2024年度のトリプル改定に向けて、4月19日に開催された第2回の意見交換会で提示された議題の中から、特養や介護付有料、グループホームなどの高齢者施設の現状と課題、そして報酬改定に向けた論点をテーマ別に解説するシリーズ。
ここでは、医療機関と介護施設・高齢者施設等の連携の現状と課題について解説します。
医療機関と介護施設、高齢者施設の連携の現状
介護保険施設は運営基準において入所者の急変や入院治療に対応するため協力病院を定めるものとされています。また、特定施設や認知症グループホ ームについては、協力医療機関(病院・診療所)を定めることとなっており、特定施設の協力医療機関は、病院が39.7%、診療所が53.4%となっています。一方で、例えば特養において、協力医療機関の種別は特定機能病院から地域医療支援病院、在宅療養支援病院、有床診療所等様々で、協力病院が担う業務についても施設間で差がある現状があります。
歯科医療については、入所者が歯科診療を必要とする場合、多くは医療保険による訪問歯科診療により提供されています。また、施設内で口腔の管理等を行う際も歯科医療機関との連携により行われますが、多くの介護保険施設が協力歯科医療機関を定めている一方で協力歯科医療機関が実施している内容は様々です。
医療機関と介護・高齢者施設等の連携の課題
特定機能病院などの高度な医療を提供しうる医療機関を協力病院(医療機関)としている施設が一定数あり、医療機関の持つ医療機能と、緊急時の相談対応や往診等の医療提供などの施設や入所者が求める医療内容が必ずしも一致しない可能性があるほか、医療機関へ退所した場合の退所先の病床種別については、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟等を除いた一般病床が大半を占めていますが、要介護者に適した入院医療を提供する観点からは、患者の状態に応じた医療機関との連携を進める必要があります。
歯科医療についても、介護保険施設に入所していても適切な口腔の管理が行われ、口腔の状態に応じ必要な歯科医療が提供されるよう、協力歯科医療機関や患者のかかりつけ歯科医などの地域の歯科医療機関との連携を推進する必要があります。
厚生労働省「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)」
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