folder_open 介護施設経営・運営調査・レポート calendar_month update

【ニュース解説】2027年6月には介護業界で外国人人材新規受け入れ停止の可能性も? 「特定技能1号」の現状を詳しく解説

昨今は大都市に限らず、地方でも外国人労働者を見かけることは珍しくなくなりました。多くの人が外国人労働者と出会う場所の代表格とも言えるのがコンビニエンスストアではないでしょうか?

ただ、コンビニで働く外国人の場合は労働者としての身分で来日しているわけではなく、ほとんどの在留資格は「留学」で、資格外活動許可を取得することで原則週28時間までアルバイトが可能な制度を利用しています。

コンビニ以外で外国人労働者を多く見かけるのは、おそらく飲食店でしょう。飲食店で働く外国人に関しては、前出の「留学」の資格の人もいますが、同時に特定技能制度を使った来日者が多いのが特徴です。

外食業での外国人人材の新規受け入れ 4月から原則停止に

昨今これに関連する話題として、政府が「特定技能1号」の対象分野である外食業での外国人人材の新規受け入れを4月13日から原則停止したことが注目を集めています。これは5月にも同制度で定めた外食業での受入れ上限5万人を超える見込みとなったためです。

 ご存じのように介護も特定技能制度の恩恵にあずかっている分野の1つです。介護業界では、この点がどのような見通しになるのか関係者も注目しているでしょう。そうした中で(株)JJS(本社・東京都板橋区)は、このほど出入国在留管理庁の統計に基づき、特定技能1号の対象分野の受入れ上限への到達時期を独自試算しました。その結果、5分野で2027年にも上限に達する見通しが判明しましたが、この中には介護も含まれます。同社の予測によると、介護分野の上限到達時期は2027年6月ごろ。あと1年後です。今回はこの件について解説します。

▶︎▶︎【無料ダウンロード】財務諸表から読み解く 黒字の特養 赤字の特養 
▶︎▶︎【無料ダウンロード】最低賃金上昇の波をどう乗り越えるか 〜介護施設が直面する課題への対策〜

特定技能制度とは

まず、改めて「特定技能制度」について簡単に説明します。同制度は国内で人材確保が難しい16の産業分野で、一定の技能と専門性を持つ外国人を受け入れるために2019年4月に創設された在留資格制度です。

制度には、特定技能1号(特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする業務に従事する外国人向け)と特定技能2号(特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向け)の2種類があります。このうち介護も含む5分野は1号のみが対象です。スタート時の対象産業分野は介護も含む14分野でした。

1号と2号の違いは、1号は在留期間が通算5年上限(2号は更新上限なし)、日本語能力水準は生活や業務に必要な日本語能力を試験などで確認(2号は不要)、家族の帯同は基本的に認められない(2号は要件を満たせば可能)となっています。

公益財団法人 国際人材協力機構 ホームページ より

特定技能制度が新設された改正入管法は、2019年4月1日に施行されましたが、2019年末時点の同制度での介護分野の在留資格取得者はわずか19人にとどまりました。しかし、

その後は2020年末939人、2021年末5,155人、2022年末1万6,081人、2023年末2万8,400人、2024年末4万4,367人と、コロナ禍中も含め倍々ゲーム状態で増加し続けてきました。

介護の現場で働いている皆さんも、ここ数年で外国人スタッフが確実に増えていると実感しているのではないでしょうか。実際、年間ベースで最新のデータである2025年末は6万7,871人にまで達しました。

この制度ではスタート当初から各分野の受入れ見込数が設定され、実際の運用ではこれを受入れ数の上限としています。制度当初の介護分野の上限は2019~2023年度で6万人でした。ただし、開始翌年にコロナ禍となり、出入国制限などもあった影響から2022年8月に受入れ見込数の見直しが行われ、介護分野は5万900人へと一旦引き下げられました。

その後、2023年5月の新型コロナウイルス感染症の感染症法上の5類への区分変更で行政上はコロナ禍が終焉したことから、2024年3月29日、改めて向こう5年間の受入れ見込数の再設定が閣議決定されました。これにより介護分野の受入れ見込数は一気に13万5,000人と倍以上に引き上げられました。

