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【2024介護報酬改定】改定項目 サービス別一覧~訪問看護

厚労省の社会保障審議会(介護給付費分科会)は12月19日に取りまとめた「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」の中から、訪問看護が対象となる改定項目についてまとめました。

令和6年度介護報酬改定は基本的な視点として「地域包括ケアシステムの深化・推進」「自立支援・重度化防止に向けた対応」「良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」「制度の安定性・持続可能性の確保」から構成されています。

介護報酬改定の実施時期はサービスごとに分かれており、訪問看護は2024年6月からのスタートとされています。

訪問看護の改定について、テーマごとに全項目をお伝えします。

地域包括ケアシステムの深化・推進〜地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取組

訪問看護と他の介護保険サービス等との連携強化

訪問看護事業所と他の介護保険サービス事業所等との連携をさらに推進する観点から、看護体制強化加算を算定するに当たり、他の介護保険サービス事業所等と連携を図ることが望ましい旨を規定する。

地域包括ケアシステムの深化・推進〜医療と介護の連携の推進<在宅における医療ニーズへの対応強化>

専門性の高い看護師による訪問看護の評価

医療ニーズの高い訪問看護利用者が増える中で、適切かつより質の高い訪問看護を提供する観点から、専門性の高い看護師が指定訪問看護、指定介護予防訪問看護及び指定看護小規模多機能型居宅介護の実施に関する計画的な管理を行うことを評価する新たな加算を設ける。

地域包括ケアシステムの深化・推進〜看取りへの対応強化

訪問看護等におけるターミナルケア加算の見直し

ターミナルケア加算について、介護保険の訪問看護におけるターミナルケアの内容が医療保険におけるターミナルケアと同様であることを踏まえ、評価の見直しを行う。

情報通信機器を用いた死亡診断の補助に関する評価

離島等に居住する利用者の死亡診断について、診療報酬における対応との整合性を図る観点から、ターミナルケア加算を算定し、看護師が情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合の評価を新たに設ける。

地域包括ケアシステムの深化・推進~感染症や災害への対応力向上

業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入

感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する。

その際、一定の経過措置を設ける観点から、令和8年3月 31 日までの間、感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しないこととする。

なお、訪問系サービス、居宅介護支援については、令和3年度介護報酬改定において感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備が義務付けられてから間もないこと及び非常災害に関する具体的計画の策定が求められていないことを踏まえ、令和8年3月 31 日までの間、これらの計画の策定を行っていない場合であっても、減算を適用しないこととする。

地域包括ケアシステムの深化・推進〜高齢者虐待防止、安全性の確保等の取組の推進

高齢者虐待防止の推進

利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、全ての介護サービス事業者(居宅療養管理指導、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売を除く。)について、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬を減算する。その際、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売については、そのサービス提供の態様が他サービスと異なること等を踏まえ、3 年間の経過措置期間を設けることとする。

また、国の補助により都道府県が実施している事業において、ハラスメント等のストレス対策に関する研修を実施できることや、同事業による相談窓口について、高齢者本人とその家族だけでなく介護職員等も利用できることを明確化する。

身体的拘束等の適正化の推進

身体的拘束等の更なる適正化を図る観点から、以下の見直しを行う。

ア:短期入所系サービス、多機能系サービスについて、身体的拘束等の適正化のための措置(委員会の開催等、指針の整備、研修の定期的な実施)を義務づける。また、身体的拘束等の適正化のための措置が講じられていない場合は、基本報酬を減算する。その際、1年間の経過措置期間を設けることとする。

イ:訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅介護支援について、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととし、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務づける。

自立支援・重度化防止に向けた対応~リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等<口腔>

訪問系サービス及び短期入所系サービスにおける口腔管理に係る連携の強化

訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、短期入所生活介護及び短期入所療養介護サービスにおいて、職員による利用者の口腔の状態の確認によって、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげる観点から、事業所と歯科専門職の連携の下、介護職員による口腔衛生状態及び口腔機能の評価の実施並びに利用者の同意のもとの歯科医療機関及び介護支援専門員への情報提供を評価する新たな加算を設ける。

良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり~生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり

テレワークの取扱い

人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、取扱いの明確化を行い、職種や業務ごとに具体的な考え方を示す。

人員配置基準における両立支援への配慮

介護現場において、治療と仕事の両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定について、以下の見直しを行う。

ア:「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週 30 時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。

イ:「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週 30 時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり~効率的なサービス提供の推進

