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【ニュース解説】管理者・経営者が知っておくべき高齢者施設の浸水害対策(2)浸水した施設の消毒・感染症対策

各地で水害による浸水被害が発生し、一部では介護施設でも同様の被害に見舞われています。そのことを踏まえ、前回は水害に遭った介護施設の復旧作業で職員が注意すべきことをまとめました。第2回目の今回は、初期的な汚泥や洗浄が済んだ後の施設復旧作業を中心に要点を解説します。

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浸水した家屋の感染症対策・消毒は

まず、浸水後の建物内は細菌やカビが急速に繁殖しやすくなるため、適切な手順で清掃を進めたうえで、消毒が必須となります。

清掃ですが、これは基本中の基本として目に見える汚泥はすべて取り除き、可能なものは水での洗浄が必要です。厚生労働省の「浸水した家屋の感染症対策」および「一般家屋や食品営業施設における浸水後の消毒の相談について」でも、消毒の効果を発揮させるためには、まず汚泥を取り除き、水洗いや雑巾での水拭きを行った後に十分な換気・乾燥を行うことが最優先とされています。汚れが残ったままや乾燥が不十分なまま消毒薬を撒いても十分な効果は得られないからです。

消毒薬も何でも良いというわけではなく、対象物に応じた使い分けが必要です。厚生労働省の『浸水した家屋の感染症対策』などでは、次亜塩素酸ナトリウム、70%以上の消毒用アルコール、10%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)、熱湯消毒の4種類をあげています。汚染の程度がひどい場合、長時間浸水していた場合は、できるだけ次亜塩素酸ナトリウム、色あせ、腐食などが懸念され、次亜塩素酸ナトリウムが使用できない場合は、アルコール、塩化ベンザルコニウムを使用します。対象物に応じた適切な消毒薬と濃度は以下の通りです。

食器類・流し台・浴槽

・0.02%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム、70%以上の消毒用アルコール、または0.1%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)。食器は熱湯消毒も可能

・次亜塩素酸ナトリウムを0.02%に希釈する具体的な方法は、家庭用塩素系漂白剤ならば、ペットボトルのキャップ 1杯(原液5mL)を水1Lで希釈(0.025%)。市販の家庭用ハイターやブリーチ(原液濃度約5%)はキャップ 1 杯(原液25mL)を水6L(10Lバケツの 6 割まで水をいれる)で希釈する

・10%塩化ベンザルコニウムはペットボトルのキャップ1杯(原液5mL)を水500mL希釈する

・次亜塩素酸ナトリウムを使用する対象では、食器用洗剤と水で洗った後に消毒薬に5分間漬けるか、消毒薬を含ませた布で拭き、その後、水洗い・水拭きしてよく乾燥させる

・70%以上の消毒用アルコールを使用する場合は希釈せず、対象物を洗剤と水で洗った後、このアルコールを含ませた布で拭く。この際は火気のあるところでは使用しない

・食器を熱湯消毒する場合は、汚れを洗い流してから80度の熱水に10分間漬ける

・塩化ベンザルコニウムを使用する場合は、対象物の泥などの汚れを洗い流すか雑巾などで水拭きしてから、十分に乾燥させ、調整した液を浸した布などでよく拭く

家具類・床・堅い表面

・0.1%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム、70%以上の消毒用アルコール、10%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)を使用

・次亜塩素酸ナトリウムの0.1%希釈方法は、家庭用塩素系漂白剤ならば、ペットボトルのキャップ 2杯(原液10mL)を水500mLで希釈。市販の家庭用ハイターやブリーチ(原液濃度約5%)はキャップ 1 杯(原液25mL)を水1Lで希釈(0.125%)

・次亜塩素酸ナトリウムを使用する対象物では、泥などの汚れを洗い流すか、雑巾などで水拭きしてから、十分に乾燥させ、調整した液を浸した布などでよく拭く。金属面や木面など、色あせが気になる場所は、さらに水で 2 度拭きをする。

