厚生労働省が10月23日に開催した第228回社会保障審議会介護給付費分科会の資料から、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)の改定の方向性についてお伝えします。
認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)の2024年介護報酬改定におけるポイント(論点)として、「医療ニーズへの対応強化(医療連携体制加算)」並びに「介護人材の有効活用(3ユニット2人夜勤について)」が挙げられています。
論点① 看取り対応を行った場合の評価
短期入所生活介護における医療的ケアの必要な利用者については、「いる」が58.6%と6割弱を占めており、事業形態別では「単独型」で「いる」割合が高く、75.9%でした。全体的に医療的ケアの対応割合は高まる傾向が続いており、「看取り期のケア」は令和元年度の5.8%から令和4年度には13.8%となっています。過去1年間の看取り期の利用者の受入実績についても、「ある」は18.5%と2割近くとなっており、事業別では単独型で21.5%と2割を超えています。
こうした現状を受けて厚労省では、次回改定における対応策として、事業所の看取り期の利用者に対するサービス提供体制を強化する観点から、レスパイト機能を果たしつつ、看取り期の利用者に対してサービス提供を行った場合は、新たに看取り期における取組を評価すること、そして、その新たに設立する加算は、看護職員の体制や看取り期における対応方針を作成していることを要件とすることを提案しました。
論点② 長期利用の適正化
短期入所生活介護においては、利用者が連続して30日を超えてサービスを受けている場合においては、30日を超える日以降に受けたサービスについては、短期入所生活介護費を算定することができない、と規定されており、自費利用を挟み同一事業所を連続30日利用している者に対してサービスを提供する場合には、連続30日を超えた日から減算が行われています。しかしながら、長期利用減算の算定割合は同減算を創設した令和27年度以降、毎年増加しています。
長期利用の実態について、1か月に事業所を利用した延べ利用者数について、連続利用日数別の割合を調べたところ、約1割が31日以上連続で利用していることがわかりました。31日以上連続利用している利用者について、約半数が121日以上利用しており、全体より介護度が重くなる傾向にあります。
31日以上連続利用者の利用目的について、連続利用3日以下は「介護者や家族の心身の負担軽減のため」や「介護者や家族の仕事の都合のため」が多かったが、連続利用日数が長くなるにつれてその割合は減少し、「要介護3以上の利用者で、特別養護老人ホームの入所待機のため」の割合が大きくなっています。
その影響もあって、短期入所生活介護の利用を希望したが断られた、あるいは利用できなかった理由については、「満床」が70.0%と一番多くなっています。
こうした現状を受けて厚労省では、短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護における長期利用について、施設入所と同等の利用形態となっていることから、施設入所の報酬単位との均衡を図ることを提案しました。
第229回社会保障審議会介護給付費分科会「(介護予防)短期入所生活介護(改定の方向性)」
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