切です。 褥瘡予防にもつながるポジショニングについてはこちら

4
アルギン酸塩被覆材

海藻由来のアルギン酸を利用した被覆材です。 多量の浸出液を吸収するとゲル状に変化し、高い吸収力を発揮します。 製品によっては止血を補助する目的でも用いられます。

適しているケース: 浸出液が非常に多い傷や、深さのある傷など
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ハイドロジェル材

水分を多く含んだジェル状の被覆材で、乾燥した傷に水分を補うことができます。 乾燥した壊死組織を軟らかくし、自浄作用を促す目的などで使用されます。

適しているケース: 浸出液が少ない傷、乾燥した傷や壊死組織がみられる傷など
ポイント: 創傷被覆材は、傷の深さや浸出液の量、傷口の状態によって適した種類が異なります。 特に深い傷や慢性創傷では、自己判断せず医療従事者に相談することが大切です。

創傷被覆材を使用する主なメリット

創傷被覆材を使用する4つのメリット
1
傷の治癒を促しやすい

傷口を適度な湿潤環境に保つことで、皮膚細胞が移動・再生しやすい環境を整えます。 その結果、傷の治癒を促すことが期待できます。

2
痛みを軽減しやすい

傷口の乾燥を防ぐことで神経末端への刺激が抑えられ、痛みの軽減につながります。 また、創傷被覆材の種類によっては傷口に固着しにくく、交換時の痛みを抑えられる場合があります。

3
傷痕が目立ちにくくなることがある

傷口の乾燥やかさぶたの形成を抑えながら上皮化を促すことで、傷痕(瘢痕)が目立ちにくくなることがあります

4
傷口を外部刺激から保護できる

創傷被覆材が傷口を覆うことで、水分や汚れ、摩擦などの外部刺激から傷を保護できます。 製品の種類によっては、外部からの細菌侵入を防ぐ役割もあります。

ポイント: 創傷被覆材は、単に傷口を覆うだけでなく、湿潤環境を保ちながら治癒を支え、痛みや外部刺激を抑える役割があります。

使用方法と注意点

創傷被覆材は非常に効果的な治療手段ですが、万能ではありません。誤った使い方をすると、かえって症状を悪化させたり感染症を引き起こしたりする危険性があります。

以下のポイントを正しく理解しておくことが重要です。

① 感染のある傷(赤く腫れている・膿が出ている)には使用禁忌

感染を起こしている傷口(黄色黄色ブドウ球菌などの細菌が増殖している状態)を被覆材で密閉してしまうと、閉鎖された湿潤環境の中で細菌が急激に繁殖し、重篤な感染症(蜂巣織炎や敗血症など)を引き起こす恐れがあります。

感染が疑われる主なサイン
1
傷口の周りが赤く腫れている

傷の周囲に赤みや腫れが広がっている場合は、感染が起きている可能性があります。

2
熱感や強い痛みがある

傷口の周囲が熱を持っていたり、痛みが強くなっている場合も注意が必要です。

3
黄色や緑色の膿が出ている

黄色や緑色の膿が出ている、悪臭がするといった場合は、感染が疑われる重要なサインです。

注意: このような症状がみられる場合は、創傷被覆材を自己判断で使用せず、早めに医療機関へ相談しましょう。

このような症状が見られる場合は、被覆材による自己判断の処置は絶対に行わず、速やかに医療機関(皮膚科や形成外科)を受診してください。

② 使用前の徹底した洗浄

被覆材を貼り付ける前には、傷口とその周囲を消毒液ではなく「生理食塩水」または「水道水(清潔な流水)」で十分に洗い流すことが鉄則です。

消毒液は細菌だけでなく、組織を修復しようとする正常な皮膚細胞まで傷つけてしまうため、原則として使用しません。水洗いによって異物(土や砂)や壊死組織をきれいに除去してから使用します。

③ 浸出液の量に応じた交換と観察

被覆材は貼りっぱなしにするのではなく、定期的な観察と交換が必要です。被覆材の端から浸出液が漏れ出てきたり、はがれかかったりした場合はすぐに交換します。

また、交換の際には必ず傷口を観察し、感染の兆候(赤み、腫れ、ニオイ)がないかを確認しましょう。

④ 慢性創傷や深い傷は医療従事者の指導のもとで

床ずれ(褥瘡)や糖尿病性潰瘍、重度の熱傷などの慢性創傷・深在性創傷では、壊死組織の除去(デブリードマン)や専門的な創傷評価が必要です。

医療機関において医師や看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師など)の指導・処方のもとで適切なドレッシング材を選択・管理することが不可欠です。

創傷被覆材(ドレッシング材)は、傷口の浸出液を活かして湿潤環境を保ち、体本来の治癒能力を引き出す画期的な医療資材です。正しく使用することで、痛みなく早期に綺麗に傷を治すことができます。

しかし、「感染のある傷には使わない」「事前に水道水でよく洗う」といった基本的なルールを守ることが何より大切です。

傷の状態に不安がある場合や治りが悪い場合は、決して自己判断に頼らず、早めに皮膚科や形成外科などの専門医に相談しましょう。

出典:ディアケア

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