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【ニュース解説】人材流出続く介護業界 人材確保のカギを握る「外国人」と「介護助手」

介護業界の最大の悩みは人材確保といっても過言ではありません。先ごろ明らかになった2022年の雇用動向調査によると、医療・福祉業界に関しては入職超過率がマイナス0.9%となり、現在の形態で同調査が始まった2009年以降、業界として初のマイナスに転じました。同調査での16業種中の入職超過率の低さは第6位でしたが、入職者から離職者を差し引いた、2022年の医療・福祉業界の雇用者減少数は7万1900人となり、減少数絶対値では卸売・小売業の9万5800人に次ぐ規模ともなっています。しかも、この数字は産業別の中分類で見ると、全てが介護を含む福祉業界での数字です。事態はかなり深刻と言えます。もちろん介護業界も手をこまねいているばかりではありません。とはいえ、どのように手を打つべきかに迷いがある関係者も少なくないのが現状ではないでしょうか?

先ごろ開催された第34回全国介護老人保健施設大会では「人材確保対策の現状と今後への期待」と題するシンポジウムで、関係各方面の取り組みが紹介されました。その内容をここで紹介します。

約1万9000人が登録する外国人介護従事者向けウェブサイト

まず、同シンポジウムに登壇した日本介護福祉士会副会長の今村文典氏は、同会で取り組んでいる外国人介護人材確保対策について解説しました。同会は介護を学び現場で働く外国人と日本の介護を伝える人がともに集う総合プラットフォームサイト「にほんごをまなぼう」を運営しています。同サイトは外国人介護職が日本語だけでなく、介護の基礎技能を学ぶことができ、かつ介護業界の日本人管理者が教育研修に使用できる資材も完備した無料登録サイトで、現在約1万9000人が登録しています。

サイト内に掲載されているコンテンツは、日本の介護に関する基礎知識、介護関係日本語、介護の特定技能試験対策テキスト、外国人向け介護福祉士国家試験一問一答などで、いずれも無料でダウンロードが可能です。また、日本語を含む12か国語に対応した介護の専門用語の翻訳機能もあり、日本語の発音確認が可能。登録している学習者は、マイページ機能を利用し、自分の学習目標、学習実績値などを随時参照できます。

これら外国人向けの各コンテンツを日本人指導者が教育に使用する際の手引き、事業所内部での研修に使えるコンテンツも掲載されています。また、施設単位で管理者、指導者、学習者を設定して登録し、管理者、指導者が各施設に属する外国人介護職の目標設定やその到達度や学習成果を確認する可能です。今村氏は今後新たなコンテンツなども追加していきながら「2024年度にはサイト登録者3万人を目指していきたい」と展望を語りました。

地域の高齢者を介護助手として雇用

一方、介護現場での介護助手や外国人介護職員の活用とその課題については、医療法人社団刀圭会が運営する介護老人保健施設アメニティ帯広の施設長を務める北畑良子氏が講演。同施設が2017年度北海道介護助手モデル事業に参画し、高齢者を中心とする介護助手制度を採用した経験を語りました。

このモデル事業でアメニティ帯広では研修生14人を採用。3ヶ月間の研修後に12人を正式採用しました。介護助手の業務は、シーツ交換、物品補充、消毒作業、庭の手入れ、用度業務、イベント補助などの介護周辺業務。介護助手の運用では、介護職員からこれら周辺業務の完全切り離しを目標とし、「(助手が)いるときは助かるが、いないときには介護職員が行う仕組みでは業務改善が進まないため、土日含め各時間帯ごとにシフトを組み、常に1~2人の介護助手が勤務する状況を作った」(北畑氏)とのこと。

また、研修時の名称は介護助手だったものの、施設内には身体介護を行う介護パートもおり、介護助手との役割が紛らわしいことや利用者が介護助手に身体介護を依頼してしまうケースなどがあったことから、本採用後は介護助手ではなく「庶務パート」と名称を変更。介護パートには制服、庶務パートにはエプロンを支給し、外見や呼び方から利用者が身体介護する人、しない人の区別がつけやすくしました。

モデル事業に参画後から2023年7月までに入職した介護助手は15人。うち退職者は8人で離職率は53%とかなり高めになるものの、退職理由の6割超が本人の病気によるもので、処遇への不満や人間関係を理由とする離職は今のところ皆無です。北畑氏は「(介護助手も)徐々に年齢も増していく中、定期的な業務量確認や健康サポートは必須」と活用に当たっての注意点を述べました。また、モデル事業に参加した介護助手の多くが地元新聞で事業を知ったと答えており、高齢者層への募集では今でも新聞の有効性が高いことも説明しました。

一方、高齢の介護助手であっても基礎研修や教育を怠らず、施設行事には一員として積極的に参加してもらうことがチーム力向上に効果的で、加えて「職員にとってはただの助手ではなく、なくてはならない存在であることを明確に伝え続けることが重要」と語りました。

北畑氏は「介護助手の導入で、介護職員は身体介護や記録、アセスメントに専念する時間が増えた。何より周辺業務を任せられる精神的なゆとりは計り知れない。導入検討施設には自信を持っておすすめできる」と述べ、その意義の高さを強調しました。

一方、介護現場での介護助手や外国人介護職員の活用とその課題については、医療法人社団刀圭会が運営する介護老人保健施設アメニティ帯広の施設長を務める北畑良子氏が講演。同施設が2017年度北海道介護助手モデル事業に参画し、高齢者を中心とする介護助手制度を採用した経験を語りました。

このモデル事業でアメニティ帯広では研修生14人を採用。3ヶ月間の研修後に12人を正式採用しました。介護助手の業務は、シーツ交換、物品補充、消毒作業、庭の手入れ、用度業務、イベント補助などの介護周辺業務。介護助手の運用では、介護職員からこれら周辺業務の完全切り離しを目標とし、「(助手が)いるときは助かるが、いないときには介護職員が行う仕組みでは業務改善が進まないため、土日含め各時間帯ごとにシフトを組み、常に1~2人の介護助手が勤務する状況を作った」(北畑氏)とのこと。

また、研修時の名称は介護助手だったものの、施設内には身体介護を行う介護パートもおり、介護助手との役割が紛らわしいことや利用者が介護助手に身体介護を依頼してしまうケースなどがあったことから、本採用後は介護助手ではなく「庶務パート」と名称を変更。介護パートには制服、庶務パートにはエプロンを支給し、外見や呼び方から利用者が身体介護する人、しない人の区別がつけやすくしました。

モデル事業に参画後から2023年7月までに入職した介護助手は15人。うち退職者は8人で離職率は53%とかなり高めになるものの、退職理由の6割超が本人の病気によるもので、処遇への不満や人間関係を理由とする離職は今のところ皆無です。北畑氏は「(介護助手も)徐々に年齢も増していく中、定期的な業務量確認や健康サポートは必須」と活用に当たっての注意点を述べました。また、モデル事業に参加した介護助手の多くが地元新聞で事業を知ったと答えており、高齢者層への募集では今でも新聞の有効性が高いことも説明しました。

一方、高齢の介護助手であっても基礎研修や教育を怠らず、施設行事には一員として積極的に参加してもらうことがチーム力向上に効果的で、加えて「職員にとってはただの助手ではなく、なくてはならない存在であることを明確に伝え続けることが重要」と語りました。

北畑氏は「介護助手の導入で、介護職員は身体介護や記録、アセスメントに専念する時間が増えた。何より周辺業務を任せられる精神的なゆとりは計り知れない。導入検討施設には自信を持っておすすめできる」と述べ、その意義の高さを強調しました。

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