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介護職員等特定処遇改善加算取得施設の平均給与額 前年比7,780円増に

少子高齢化の中で介護業界では慢性的な人手不足に陥っているのは周知のことです。ただ、その一因として従来から、負荷が高い業務内容に対して賃金水準が低いことが指摘されています。この点ではすでに2012年の介護報酬改定で、前年まで実施されていた厚生労働省の「介護職員処遇改善交付金」を引き継ぐ形で「介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算)」が新設されました。これによりキャリアパス整備や職場環境要件等といった算定要件を満たすことで処遇改善加算の取得が可能になりました。これに加え2019年の介護報酬改定では、介護職員処遇改善加算をすでに取得している施設が、介護福祉士をはじめとする施設内で指導者格の経験・技能のある介護職員へのさらなる処遇改善ができるよう、「介護職員等特定処遇改善加算(以下、特定処遇改善加算)」が新設されました。

3月24日に開催された第34回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会で「令和3年(2020年)度介護従事者処遇状況等調査」の結果が公表され、特定処遇加算を取得した施設での給与状況などの最新データが公表されました。今回はこの内容について解説します。

調査は2021年10月に無作為抽出した全国の高齢者施設1万3724施設・事業所に対して行われ、有効回答数は8812施設・事業所、有効回答率は64.2%でした。

回答施設・事業所で処遇改善加算を取得(届出)しているのは94.1%。特定処遇加算を取得できる処遇改善加算のⅠ~Ⅲを取得している施設の割合は93.7%でした。処遇改善加算のⅠ~Ⅲを取得している施設のうち、特定処遇加算を取得していた施設は72.8%。特定処遇加算Ⅰを取得していた施設が39.6%、Ⅱを取得していた施設が33.2%でした。

平均月間給与額 前年同月比7780円増も全産業平均月給を下回る

実際に特定処遇改善加算を取得している施設・事業所の常勤介護職員(月給・常勤の者)の平均月間給与額は、2020年9月が31万5410円、2021年9月が32万3190円で、対前年同月比7780円増。これを2021年度に新たに特定処遇加算を取得した施設・事業所のみに限定すると、28万390円から29万3800円へと1万3410円増となっていました。もっともこの数字は2020年の全産業平均月給35万2000円を下回っており、介護報酬のテコ入れでも「人並み」の収入に届いていないというやや厳しい現実も改めて浮き彫りにしています。

ちなみに給与の引き上げ理由(複数回答)については、「令和3年度介護報酬改定を踏まえて引き上げ」が9.5%、「特定処遇改善加算を踏まえて引き上げ」が23.1%、「処遇改善加算を踏まえて引き上げ」が15.2%、「介護報酬改定に関わらず引き上げ」が60.5%という結果です。

3割弱の施設はまだ特定処遇改善加算の届出を行っていないわけですが、その理由(複数回答)についても今回の調査で聴取しています。それによると上位4つは「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑」が42.2%、「職種間の賃金バランスがとれなくなることが懸念」が40.2%、「賃金改善の仕組みの定め方がわからない」が33.9%、「介護職員間の賃金バランスがとれなくなることが懸念」が33.4%でした。

取得していない事情はこれ以外にもあるでしょうし、また各施設の事情もまちまちなのは理解できます。しかし、1番目の「事務作業が煩雑」や3番目の「仕組みの定め方がわからない」は、特定処遇加算以前の処遇改善加算を取得していないごくわずかな施設での取得していない理由にも挙げる項目です。この点は周辺から見れば怠慢との批判は免れないのではないでしょうか?