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特養における医療提供機能の現状と課題~令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会から(1)<daily news pickup 4月25日>

2024年度のトリプル改定に向けて、制度横断的な課題の整理などを行う意見交換会の第2回が「高齢者施設・障害者施設等における医療」などをテーマに、4月19日に開催されました。意見交換会で提示された議題の中から、特養や介護付有料、グループホームなどの高齢者施設の現状と課題、そして報酬改定に向けた論点を施設区分別に解説します。ここでは、特養における医療提供機能の現状と課題について解説します。

特養における医療提供機能の現状

特養の医師については、「入所者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数」を配置することが基準上求められている(配置医師)が、一施設あたりの配置医師数の平均は約 1.6 人で、非常勤が約9割を占めています。

厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」資料より

看護職員については、入所者数に応じた人数の配置が基準上求められており、一施設あたり平均は常勤換算で4.2 人でした。看護職員が必ず勤務している時間数は、「9~10 時間未満」が 50.9%と過半数を占め、平均は9.9時間。また、「24 時間」看護職員が勤務している施設は1.4%でした

厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」資料より

特養における給付の範囲については、主に配置医師による「健康管理又は 療養上の指導」に係る医師の診療は介護保険での給付となりますが、末期の悪性腫瘍や看取り、配置医師の専門外で特に診療を必要とする場合等に行う往診等は医療保険で給付されています。近年の改定において、中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算について、従来の死亡日以前30日前からの算定に加えて、死亡日以前45日前からの対応について新たに評価する区分を設ける等の対応を実施しています。

厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」資料より

特養における医療提供機能の課題

特養において提供可能な医療については、酸素療法(酸素吸入)を行うことが可能な施設が約54%、静脈内注射(点滴含む)が約32%、喀痰吸引(1 日8回以上)が約24%でした。また、退所者のうち 69.0%が死亡によるものであることや、83.0%の特養が施設 における看取りに対応していることから、特養は「終の棲家」としての機能は一定程度果たしているといえます。

厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」資料より

そうした中、特養における配置医師が行う健康管理や療養上の指導は、介護報酬において評価されているが、配置医師との契約形態等により、配置医師が不在時において、急変時の対応が難しい状況が発生しうるという指摘もあります。実際に、配置医師が不在時に生じた急変等の対応方法としては「配置医師によるオンコール対応」は平日・日中:63.2%、平日・日中以外:38.2%、「配置医師以外の医療機関によるオンコール対応」は平日・日中:16.0%、 平日・日中以外:30.3%、「上記は実施せず、救急搬送」は平日・日中:26.0% 平日・日中以外:38.2%となっています。

厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」資料より

また、配置医師緊急時対応加算の算定率が5.9%にとどまっていることや、 看取りを受け入れられない場合がある理由として「対応が難しい医療処置があるため」と回答する施設が 48.8%あり、医療対応が必要な場合でも可能な限り施設で生活を送ることができるようにする観点から、更なる取組みが求められています。

厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」資料より

厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」

【関連トピックス】

シリーズ 令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会から

介護老人保健施設における医療提供機能の現状と課題

有料老人ホームなどの特定施設における医療提供機能の現状と課題

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【関連資料】

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