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どうなる!?感染症危機管理庁の今後の展開について

メルマガ_感染庁_0622

日本では組織新設には事前の根回しが伴うことが通例です。しかし、今回それはなかったようです。感染症対策に関わる国立感染症研究所のある職員は「全く寝耳に水。こちらには全く話がなかったので、所内はかなり混乱しました」と話していたほどです。ここからも政治主導がうかがえます。もっとも選挙対策の辻褄合わせというのは簡単ですが、曲がりなりにも公約を実現したことは評価できるともいえます。

さてそこで今分かっている情報から感染症危機管理庁の今後を予想します。まず、この庁はすでに内閣官房に設置することが決まっています。このことや司令部機能の強化という観点からは、内閣特命のデジタル庁などと同じく国家行政組織法の適用外の組織になりそうです。

現時点で組織のトップは感染症危機管理監(仮称)としています。役職名からは官僚が就任しそうですが、専門的分野なので外部登用する可能性もあります。また、庁の場合、デジタル庁や復興庁は所管大臣を置き、外局の庁のトップは官僚です(ただし外局の国家公安委員会は大臣が所管)。

なおデジタル庁は担当大臣の下に行政官トップのデジタル監を置いています。司令部、すなわち首相の権限強化を考えると、任免権のある大臣を置いた方が組織統括がしやすくなるので、感染症危機管理庁はデジタル庁に近い形になる可能性が高いと思われます。

感染症危機管理庁は何をする省庁になるのか

さらに岸田首相が同時に発表した感染症対策から、ある程度位置づけの予想をしてみます。同時に発表したのは、
(1)厚生労働省の下に国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合した「日本版CDC(疾病対策予防センター)」創設、
(2)厚生労働省の感染症関係部署を統合した「感染症対策部」(仮称)新設、
(3)医療逼迫防止のための都道府県の権限強化、です。
感染症危機管理庁は平時は医療体制拡充政策の立案とそれに伴う省庁間の調整を担い、非常時は①、②などを指揮下に置くそうです。

まず、(1)は従来、国立感染症研究所が感染症の基礎的な研究、流行状況の調査など、国立国際医療研究センターが臨床対応を担います。日本版CDC創設に当たって2つの組織をどこまで統合するかは分かりませんが、感染症での公衆衛生、基礎研究、臨床研究までを一気通貫にしようとしているのでしょう。

また、(2)も同様で厚生労働省では感染症対策の中核は健康局結核感染症課ですが、ワクチンは同じ健康局の健康課予防接種対策室、治療薬の承認は医薬・生活衛生局、治療薬の流通は医政局経済課、検査・治療の保険適応は保険局などに分かれています。これもどの範囲をどこまで統合するのかは現時点で不明ですが、何らかの一元化は目指すと考えられます。

これに首相直轄の感染症危機管理庁ということで、感染症情報(日本版CDC)、感染症行政(感染症対策部)、感染症政策決定(感染症危機管理庁)という3者の枠組みに簡素化してスピード感を発揮したい意図がうかがえます。その意味では、情報キャッチから対策までのタイムラインは、理想的に運用されればかなり迅速になるかもしれません。

もっともこの組織体制は首相の権限が強化されることから、スピード感が増しても首相が誤った政策決定をすれば意味がありません。結局、今のところ「仏」は作ったものの、大きな課題はそこに入れる「魂」になりそうです。

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