これは16分野の中で工業製品製造業(17万3,300人)、飲食料品製造業(13万9,000人)に次ぐ受入れ見込数で、今や特定技能制度全体を牽引する分野の一つになっています。このことは政府が介護分野での外国人人材活用を今後の人手不足対策の核心に据えていることの表れと言えますし、同時に介護現場の人手不足がいかに深刻かを物語っています。

介護業界 今のまま増加すると2027年6月には受入停止の可能性

さて今回上限達成時期の試算を行ったJJSでは、23年から24年、24年から25年のそれぞれの増加人数から「増加人数の増加率(加速率)」を算出。この結果、介護分野の加速率は1.43倍となり、この加速率で受入れ人数が増加するとの仮定で計算すると、2026年末は12万582人、そして2027年4~5月頃に現在の上限に限りなく近い13万3,500人との推計がはじき出されたとのことです。ここから上限に達するのは2027年6月としています。

プレスリリースより

もっともJJSでは、今回の予測から「実質的に来年度の前半には枠が埋まる」ことを意味するとして、停止直前の混乱を避けるため、早めの申請準備を呼び掛けています。また、介護分野はニーズが安定しているため、「他分野の停止ニュースに反応した『駆け込み』が発生しやすい」と分析し、実際の上限Xデーがさらに前倒しになる可能性も考慮する必要性を強調しています。

介護業界の中でも、この件で最も影響を受けるのは技能実習制度を活用した外国人人材の受入れを行い、特定技能1号へと切り換えているケースでしょう。これはある分野の技能実習2号(最長在留期間2年)の修了者が同一分野の特定技能1号に移行する場合は、日本語試験やその分野の技能試験が免除されるからです。この結果、特定技能1号の在留資格取得者の大部分は技能実習2号修了からの切替え者が占め、技能実習から特定技能への移行が事実上の外国人材育成ルートになっています。

JJSの予測に従えば、1年後には介護分野の特定技能1号の受入れ上限に達するわけですから、この人材育成ルートで現在技能実習2号1年目の人は特定技能1号への移行ルートが閉ざされる可能性があります。

人材危機に政府の動きは?

現時点で政府は、▽上限到達時の既存実習生の扱い▽ 技能実習→特定技能移行者を優先するか否か▽分野上限の拡大、についてなど今後の方向性は示していません。しかし、実務的には「完全に移行不能」にすると制度自体が崩れるため、調整が入る可能性は高いとの見方もあります。この理由については、(1)日本側の施設が将来の特定技能化を前提として人材育成を実施(2)介護は慢性的な人手不足(3)技能実習制度廃止後の「育成就労制度」も特定技能移行を前提としている、ためです。

しかし、政府は近年、外国人政策について厳しめの方向性を打ち出しているため、楽観視は禁物です。そのため今後、技能実習→特定技能1号の人材育成ルートを活用して外国人人材の受入れを行っている介護事業者は、対策が必要です。もっともシンプルな当面の対策としては、技能実習1号→技能実習2号→特定技能1号ルートの受入れ人数の見直しです。ただし、この対策の場合、今後の受入れ人数は先細りになり、ただでさえ人手不足の介護現場が一層ひっ迫する可能性があります。より前向きな対応としては、技能実習2号あるいは特定技能1号の外国人材の教育研修を強化し、介護福祉士資格を取得させて在留資格「介護」へ移行することです。これには相応の労力とコストも必要ですが、より抜本的対策と言えそうです。

株式会社JJS プレスリリース

▶︎▶︎認知症ケアのお困りごとを精神科医がサポート!オンライン精神科医療養指導
▶︎▶︎「診療・処方箋発行」をオンラインで完結。皮膚科の診察を手軽に!

\夜間オンコールができる看護師が足りない…/
\受診するべきか相談できればいいのに…/

ドクターメイトの
「夜間オンコール代行™」「日中医療相談」で解決!

導入した施設様のインタビューはこちら>>