
厚生労働省が公表した、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく令和6年度の対応状況等に関する調査結果から、特養を中心とした入所系施設を中心にシリーズで調査結果を解説します。
約半数が暴力的行為などの「身体的虐待」
高齢者施設における虐待は大きく分けて、暴力的行為などの「身体的虐待」、必要とされる介護や世話を怠り、高齢者の生活環境・身体や精神状態を悪化させる行為である「介護等放棄」、威嚇的・侮辱的な発言、態度である「心理的虐待」、高齢者にわいせつな行為をする「性的虐待」、着服・窃盗などの「経済的虐待」の5つに分かれます。

今回の調査結果によると、高齢者施設における虐待の種別(複数回答)については「身体的虐待」が51.1%と最も多く、次いで「心理的虐待」が27.7%、「介護等放棄」が25.7%、「経済的虐待」が10.3%、「性的虐待」が3.4%で続きました。
施設種別との関係では、いずれの施設種別においても、虐待の種別に「身体的虐待」が含まれる割合が最も高くなりました。「介護保険施設」では「身体的虐待」や「介護等放棄」が含まれる割合が高く、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・小規模多機能型居宅介護」では「心理的虐待」が含まれる割合が高く、「介護等放棄」「経済的虐待」が含まれる割合が低い傾向がみられました。


また、被虐待高齢者2,248人のうち「身体拘束あり」が22.0%、「身体拘束なし」が78.0%でした。

厚生労働省「令和6年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」
<シリーズ 全記事はこちらから>
高齢者施設における虐待実態 最新データ解説(1)相談・通報件数、虐待件数
高齢者施設における虐待実態 最新データ解説(3)被虐待高齢者の状況、認知症・寝たきり度との関連
高齢者施設における虐待実態 最新データ解説(4)虐待を行った養介護施設従事者等(虐待者)の状況
