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2021年に実施した高齢者施設等への無料PCR検査事業 その効果&意義は

PCR検査イメージ画像

東京財団政策研究所 は日本財団が2021年2~4月にかけて1都3県の高齢者福祉施設等の従事者を対象に行った無料のPCR検査事業の社会的意義および課題に関する分析結果を発表 しました。

日本財団による無料のPCR検査は1都3県合計で11,000以上の事業所が受検、延べ検査数は7,683,051回に上り、陽性率は0.131%でした。

通所・訪問系介護サービス事業所も対象としたことで施策の効果が上がる

日本財団が行った無料PCR検査事業は、早い段階で、老人ホーム等の入所系施設のみならず、通所・訪問系介護サービス事業所も検査対象としたことが効果的だった、と報告書では述べています。国が地方公共団体に対して定期的検査を行うよう要請した当初、クラスターが発生しやすいとして、入所系施設が対象となりました。しかし、実際は、通所・訪問系サービス事業所でもクラスターは多発しており、死者も少なくありませんでした。

高齢者施設・事業所の多くは複合型で、利用者は複数の事業所の多様なサービスを受けていることに加え、エッセンシャルワーカーも業務を兼務することがあり、居宅介護をコーディネートするケアマネージャーは、利用者やその家族の他、多くの介護サービス関係者と日々接しています。その結果、A施設のデイサービスで感染した利用者が、B施設でショートステイした時に看護師に感染し、その看護師が訪問サービスを提供した際、施設Bの訪問サービス利用者にも感染するというような事態が起きていました。検査陽性者が判明した際、閉鎖することが困難な入所施設とは異なり、通所・訪問型事業所ではサービスの規模を縮小できるが、その分経済的損失が大きく、クラスターが発生した通所・訪問系事業所では、各サービス部門で月数百万円の損失が発生した事業所もありました。

エッセンシャルワーカー自身、そして入所・利用者とその家族に安心感を与えられた

そうしたなかで行われた同事業の有効性について、報告書では外来診療が逼迫した地域もあったオミクロン株の蔓延期において、無症状および発症前の陽性者を特定することができたことで感染者の早期発見、感染拡大防止に一定の貢献ができたと考えられるとしています。また、それ以上の大きな功績として、「高齢者施設・事業所で勤務するエッセンシャルワーカーへの検査を通じ、エッセンシャルワーカー自身、そして入所・利用者とその家族に安心感を与えられた」ことを強調しています。

高齢者施設・事業所に勤務するエッセンシャルワーカーは、重症化リスクの高い利用者に感染させてはならないと常に重圧を感じて業務に従事しており、PCR検査で陰性判定を受けることで、定期的に精神的安らぎと社会からの信頼を得ることができたとという現場の声も紹介しています。

パンデミック下の高齢者施設における定期PCR検査について、報告書では週1回、2週に1回、月1回のいずれの頻度で行った場合においても、定期検査を行わなかった施設と比較して、より多くの二次感染者を予防でき、その結果、感染症対策にかかる総費用を削減できたこと、高齢者福祉サービス従業者等に安心感をあたえたことが示唆される一方、受検施設側への検体管理についてなど、事業運営上の課題や改善点もある、としています。

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