
特養をはじめとした介護事業所において、看護職員の人手不足が大きな課題の1つとして挙がっています。公益社団法人日本看護協会は毎年、都道府県ナースセンターの登録データの集計・分析結果をまとめ、公表しています。その中から、特養をはじめとする介護領域の看護職員の求職・求人・就職データについてご紹介します。

特養1.42倍、老健1.08倍の一方、看多機は0.37倍
施設・サービス別の求人倍率では「訪問看護ステーション」が最も高く4.18倍となり、前年度の3.9倍よりもさらに上昇しています。ついで、「病院(20~199 床)」2.64倍、「病院(200~499 床)」の2.27倍、「ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム」の1.80倍、「病院(500 床以上)」の1.72 倍となりました。

特別養護老人ホームは1.42倍、老健が1.08倍と1倍を超える一方で、デイサービス・デイケアセンターが0.80倍、看多機では0.37倍と介護領域の中でも求人倍率に大きな差があることが明らかになりました。
「退職したい理由」「転職先に求めるもの」は
看護職として就業している求職者が今の職場を退職したいと考えている理由については、「看護職の他の職場への興味」が14.5%と最も多く、次いで「子育て」10.7%、「転居」8.4%、「結婚」8.0%、「勤務時間が長い・超過勤務が多い」7.6%、「自分の健康(主に身体的理由)」 7.4%の順となりました。
年齢別では、「24歳以下」では「看護職の他の職場への興味」、「自分の健康(主に精神的理由)」 、「自分の適性・能力への不安」 「責任の重さ・医療事故への不安」が多く、「60歳以上」では「定年」、「親族の健康・介護」、「自分の健康(主に身体的理由)」が多い結果となりました。
就職の際に重視する条件として求職者が求職時に挙げたものについては、「勤務時間」が最も多く、次いで「給与」、「看護内容」、「通勤時間」、「休暇」の順にとなりました。
求職者に「選ばれる」職場環境づくりを
独立行政法人福祉医療機構の「2023年度 特別養護老人ホームの人材確保に関する調査結果」によると、2022年度に61.4%の特養で「看護職員が退職した」とされています。

新たに看護職員を採用する場合、同地域の他の特養や有料老人ほーむなどと職場環境などでの差別化を意識するのはもちろん、訪問看護ステーションや病院の求人情報などもベンチマークとしてチェックすることが重要といえるでしょう。
公益社団法人 日本看護協会「2023年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 結果」