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【最新データを詳しく解説】介護施設における高齢者虐待実態

厚生労働省は、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律第26条に基づき実施した、高齢者虐待実態調査の報告書を公表しました。その中から、令和6年度における介護施設における虐待実態について、詳しく解説します。

・令和6年度の施設従事者等による虐待相談・通報件数は 3,649 件(前年度比 5.6% 増)、虐待判断件数は 1,220 件(同 8.6% 増)。通報者の 54.2% が当該施設の職員・管理者等であった。

・虐待の種類は「身体的虐待」が 51.1% で最多、「心理的虐待」が 27.7%、「介護等放棄」が 25.7%。また「身体的+心理的」の重複も 8.4% 存在した。


・発生時間帯は「夜間(夕食後〜起床前)」が 55.0% で過半数を占め、発生場所は「居室(寝室内)」が 65.8% で最多となった。


・被虐待者の属性は、75 歳以上が 86.3%、要介護3以上が 74.3%、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上が 75.3%(不明を除くと 90.9%)を占めた。


・虐待者の属性は「介護職」が 81.3%。年齢別では30歳未満が 9.7%、30〜39歳が 17.9% であり、若年層の割合が介護従事者全体よりも高い傾向がみられた。性別は男性が 53.5% であった。


・虐待の発生要因は「教育・知識・介護技術等に関する問題」が 53.9% で最多。次いで「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」が 27.0%、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が 23.4% であった。


・虐待に該当する「身体拘束」を受けた高齢者は全体の 22.0% を占め、身体的虐待を受けたケースの 43.1% で身体拘束が行われていた。また虐待があった施設のうち 22.3% で過去に何らかの指導等が行われていた。

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<相談・通報件数> 前年度から増加 半数以上が施設関係者からの相談・通報

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待の相談・通報件数は、市町村が受理したものが3,633件、都道府県が直接受理したものが16件で合計3,649件でした。市町村が受理した相談・通報件数は、令和5年度の3,441件から192件(5.6%)増加しています。一方、令和6年度内に虐待の事実が認められた事例数(虐待判断件数)は1,220件で、令和5年度の1,123件から97件(8.6%)増加しました。

相談・通報が寄せられた養介護施設・事業所の種類は、「特別養護老人ホーム」が25.2%で最も多く、次いで「住宅型有料老人ホーム」が19.9%、「認知症対応型共同生活介護」が13.0%、「介護付有料老人ホーム」が11.9%、「介護老人保健施設」が8.4%の順となりました。

相談・通報者の内訳は、「当該施設職員」が27.4%で最も多く、「当該施設元職員」8.6%、「施設・事業所の管理者」18.2%と合わせると、施設関係者が54.2%を占めています。また、「家族・親族」からの相談・通報は14.6%でした。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

<虐待行為の内容> 身体的虐待が最多 約1割で「身体的」かつ「心理的」虐待も

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待について、相談・通報が寄せられ、事実確認によって虐待の事実が認められた1,220件のうち、被虐待者が特定できなかった64件を除く1,156件において特定された被虐待者数は2,248人でした。

被虐待者が受けた虐待の種別・類型では「身体的虐待」が含まれるケースが最も多く51.1%を占めています。次いで、「心理的虐待」が27.7%、「介護等放棄」が25.7%、「経済的虐待」が10.3%、「性的虐待」が3.4%でした。また、虐待に該当する身体拘束を受けていた割合は22.0%を占めていたほか、「身体的虐待+心理的虐待」が8.4%を占めていました。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

虐待の深刻度> 7.9%で「重度」「最重度」の虐待が発生

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待行為の深刻度(行政担当者による)について、「1(軽度)」が46.9%となった一方、深刻度の高い「3(重度)」と「4(最重度)」が合わせて7.9%となっています。

虐待類型との関連では、身体的虐待の事案では「1(軽度)」、「3(重度)」、「4(最重度)」の割合が高く、介護等放棄では「2(中度)」、「4(最重度)」の割合が高く、心理的虐待では「3(重度)」、「4(最重度)」の割合が高い傾向がみられました。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

<虐待の発生時間帯、発生場所、発生状況> 半数以上が「夜間」に発生

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待における、詳細が確認できた222人の虐待行為についての、発生時間帯、発生場所、発生状況についても集計されています。

発生時間帯については、「夜間(夕食後~起床前)」が最も多く55.0%、次いで「日中(朝食後~夕食)」が28.4%となりました。

発生場所については、「居室(寝室)内」が最も多く65.8%、次いで「食堂・リビング」が13.1%となりました。

発生状況については、「状況によらない(特定の介護行為によらない)」が半数近くを占めていますが、特定の介護行為では「排泄介助」時が最も多く22.1%となっています。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

<被虐待者の属性と虐待内容> 大半を認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ(相当)以上が占める

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待における、特定された被虐待者2,248人の属性について、性別は「女性」が72.4%を占め、年齢は75歳以上が86.3%(85歳以上が60.8%)を占めていました。

要介護度は要介護3以上が74.3%、要介護4・5で52.4%を占めています。要介護度と虐待類型の関係では、身体的虐待が含まれる割合は「要介護5」が最も高く、心理的虐待が含まれる割合は「要介護2」、「要介護3」で高くなりました。

認知症の有無については、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ(相当)以上が75.3%(認知症の有無不明のケースを除くと90.9%)でした。認知症の程度と虐待類型の関係では、身体的虐待が含まれる割合は「Ⅲ」「Ⅳ/M」で高く、心理的虐待が含まれる割合は「なし/自立/Ⅰ」「Ⅱ」で高くなりました。

