
公益財団法人介護労働安定センターが公表した令和6年度の介護労働実態調査結果から、職場定着を目的に各事業所が実施している取り組みと、それに対する労働者の評価について解説します。

事業者側は「休みやすい職場づくり」「賃金上昇」「良好な人間関係」に定着効果を実感
採用や職場定着・離職防止の方策として行われている取り組みについて、最も多く実施されていたのは「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」で74.7%。次いで「人間関係が良好な職場づくり」72.0% 、職場内での仕事上のコミュニケーションの円滑化 (面談、 ミーティング、 意見交換会など) 」68.9%の順となりました。
「行っている」事業所に占める「職場定着に効果があった」割合については、実施と同じく「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」が最も高く34.4%。次いで「賃金水準の向上」「人間関係が良好な職場づくり」の順となりました。

労働者側は「人間関係」「円滑なコミュニケーション」を重視
一方、労働者側に「現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている職場の取り組み」について聞いたところ、47.2%が「人間関係が良好な職場づくり」と回答。事業者側の評価とギャップが見られました。2番目に多かったのが、「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」次いで、職場内での仕事上のコミュニケーションの円滑化(面談、ミーティング、意見交換会など)の順となりました。

ワークライフバランスや賃金よりも「はたらく環境」を重視する労働者
これらの結果から、賃金や休暇取得環境の整備など、ワークライフバランスにおける各種取り組みよりを「効果がある」と考える事業者側と、人間関係やコミュニケーションなど「はたらく環境」が重要と考える労働者側に若干のギャップがあることが分かりました。「積極的に制度整備などに取り組んだが離職率が減らない」などの課題を持つ事業者にとっては解決のヒントの1つとも言えるでしょう。
公益財団法人介護労働安定センター 令和6年度 介護労働実態調査