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検査値の見方についてわかりやすく解説した相談事例
介護施設担当者 Nさん
採血データーで尿路感染から菌血症、敗血症の間くらいになっており、CRP28 で入院になった方がいます。不整脈もでて頻脈で、かなり厳しい状態と言われました。
そのデーターの中で、Fib873、FDP22.5、Dダイマー7.8という項目がありました。
これはどういったことで、どんなことが考えられるのでしょうか
じぶんで調べてもよく理解が出来なくて、、、いつも丁寧に教えていただける先生方に教えて頂けたらと思います。
お時間のあるときに、よろしくお願いいたします。勉強不足で申し訳ありません。
ドクターメイト 医師A
ご質問ありがとうございます。
こういった質問は良いですねこういったことは調べるよりも聞いてもらったほうが、良いですね!
こういう質問ができるのがドクターメイトの良いところだと思います。
さて、以下は長文になりますが、流れを読んでいけば理解できるように構成してみましたので恐れずに目を通して見て下さい。
この検査値を解説する前に、人間には以下の2つの機能があります。
①血の塊(血栓)を作る機能 ←出血から身を守るためです。
②血の塊を溶かす機能 ←血の塊が血液の中を流れていき、小さい血管に詰まってしまうのを防ぐためです。
そして、
・ Fib(フィブリノーゲン)は①の血栓を作る時に上がるもの
・ FDP,Dダイマーは②の血栓を溶かす時に上がるもの
です。FDPとDダイマーは厳密には違いますが、ここでは同じものとして捉えて良いです。
※厳密に言えばFibは血栓を作るための材料。FDP,Dダイマーは血栓を溶かした時にできる蛋白質です。
さてさて準備はよろしいですか?
ここらへんの話は、しっかりしようと思うとかなり複雑ですが、簡略に述べたいと思います
まず、大怪我をした時の体の変化をイメージしてみましょう!
・大怪我をした!出血をしてしまう!血を止めなければ!
↓
・出血が続かないように血栓を作って傷をふさごう
↓
・Fib(フィブリノーゲン)が上昇する
↓
・血栓のおかげで傷が塞がって、血は止まった!だけど、この血の塊が他のところに流れていくとまずい…
↓
・よし、流れていく前に血を溶かそう
↓
・FDP、Dダイマーが上昇する
このような反応が起きるわけですね。
イメージはできたでしょうか?
では、ここからが本題です!
元々は上記のように怪我から体を守るためにある仕組みなのですが、あまりにも大きな事態が起こって体の中がパニックになると、「全身の血管のどこでも構わずに狂ったように血栓ができてしまう」ということが起こります。
これがDIC(disseminated intravascular coagulation、播種性血管内凝固症候群)と呼ばれる病態です。
英語の名前の長さに惑わされず、
体がパニック → 本来できてはいけないところに血栓が沢山できてしまう
というイメージを持てれば大丈夫です。
体がパニックになる原因はいくつかあるのですが、その一つに敗血症があります!
そして、医療の場でFib(フィブリノーゲン)、FDP、D-ダイマーを測るというのは、このDICの状態であるかどうかを判断するためです。
この方の検査の値をみてみましょう。
Fib、FDP、D-ダイマーはすべて異常に上昇しています。
では、何が起きているのかというと、
尿路感染からの敗血症
↓
体の中はパニック状態に!!本来は菌がいないはずの血液に菌が入ってくる状態はかなりまずい!!
↓
血の塊が色々なところでできる!
↓
Fib上昇
↓
それと同時に、増えすぎた血栓を必死で溶かそうとする反応も起きる!
↓
FDP、D-ダイマーが上昇
このような事が起きているのだろうなということが想定されます。
実はFib、FDP、DダイマーだけではDIC状態かどうかは判定できないのですが、かなりDICの恐れがあると思います。
DICだと何がまずいのかというと、
①色々な臓器の細かい血管に血栓が詰まってしまう。色々な臓器がダメージを受ける→多臓器不全
②DICの状態が続くと、血栓をつくるための材料を使い切ってしまい、今度は逆に血が止まらなくなる→脳出血などの危険な出血
ということがまずいのです…
治療としては一番重要なのは、体のパニック状態を治すことです!
敗血症であれば、適切な抗菌薬をしっかりとした期間使用して治すことです!
なので、入院で点滴で直接抗菌薬を血管の中に投与する必要があるのですね
どうでしょうか?イメージできたでしょうか?
この部分は難しいところで、医学生でもちゃんと理解していない人もいるのではないかと思っています
わからないことがあったら遠慮なくご質問下さいねいつでも何でもお答えしますよ!
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