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)については、ランク「B」が27.8%で最も多く、「B」と「C」の合計で37.9%を占めていました。虐待類型の関係では、身体的虐待が含まれる割合は「B」で高く、介護等放棄が含まれる割合は、「C」で高く、経済的虐待が含まれる割合は、「自立/J」「A」で高くなりました。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

<虐待があった施設・事業所の種別と虐待行為の内容・程度>

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待について、虐待の事実が認められた事例1,220件のうち、サービス種別として最も多いのは「特別養護老人ホーム」(28.9%)でした。次いで「(住宅型)有料老人ホーム」(17.0%)、「認知症対応型共同生活介護」(14.8%)、「(介護付き)有料老人ホーム」(11.4%)の順となっています。

過去の指導等の有無をみると、虐待があった施設・事業所のうち、272件(22.3%)において過去に何らかの指導等や対応が行われていました。指導内容としては、虐待防止の取組や不適切ケア、事故発生時の対応、身体拘束の適正運用等に関するもののほか、人員基準違反等に関する指導、記録整備等に関する内容であることがわかりました。また、過去にも虐待が発生していたケースが214件(17.5%)ありました。

発生した虐待の種類・類型を、被虐待者が利用していたサービスごとにみると、いずれのサービス種別利用者においても「身体的虐待」が最も多くなりました。「介護保険施設」では「身体的虐待」、「介護等放棄」、「GH・小規模多機能」では「心理的虐待」、「その他入所系」「居宅系」では「経済的虐待」が、他のサービス種別に比べて含まれる割合が高くなっています。

被虐待者が利用していたサービス種別と虐待の深刻度の関係では、「介護保険施設」「GH・小規模多機能」「居宅系」では「1(軽度)」が高い傾向にあり、「その他入所系」では「2(中度)」~「4(最重度)」の割合が高い傾向がみられました。

虐待の事実が確認された施設・事業所において取り組まれていた虐待防止に関する取組の状況について、「管理者の虐待防止に関する研修の受講」は779施設・事業所(63.9%)で、「職員に対する虐待防止に関する研修の実施」は999施設・事業所(81.9%)で、「虐待防止委員会の設置」は956施設・事業所(78.4%)において実施されていました。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

<虐待者の属性> 介護職員、39歳以下の職員の割合が多く

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待において、虐待の事実が認められた事例のうち、虐待を行った養介護施設従事者等(虐待者)が特定できたのは1,409人でした。

虐待者の職名・職種については「介護職」が1,145人で81.3%を占めています。

年齢は、30歳未満が137人(9.7%)、30~39歳が252人(17.9%)、40~49歳が222人(15.8%)、50~59歳が247人(17.5%)、60歳以上が166人(11.8%)でした。また、この調査の男女別年齢と介護従事者全体(介護労働実態調査)を比較すると、男性と女性ともに「30歳未満」、「30~39歳」の虐待者の割合が介護従事者全体よりも高い傾向がみられました。

虐待者の性別は、「男性」754人(53.5%)、「女性」614人(43.6%)でした。虐待者の男女比については、介護従事者全体(介護労働実態調査)に占める男性の割合が23.6%であるのに比して、虐待者に占める男性の割合が53.5%であることを踏まえると、「本調査での虐待者」の方が男性の割合が高くなっています。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

<虐待の発生要因> 「教育・知識・介護技術等に関する問題」が最多

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待において、虐待の発生要因として記載のあった1,220件の記述内容を複数回答形式で分類した結果、最も多かったのは「教育・知識・介護技術等に関する問題」(53.9%)で、次いで「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」(27.0%)、「職員のストレスや感情コントロールの問題」(23.4%)、「倫理観や理念の欠如」(20.5%)の順となりました。

虐待の発生要因とサービス種別の関係では、「介護保険施設」では「職員のストレスや感情コントロールの問題」の割合が高く、「GH・小規模多機能」では「教育・知識・介護技術等に関する問題」の割合が高く、「その他入所系」では「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」の割合が高く、「居宅系」では「倫理観や理念の欠如」の割合が高い傾向が見られました。

虐待発生要因と虐待類型の関係では、身体的虐待では「教育・知識・介護技術等に関する問題」や「職員のストレスや感情コントロールの問題」が高く、介護等放棄では「教育・知識・介護技術等に関する問題」や「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」が、心理的虐待では「倫理観や理念の欠如」、「人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ」が、性的虐待では「虐待を行った職員の性格や資質の問題」が、経済的虐待では「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」、「倫理観や理念の欠如」、「虐待を行った職員の性格や資質の問題」が、指摘される割合が高い傾向が見られました。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

<虐待と身体拘束との関係>

令和6年度の養介護施設従事者等による高齢者虐待において、特定された被虐待者2,248人のうち、虐待に該当する身体拘束を受けた高齢者は495人(22.0%)を占めていました。

そのうち、身体的虐待を受けた被虐待者に占める身体拘束の割合は43.1%を占めており、養介護施設従事者等における高齢者虐待事案の中で大きな要因となっています。

サービス種別では、虐待に該当する身体拘束が行われていたのは「その他入所系」(38.8%)で高く、虐待者の規模(人数)を身体拘束の有無別にみると、虐待に該当する身体拘束が行われていた事例では複数の被虐待者が存在する事例、複数の職員が虐待を行っていた事例の割合が高くなりました。

図表は全て 厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」 より

厚生労働省 老健局「高齢者虐待の実態把握等のための調査研究事業 報告書」

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