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【セミナーレポート】新型コロナウイルス第7波の特徴と施設対応の留意点

介護施設におけるクラスター発生が依然、高水準にとどまり、衰えを見せない新型コロナウイルス。何が原因で、どう対策すればいいのでしょうか。2022年8月31日に行われた公益社団法人北九州高齢者福祉事業協会 様の研修で登壇した、ドクターメイト代表医師 青柳直樹による解説の一部をご紹介します。

新型コロナウイルスとはなにか?

コロナウイルスは通常の風邪のウイルスの一種です。その風邪のうちの30%がコロナウイルスによって引き起こされるという身近なものです。ただ、このコロナウイルスには「変異が起きやすい」という特徴があり、致命率9.6%の「SARS」や致命率34.4%の「MERS」という重症感染症も引き起こします。

新型コロナウイルスは、日本ではCOVID-19として知られるが、学術的には「SARS-CoV-2」と呼ばれる重症型コロナウイルスの1種としてとらえられています。新型コロナウイルスははじめは中国の武漢でSARSと似たウイルスとして発生報告されたのですが、報告した医師が重症化して若くして死亡し、それに対して危機感を感じた世界がロックダウンやワクチン開発を進めた、ということがあります。この背景には、前述のSARSやMERSのようにコロナウイルスの変異種に苦しめられた過去があるので、スピード感をもって対応したということがあります。

当初の想定よりもこの新型コロナウイルスが厄介だった点として、新型コロナウイルスの感染力が強いことが挙げられます。途中でどんどん性質が変わってしまい、データが蓄積されず、各国が慎重な対応を取らざるを得ず、また、データが無いため、各国の対応が異なるという結果になっています。新型コロナウイルスは変化がとてつもなく早いのが特徴です。なぜ変化が早いのかについては、ウイルス自体の変化が早いのではなく、ウイルスの一部であるスパイク蛋白と呼ばれるところの変化が早いということがあります。

新型コロナウイルス”オミクロン株”の特徴とは

現在、オミクロン株が第7波を引き起こしていますが、オミクロン株の中でも次々と変化しています。第7波に関しては、これまでの第5波第6波とくらべても桁違いな感染力を示しています。第7派は各国ともオミクロン株のBA.5が主体です。なので、コロナウイルスに対する対策については、このオミクロン株に対してどうすればいいか、を考える必要があります。

オミクロン株 BA.5の特徴として以下の3点が挙げられます。

・ウイルス表面のスパイク蛋白が30個以上も変異
・ワクチンの効果が得られにくい
・3回目摂取でもかかる。ブレイクスルー感染

当初のアルファ株からオミクロン株に移行するにつれ、毒性は下がっていますが、感染力が大きくなっています。これはウイルスとしては正常な進化といえるもので、ウイルスが拡散させるためには、感染した生物を殺すことなく、どんどん感染を拡大させる必要があるためです。

この感染力の強いオミクロン株に対し、介護施設の取るべき対策として、「標準的予防策の実施」「ゾーニングの実施」「ワクチン」の3つが挙げられます。それぞれについて解説していきます。

北九州_オミクロン

新型コロナウイルス対策(1)感染者・非感染者に関わらず標準的予防策をしっかりと!

うがいや手洗い、マスクなどの日々行っていることが標準的予防策となります。唾液や口の中を触るなど、感染を起こす可能性があるときには感染予防をしましょう。個人防護具を正しく使えることも重要ですが、環境によって使い分けを行うのが良いでしょう。

コロナウイルスの感染経路は3つあります。メインは咳やくしゃみ、また会話などにより、唾液に含まれたウイルスがまき散らされる飛沫感染です。特徴的なのはエアロゾル感染と呼ばれるものです。コロナウイルスは粒子が小さく、空気中に残り続ける時間が長いのです。これを防ぐために換気が必要で、空気中のウイルスを除去する必要があります。特に感染者のケアをする状況においてはこのエアロゾル感染に注意する必要があります。もう1つは接触感染ですが、実はデータ上ではほとんどないと言われています。ただ、感染者のケアをする場合は接触感染の可能性があるので、対応が必要です。

具体的な対策として、まずベースにあるのは感染者・非感染者に関わらず、標準的予防策をしっかりと行うことが重要です。あとは実際に感染を疑う者の有無により対応策は分かれます。

新型コロナウイルス対策(2)施設のゾーニングや手順の標準化を

共通ゾーン(グリーンゾーン)と感染者がいるゾーン(レッドゾーン)を分けましょう、というのがゾーニングの基本的な考え方ですが、実際にはこの間に手を洗ったりする中間ゾーンが必要です。個人防護具などの実際の使い方が人によって異なる場合があるので、個人防護具の着け外しの手順や、中間ゾーンでの手を洗うタイミングなどの手順の目線を施設で合わせておくことが大事になってきます。ゾーニングしたから大丈夫、ではなく、そこでなにをどういった順番でやるのか、設計をするのが非常に大事になってきます。

北九州_ゾーニング

新型コロナウイルス対策(3)重症化予防効果・死亡予防効果が期待されるワクチン

ワクチンとは何かについてですが、予め病原体もしくはその一部を入れて、体内の免疫細胞に覚えさせ、いざ感染源が入ってきた時に素早く反応できるようにするものです。ワクチンは大きくわけて生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。生ワクチンは弱毒化した病原体を体の中に入れます。本物の病原菌が体に入るので、リスクはありますが感染予防効果が長く続くというメリットがあります。不活化ワクチンはウイルスや病原体の一部を体に入れるもので、インフルエンザワクチンもこの不活化ワクチンです。コロナウイルスワクチンはこのリスクが少ない不活化ワクチンですが、効果の持続時間が短いので、続けてワクチンを打つブースター接種が行われています。

日本に入ってきているワクチンはmRNAワクチンでこれは不活化ワクチンです。mRNAは体内でタンパク質を設計する設計図で、ワクチンによってスパイク蛋白の部分を体内で作っていくので、ウイルス自体が作られるわけではありません。ワクチンの効果については感染予防効果よりも重症化予防効果と死亡予防効果が期待されています。

(2022年8月31日 公益社団法人北九州高齢者福祉事業協会 様 研修より抜粋)

ドクターメイトは、新型コロナウイルスのクラスター発生施設における夜間オンコール代行などの実績もあり、介護施設における新型コロナウイルスに対するノウハウを有しています。”もしものとき”の備えに、ぜひ、ドクターメイトをご検討いただくとともに、お問い合わせください。

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