・消毒用アルコールと塩化ベンザルコニウムを使用する場合は、対象物の泥などの汚れを洗い流すか、雑巾などで水拭きしてから、十分に乾燥させた後、それぞれを含ませた布で拭く

また、次亜塩素酸ナトリウムを酸性の洗剤などと混ぜると塩素ガスが発生して大変危険です。次亜塩素酸ナトリウムと酸素系漂白剤(過酸化水素系など)を混ぜることも化学反応を起こす可能性があるため避けて下さい。なお、直接の混合ではなくとも、たとえば酸性洗剤で掃除した後に次亜塩素酸ナトリウムで消毒をするという連続使用も塩素ガス発生の危険があるので決して行わないようにして下さい。

これらの消毒薬を使用する際は、窓やドアを開けて換気に努め、実施者がゴム手袋やゴーグル、マスクを着用などで防護対策を行うことも必須です。

カビ(真菌)対策

一方、水害の被害を受けた場合はカビ(真菌)対策も必要です。米疾患管理センター(CDC)の「水害および風害後の医療施設再開に関するガイドライン」では、水害後に発生するカビは、医療機関の利用者でアスペルギルス症などの呼吸器感染症を引き起こす原因となること指摘しています。これは介護施設でも同様と言えます。

対策としては、そもそも浸水後にカビを防ぎようがないものについては、廃棄することです。具体的には絨毯(カーペット)、壁紙・石膏ボード、天井タイル、木製・布製家具、マットレス、ダンボール類などの水分を吸収しやすい多孔質資材は、浸水から48~72時間以内に完全に乾燥できない場合、カビ胞子の拡散を防ぐため処分・交換します。

金属やプラスチックなどの硬い表面(非多孔質)の家具や機器は、洗剤と水で物理的に汚れを拭き取り清掃し、消毒することで再利用が可能です。

水道・給水設備の復旧は

水道・給水設備に関しては、施設が有する設備によって対応が異なります。水道本管から施設内へ直接給水されている部分については、原則として水道事業者が給水再開を始めていればおおむね使用可能ですが、使用再開時は水道の蛇口を限界まで解放して水を高圧力で出し続けるフラッシングと呼ばれる洗浄方法を数分間行いながら、念のため水の濁りや異臭がないかを確認します。何か異常を感じた場合は使用を止め、専門業者に連絡を取り異常の有無を確認します。

一方、地下に設置した受水槽や給水配管を日常的に使用している施設が浸水した場合は、そこに汚泥や汚水が流入している可能性が高いと考えるべきです。この場合は専門業者に清掃・消毒や水質検査を依頼し、安全が確認できるまではこれらの設備を経由した施設内の給水は中止します。

井戸を利用し、そこが浸水した場合も同様で、井戸内部やポンプや井戸周辺に汚染がないかなどの点検を専門業者に依頼します。ポンプでくみ上げた水が透明でとくに異臭などがなくとも、水質検査のうえで安全が確認できるまでは使用を控えます。

トイレや浴室に関しては、便器や浴槽の消毒はもちろん必要ですが、そのことと給水機能が復活しているだけで安全に使用が再開できるとは言えません。自治体の下水道に接続している場合は、浸水が引いても自治体側が使用制限を解除するまでは、自施設のトイレ・浴室の清掃・消毒が終わっていたとしても使用は控えましょう。地中の汚水桝などが浸水したままだった場合、トイレや浴室を使うことで汚水の逆流が起こり得るからです。

また、下水道が整備されていない地域では、浸水により地下の浄化槽が汚水で充満している、あるいは電気系統が故障している可能性が十分あるため、浄化槽清掃業者と保守点検業者によるダブルチェックが必要になります。安易な使用再開は汚水の逆流・漏水などを招き、清掃・消毒などが改めて必要になるなど手間暇が増えてしまうので、細心の注意が必要です。

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