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特定技能・技能実習などの外国人介護人材 約4割の事業者 43%の事業者で活用経験あり

介護業界の人材不足解消の一助と考えられているのが外国人介護職員の受け入れです。7月8~25日に一般社団法人 全国介護事業者連盟が行った「介護・障害福祉従事者に関する状況調査」から明らかになった、外国人介護職員受け入れの実態と課題を解説します。

在留資格「特定技能」が最多

外国人材が就労の有無について、38%の事業者が「現在就労している外国人材がいる」と回答、「現在就労している外国人材はいないが、過去に就労していた」の5%と合わせて43%の事業者が外国人材の活用経験がある、と回答しました。

24%の事業者が活用経験が無いが検討中で、33%の事業者が受け入れ予定無し、と回答しています。外国人介護職員を受け入れている法人での受け入れ時の在留資格で最も多いのは「特定技能」で、これとほぼ同数なのが「技能実習」、次いで「在留資格“介護”」となっています。

「技能実習」「特定技能」の違いは?

「技能実習」は、日本国内で積み重ねられた技能、技術、知識を開発途上地域などへ移転して、それら地域の経済発展を担う人材育成に寄与することを目的に1993年に創設。

来日する外国人が日本で学んだ技能や知識を最終的に母国で生かすことが前提で、就労はあくまで母国で活躍するための実習目的です。

外国人技能実習法が2017年11月に施行され、これ以降介護職での外国人受け入れがスタートしてきました。

「特定技能」は2019年4月に新設された制度で、人手不足が深刻な14分野の業界で完全な就労目的で外国人を受け入れ可能にする制度です。「技能実習」では在留許可期間内に最初の受け入れ先からの転職は原則認められていませんが、「特定技能」では同一業界内での転職ならば可能です。

また、在留資格「介護」は、いわゆる介護職での就労ビザで、もともとは日本で介護福祉士の資格を取得した外国人が日本の企業や介護施設との契約の下で来日就労するというものでしたが、現在、介護福祉士という条件は外されています。

「特定技能」との違いは、給与水準が日本人と同等以上であることが条件です。

外国人材の介護現場受入の課題「言語能力」「受け入れ費用」「文化・宗教等の違い」

外国人材の介護現場受入に対する課題として、トップは「言語能力」の74%で、以下「受入れに関する費用」57%、「文化・宗教等の違い」55%、「監理・手続き上の手間」が54%、「制度上の制限」が34%と続きました。

実際の業務に関してはどのようなものでしょうか。調査では、外国人材の服薬介助について聞いています。最多が「一定の条件のもとであれば問題ない」で62%、次いで「問題ない」が24%、「行うべきではない」と「わからない」がそれぞれ7%と、外国人職員による服薬介助に概ね拒否感がないことがわかりました。

「一定の条件」について、回答理由(自由記述)によると、「看護師の指導の下」「言語能力に問題がない」「習熟度・技能の向上」にほぼ集約されます。「問題ない」と回答した理由については、「現実に行っていて問題は発生していない」「ヒューマンエラーの確率は日本人と外国人では変わらない」などが見られました。

一方「行うべきでない」との回答理由は、ほとんどがミスの発生に対する懸念ですが、「家族の理解が得られない」という回答のほか、「外国人に頼るのは日本の国力低下につながる」「できる限り自国の労働力でまかなう必要がある」という回答もみられました。

外国人材に対しては介護技術の教育だけでなく言語能力の向上サポートを

外国人介護人材の受け入れに当たっては現在、「特定技能」「技能実習」「在留資格“介護”」の3つの制度が乱立しています。そして各制度の中でも複数の取り扱い条件があり、技能実習生の場合は受け入れ企業を監督する監理団体があります。極めて制度が複雑なことは確かです。まず、外国人介護職員の受け入れを促進するためには、この点の改善を求める声が多いようです。

厚労省も8月26日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で一定の要件下で就労開始直後から人員配置基準の算入対象とするルールの見直し案を提示するなど、既存制度の組み換えに取り組んでいます。
同時に各施設においては、介護技術の教育だけでなく、言語能力の向上サポートを行うことが、より外国人材の生産性を高めるために不可欠と言えるでしょう。

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