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特養における緊急時対応や看取りの実態について

特養における緊急時対応や看取りの実態について

 令和2年度老人保健健康増進等事業「特別養護老人ホームにおける看取り等のあり方に関する調査研究事業」から、緊急時対応の実態や看取りの現状について解説します。

 まず、救急搬送の原因となった症状・出来事について、調査では全体の4分の1が事実上詳細が不明で、原因が判明しているもので最多は「誤嚥性肺炎」が20%、その他には「原疾患の増悪(その他)」が16.4%、「原疾患の増悪(脳血管疾患)」が10.7%、「原疾患の増悪(心疾患)」が8.4%、「その他の感染症(ノロウイルス、インフルエンザ等)」が7.1%、「骨折等のケガ」が6.6%などです。原疾患の増悪は防ぎきれないものですが、残る原因は状況次第で防げた可能性があることが浮かび上がっているとも言えます。

 原因トップの誤嚥性肺炎は、発生ゼロを目指した取り組みが各地で行われています。その中には言語聴覚士の介入による嚥下機能訓練などもありますが、これは人員の確保などの観点から、全ての特養で行える取り組みではないのが現実でしょう。

 一方で誤嚥性肺炎が最も起きやすい局面が食事介助時であることは言うまでもなく、熱心に取り組んでいる特養の事例では、食事介助時のスプーンを小さくする、介助者が立った姿勢で行わないなどの簡易な内容も目立ちます。裏を返せば介助時間という効率性を追求すると起きやすいと言えそうです。また、誤嚥性肺炎予防策として多くの施設で行われているのが歯科医による介護職への口腔ケア研修です。口腔ケアは救急搬送原因の5番手に挙がっている感染症の予防にも有効なため、今後各特養で必須の取り組みといえます。 いずれにせよ誤嚥性肺炎は一旦起きると、利用者がその後の医療ニーズが高くなることで特養に戻れない、あるいは最悪死を招き、結果的に各特養の対外的評判の低下につながることも少なくありません。改めて対策を検討することが必要だと思われます。

 救急搬送の回避に向けて必ず行う処置(複数回答)では、「看護職による駆けつけ・対応」が75.3%、「看護職による電話対応」が74.6%、「配置医師による電話対応」が59.0%「、レスキューオーダーに沿った初期対応」が28.2%、「配置医師による駆けつけ・対応」が20.6%などです。この回答内容や前回触れた夜間対応の8割が看護職のオンコール対応であることなどを考え合わせると、看護職の負担の大きさが改めて浮き彫りになっています。一方、同調査によると特養入所者の死因の半数超の52.3%が「老衰」で、これ以外は「心疾患」が10.9%、「肺炎」が10.7%、「脳血管疾患」が8.4%、「がん」が5.2%です。

 看取りの受入方針としては、「施設で亡くなりたいという希望があれば受け入れる」が83.9%で、看取り予定であったが看取ることができなかった人数が0人と回答した事業所は87.9%となっていて、特養での看取りがかなり進んでいることを示しています。同調査によると実際の看取り率(居室・静養室での看取り数/(死亡による契約終了+病院・介護医療院・療養型への退所者数)の平均は47.1%でした。また、実態として看取りを受け入れないことがある理由としては、「理由はない(すべて受け入れる)」が37.9%、「家族の意見が一致していない」が20.3%、「家族の同意が得られていない」が17.5%、「夜間に看護職員がいない」が10.6%、「施設での看取りを支援してもらえる医師・医療機関がない」が9.3%で、マンパワーが看取り受け入れの障害になっているケースは少ないことがうかがえます。

 看取りと判断されて以降、配置医師の対応が特に増える業務としては、「急変等による電話での対応」55.8%、「点滴や薬剤の調整のための指示回数」45.9%、「診察の回数」45.2%、「駆けつけによる急変等への対応」29.8%、「施設にいる時間」10.8%などとなっています。

 詳しくはこちらから
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/iryou/211220/211220iryou_0104_03.pdf

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