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9割の介護施設経営層が「人材マネジメント」に課題 採用負担が重く

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介護業界でなかなか解決できない永遠の課題と言われるのが、採用から始まる「人材マネジメント」です。最新の状況はどのようなものでしょう?介護・福祉施設向けの通信販売サービスを展開するプラス株式会社が、介護施設の経営者・責任者を対象に行った「介護施設の人材マネジメントに関する実態調査」 の結果をこのほど公表しました。今回はその内容を解説します。調査はインターネットを通じて2022年6月2~4日に行われ、介護施設の経営者・施設長・ホーム長・管理者109人が回答しています。

「採用負担」「シフト編成」「人員配置基準の充足」「教育」に悩み

調査ではまず「介護職員の人材マネジメントに関して、課題を感じたことがありますか」と尋ねています。その回答は「何度もある」が54.2%、「ややある」が33.9%、「あまりない」が7.3%、「全くない」が4.6%となりました。実に9割弱が課題を有しています。 

そのうえでこの9割弱に対して「介護職員の人材マネジメントに関して、どのような課題を感じたことがあるか、教えてください(複数回答)」と尋ねた結果では、「人材不足・採用活動の負担が大きい」が81.2%、「従業員の病欠・有給休暇などに対応できるシフトが組めない」が57.3%、「資格保有者の人員が不足していて、人員配置基準を満たすのに苦労している」が38.5%、「従業員の定着率向上のためのサポート体制や教育プログラムが不足している」が35.4%でした。人材確保にどの組織も苦労していることが明らかになりました。悩みの3番目である「資格保有者不足」は着目すべき点でしょう。というのも、直近の2021年の介護報酬改定の影響もあると推察されるからです。 

その他の人材マネジメントの悩みについては、「優秀な人材から辞めていく」「急な休みに対応する人が限られてしまう」「資格を持っているが介護職としてのレベルアップの必要性を感じてくれず、なあなあになってしまう」「現実と人員配置基準がマッチしていない」「職員の質のばらつきが大きい」「職員の教育、モチベーション向上の管理」などの回答が寄せられています。ここからは採用に至った職員の質にも課題があることが浮き彫りになっています。

認知症取り組み強化を求めた介護報酬改定が人材確保難に拍車を

2021年の介護報酬改定では、居宅療養管理指導を除くすべての介護事業者に認知症への取り組み強化を求め、職員全員に認知症介護基礎研修の受講を義務付けました。また施設での口腔衛生や栄養管理の強化も進み、有資格者の存在を前提にしたサービス提供を評価し始めました。これは厚生労働省が掲げるエビデンスに基づくアウトカムを重視した科学的介護の一環と言えるでしょう。

 質の高いサービスを提供する事業所を評価する「サービス提供体制強化加算」では、新たな最上位区分が設けられました。新たな最上位区分の算定では、介護福祉士などの有資格者割合やその勤続年数のハードルがさらに高いものになっています。今回の結果からは、この点からも人手不足が起きていることが伺えます。科学的介護を前提とした有資格者重視の方向性は次回改定でも一層強化されるでしょう。その意味で人材確保難は一層深刻になると考えられます。

採用困難の要因「即戦力・資格保有者少ない」

どのような点で、採用が上手くいっていないと感じているか、については「即戦力となる人材が見つからない」が64.1%、「応募者が少ない・応募者の業務可能時間が少ない」が62.8%、「介護系の資格保有者が見つからない」が43.6%、「自分の施設とのミスマッチが多く、離職率が高い傾向にある」が39.7%、「夜勤や土日など、スポットでシフトが埋まらない曜日や時間帯がある」が38.5%、「採用までに時間やコストがかかり負担が大きい」が20.5%との結果でした。

その他では「勤務時間の融通が利かない」「すぐに辞める」「求められる能力と求める給与のギャップ」「若手の応募がない」「法人の収入が少なすぎて、採用にお金をかけられない」などがありました。

総合すると、応募そのものが少ない人材採用難の中で、さらに資格者・経験者を選び出すことにも困っているという二重苦の状態です。

令和4年版厚生労働白書では、2040年に医療・福祉分野では100万人程度の人材不足が起きるとの推計を発表しています。もはや各介護施設の努力に任せる次元は超えています。国が率先して人材確保、教育研修への公的補助、AIやロボットを使った新しい介護への研究投資を行っていく段階に近づいているのではないでしょうか。

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