管理者の責務及び兼務範囲の明確化

提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。

いわゆるローカルルールについて

都道府県及び市町村に対して、人員配置基準に係るいわゆるローカルルールについて、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要があること、事業者から説明を求められた場合には当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにすること等を求める。

訪問看護等における 24 時間対応体制の充実

緊急時訪問看護加算について、訪問看護等における 24 時間対応体制を充実する観点から、夜間対応する看護師等の勤務環境に配慮した場合を評価する新たな区分を設ける。

訪問看護等における 24 時間対応のニーズに対する即応体制の確保

訪問看護等における 24 時間対応について、看護師等に速やかに連絡できる体制等、サービス提供体制が確保されている場合は看護師等以外の職員も利用者又は家族等からの電話連絡を受けられるよう、見直しを行う。

退院時共同指導の指導内容の提供方法の柔軟化

退院時共同指導における指導内容について、文書以外の方法で提供することを可能とする。

制度の安定性・持続可能性の確保~評価の適正化・重点化

理学療法士等による訪問看護の評価の見直し

看護業務の一環としてのリハビリテーションの提供実態を踏まえ、訪問看護に求められる役割に基づくサービスが提供されるようにする観点から、理学療法士等のサービス提供状況及びサービス提供体制等に係る加算の算定状況に応じ、理学療法士等の訪問における基本報酬及び 12 月を超えた場合の減算を見直す。

その他

「書面掲示」規制の見直し

運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等(※)については、原則として事業所内での「書面掲示」を求めている一方、備え付けの書面(紙ファイル等)又は電磁的記録の供覧により、書面による壁面等への掲示を代替できる規定になっているところ、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイト(法人のホームページ等又は情報公表システム上)に掲載・公表しなければならないこととする。

※ 事業所の運営規程の概要等の重要事項、居室及び食堂の広さ、届出事項、特別な食事の提供に係る情報(内容及び料金等)、移動用リフト使用時の留意事項等

特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなして同法の規定を適用することとされている地域等が、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることを明確化する。

特別地域加算の対象地域の見直し

過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域について、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しを行う。

基準費用額(居住費)の見直し

※これまでの分科会での意見等を踏まえ、予算編成過程において検討

地域区分

令和6年度以降の級地の設定に当たっては、現行の級地を適用することを基本としつつ、公平性を欠く状況にあると考えられる自治体については特例(※1)を設け、自治体に対して行った意向調査の結果を踏まえ、級地に反映する。

また、平成 27 年度介護報酬改定時に設けられた経過措置(※2)については令和5年度末までがその期限となっているが、令和8年度末までの延長を認める。

(※1)次の場合は、当該地域に隣接する地域に設定された地域区分のうち、一番低い又は高い地域区分までの範囲で引上げる又は引下げることを認める。

ⅰ 当該地域の地域区分よりも高い又は低い地域に全て囲まれている場合

ⅱ 当該地域の地域区分よりも高い又は低い級地が設定された地域に複数隣接しており、かつ、その地域の中に当該地域と4級地以上の級地差がある地域が含まれている場合。なお、引上げについては、地域手当の級地設定がある自治体を除く

ⅲ 当該地域の地域区分よりも高い又は低い級地が設定された地域に囲まれており、かつ、同じ地域区分との隣接が単一(引下げの場合を除く)の場合。

なお、引上げについては、地域手当の級地設定がある自治体を除くイ 5級地以上の級地差がある地域と隣接している場合について、4級地差になるまでの範囲で引上げ又は引下げを認める。

(注1)隣接する地域の状況については、同一都道府県内のみの状況に基づき判断することも可能とする。(アⅰのみ)

(注2)広域連合については、構成自治体に適用されている区分の範囲内で選択することを認めているが、令和5年度末に解散する場合について、激変緩和措置を設ける。

(注3)自治体の境界の過半が海に面している地域にあっては、イの例外として、3級地差以上の級地差であっても2級地差になるまで引上げを認める。

(注4)障害福祉サービス等報酬及び子ども・子育て支援制度における公定価格の両方の地域区分が、経過措置等による特別な事情で介護報酬の級地より高くなっている場合、その範囲内において、隣接する高い級地のうち最も低い区分まで引上げを可能とする。

(※2)平成 27 年度の地域区分の見直しに当たり、報酬単価の大幅な変更を緩和する観点から、従前の設定値と見直し後の設定値の範囲内で選択することが可能とするもの。

厚生労働省 社会保障審議会(介護給付費分科会) 「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」

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