令和4年度の厚生省老健局関連予算概算要求 980億円増額の3兆5292億円に
政府は昨年12月24日、新年度の令和4年度予算案を閣議決定しましたが、それが1月17日に国会に提出されました。一般会計の総額は107兆5964億円と過去最大です。これにはすでに3年目に突入しているコロナ禍に応じた新型コロナ対策の費用なども盛り込まれています。これについて予算案に盛り込まれた介護関連、厚生労働省老健局の概算要求の中身について今回解説したいと思います。
まず、老健局の令和4年度概算要求額3兆5292億円、令和3年度当初予算から対前年度伸び率は2.9%増の980億円増額です。このうち他局関連ではない老健局計上分は3兆2640億円で、この分のみでは対前年度伸び率は2.8%増の877億円増額です。一般会計の総額は過去最大と書きましたが、これは令和3年度の当初予算を9867億円上回っていて、このうち約1割がこの老健局関連となります。
_ 介護保険制度による介護サービスの確保、地域の体制構築が増額のほか、処遇改善分も
注目されるのは増額分ですが、大枠で分類した8項目のうち、絶対額で増額が著しかったのは「介護保険制度による介護サービスの確保、地域の体制構築」で、令和3年度予算の3兆3121億円から今回の概算要求では3兆4084億円で、963億円増えています。ただ、これは端的に言ってしまえば、多くが高齢化に伴う単純な介護サービスの増加を見込んだ、いわば自然増分です。なお、岸田首相の政策の目玉である「新しい経済政策パッケージ」に基づく介護職員の更なる処遇改善については「予算編成過程で検討」と記載されていて詳細は未定ですが、この分が含まれる予算の前年度の増額は949億円ということから、どの程度の規模になるかは大方想像がつくかと思います。 いずれせよ今回の老健局予算案の増額分の多くが、介護サービスの自然増と介護職員の処遇改善分に割かれることになります。
また、これ以外の大枠分類8項目のうち令和3年度当初予算から増額見込みは、「介護離職ゼロの実現等に向けた基盤整備」が1070億円(前年度比1億円増)、「介護分野における生産性向上の推進」が16億円(同8億7000万円増)、「地域包括ケア、自立支援・重度化防止及び在宅医療・介護連携の推進」が418億円(同9億円増)、「認知症施策推進大綱に基づく施策の推進」が130億円(同5億円増)となっています。
_ 「生産性向上推進」関連の予算も増額
予算規模は小さいとはいえ、一番増額が目立つのは生産性向上の推進に関連するものですが、「介護ロボット開発等加速化事業」が9億9000万円(4億4000万円増)、「ケアプランデータ連携システム構築事業」が2億7000万円、「オンライン申請を見据えた介護サービス情報公表システム改修事業」が9000万円と、いわばICTの推進のための予算であることが分かります。これと同じICT関連への重点配分傾向が見えるのは増額の絶対値が大きい「地域包括ケア、自立支援・重度化防止及び在宅医療・介護連携の推進」で、この中で「科学的介護データ提供用データベース構築等事業」で令和3年度の4億3000万円から12億円と約3倍になっています。
一方、「認知症施策推進大綱に基づく施策の推進」では、社会・援護局分計上の「成年後見制度の利用促進のための体制整備」「多様な主体による権利擁護支援の連携・協力体制等の強化」の増額分が主となっています。
なお「新型コロナウイルス感染防止に配慮した介護サービス提供体制の確保等」は549億円で前年度と同じです。
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https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/iryou/211220/211220iryou_0104_03.pdf