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“コロナ第8波”と“インフルエンザ” この冬の同時流行にどう備える?

ワクチン_高齢者

10月5日に厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)診療の手引き(以下、手引き)」の14回目の改訂版である「第8.1版」が公開されました。あらたに追加された内容として、新たな治療薬として中和抗体薬エバシェルドが加わったこと、オミクロン株の特性を踏まえた療養解除基準の変更などがありますが、介護施設関係者にとって今後注意すべきことは、これから起こる可能性がある第8波に対してどのように備えるかだろうと思います。
特に今年は、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行の危険性があり、改訂版でもこの点について言及しています。今回はこの新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行について解説したいと思います。

南半球ではすでにインフルエンザ感染者が“コロナ以前”レベルに

改訂版の手引きではインフルエンザに関して、以下のように記述されています。

2022年9月4日現在、世界的にインフルエンザの患者数は減少し低いレベルにあるが、南半球のオセアニア、アフリカ南部、南米では通常のシーズンの時期(主に日本の夏季・現地の冬季)にCOVID-19 流行前やそれに近い水準のインフルエンザの流行を認めており、日本においても2022/23 シーズンはインフルエンザが流行する可能性がある。

新型コロナ・パンデミック以降、世界的に季節性インフルエンザの感染者は激減しました。国立感染症研究所によると、日本国内の季節性インフルエンザ感染者は、2020年秋から2021年初春にかけてが約1万4000人、2021年秋から2022年初春にかけてが約3000人と推計されています。新型コロナ・パンデミック以前の国内推計感染者は例年約1000万人と推計されているので、日本でも激減していたことになります。

しかし、日本の夏の時期に冬である南半球で、今年は季節性インフルエンザが流行しました。代表例がオーストラリアです。オーストラリアの2021年の季節性インフルエンザ感染者は600人弱でしたが、2022年は3月頃から徐々に感染者報告が増加。5~6月にはピークを迎え、同国保健省によると10月9日までに22万人超の感染者が報告されています。これはオーストラリアの人口の約1%に当たる数ですが、22万人は医療機関などを通じて感染報告があったケースのみに限定されるため、実際にはこれ以上の感染者がいると推定されます。
オーストラリアの季節性インフルエンザの増加の原因として、新型コロナ・パンデミック以降、季節性インフルエンザの流行がなかったために、インフルエンザに対する免疫が落ちてしまったことが考えられます。
季節性インフルエンザでは従来からワクチンがあります。流行時はワクチン接種後も市中でインフルエンザウイルスに感染することがあり、自然と追加接種と同じブースター効果が得られているため、

同時流行に備えて、介護施設で取るべき対応は

新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えて、介護施設ではどのような対策を取るべきかについては、目新しいことは何一つありません。新型コロナ対策で耳にタコができるほど聞いた、三密回避、手洗い、マスク、ワクチンの4つです。

季節性インフルエンザワクチンについては、インフルエンザウイルスが変異しやすいことから、毎年春に世界保健機関(WHO)の専門家会議でその年に流行が予測されるウイルス株4種類を決定し、それらすべてに対応した4価ワクチンが使用されています。インフルエンザワクチンは新型コロナワクチンよりも感染予防、発症予防効果は低めで、重症化予防効果を狙ったワクチンです。また、前述のように毎年流行株を予測して対応することもあり、時にこの予想が外れて感染予防効果、発症予防効果がかなり落ちる年もあります。つまりブレークスルー感染が起きやすいということです。

高齢者においては新型コロナ同様、インフルエンザも感染すると入院・死亡リスクが高くなるため、インフルエンザ感染対策の中では重症化予防効果のあるワクチン接種が何よりも優先されると言っても過言ではありません。

ちなみにオーストラリアで流行したインフルエンザウイルスはA型のH3N2株で、日本で同様の流行が起こった場合、今年の4価ワクチンはこの株に対応しているため、十分効果が見込めるはずです。

インフルエンザワクチンとオミクロン型対応ワクチンの同時接種も検討を

一方で新型コロナのオミクロン株対応ワクチン(BA.1用あるいはBA.5用)の追加接種が進行中です。対象は12歳以上で従来型ワクチンの最終接種から5カ月以上が経過した人ですが、中にはその接種とインフルエンザワクチン接種が時期的に重なる人もいるでしょう。この場合は同時接種、つまり一回の受診で2本のワクチンを接種することも可能です。

「1度に2本のワクチンを打つなんて怖い」と思う人もいるかもしれませんが、実はこうしたワクチンの同時接種は珍しくありません。そして新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種については、すでに海外で有効性、安全性が確認された研究が公表されています。

日本の場合、新型コロナワクチンはファイザー製あるいはモデルナ製のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが主に用いられています。イギリスの研究では、ファイザー製の新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時接種した場合と、間隔を3週間あけて別々に接種した場合を比較すると、新型コロナワクチンでできる抗体量は同レベルで、インフルエンザの抗体は同時接種の方が別々に接種した場合よりもやや高くなると報告されています。また、アメリカの研究では、モデルナ製の新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時接種した場合、モデルナ製ワクチンだけ接種した場合、インフルエンザワクチンだけを接種した場合の3グループで比較し、同時接種とそれぞれの単独接種では新型コロナ、インフルエンザの双方の抗体量に同レベルであると判明しています。
いずれの研究でも同時接種で副反応は増加してはいませんでした。これらのデータが新型コロナとインフルエンザのワクチンを同時に接種することを可能とした根拠になっています。

これからのシーズン、第8波が予想より早く到来して医療現場がひっ迫すると、新型コロナワクチンもインフルエンザワクチンも接種が困難になる可能性があります。早めの接種が肝要です。

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