
公益財団法人介護労働安定センターが公表した令和6年度の介護労働実態調査結果から、ICT機器・介護ロボットの導入実態やその効果実感について解説します。

施設系(入所型)の導入率 介護ソフト83%、見守りセンサー70%
施設系(入所型)のICT機器・介護ロボットの導入実態について、「パソコンによって利用する介護ソフト」は82.8%の事業所で導入、「介護業務用のアプリが入ったタブレット端末・スマートフォン」は52.2%の事業所で導入、「施設の居室内に設置する見守りセンサー」は70.1%の事業所で導入していることが分かりました。また、それらのICT機器を繋ぐ「施設内のICT機器同士の通信のためのWiFi設備」については65.7%の事業所で導入されています。
介護ロボットについては、「移乗を支援する介護ロボット(マッスルスーツなど)」6.2%、「利用者の移動を支援する介護ロボット」5.4%、「排泄を支援する介護ロボット」1.9%など、まだ活用する事業所が少ないことが分かりました。

労働時間と介護の質の向上 ICT・介護ロボット導入事業所の半数弱が効果を実感できていない
施設系(入所型)ICT機器等 ・介護ロボットの導入効果について、 「効果がある」と「やや効果がある」の合計では、「昼間の業務負担の軽減」73.1%、「夜間の業務負担の軽減」72.6%といずれも高い効果実感があることが分かりました。一方で、「勤務時間(残業など)の短縮」が50.1%、「介護の質の向上」が56.5%と、労働時間と介護の質に関しては半数弱の事業所が効果を実感できていませんでした。

ICT・介護ロボットの「導入すること」それ自体を「目的」にしない
ICT機器・介護ロボット機器の導入は、多くの施設で業務負担の軽減に効果をあげる一方で、勤務時間短縮や介護の質の向上につながっていない施設が一部あることも分かりました。ICT機器等や介護ロボット機器の導入の際には、「導入すること」それ自体を目的とするのではなく、「導入することで何を改善したいのか」をしっかり定め、それを定量的に判断できるような導入計画が必要と言えるでしょう。
公益財団法人介護労働安定センター 令和6年度 介護労働実態調査