求職者急増で求人倍率は1.33倍に 特養1.13倍 訪看3.22倍
11月21日に公益社団法人日本看護協会が、2021年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」 を公開しました。都道府県ナースセンターは、都道府県知事からの指定を受け、都道府県看護協会が運営。全国91カ所のナースセンターを運営、看護職の無料職業紹介事業や潜在看護職の復職支援事業を実施しています。
2021年度の求職者数は132,938人で前年度比74.36%増加しました。また、求人数は176,334人で前年度比12.84%の増加となりました。求人数と求職者数の割合である求人倍率は1.33倍となり、過去15年間で最も低い求人倍率となっています。施設種類別の求人倍率では訪問看護ステーションが最も高く3.22倍に。次いで20~199床の病院が1.80倍、200~499床の病院が1.40倍、介護老人福祉施設(特養)が1.13倍、ケアハウス・グループホーム・有料老人ホームが1.04倍、介護老人保健施設が0.93倍となりました。
就職率「市区町村・保健センター」29.7%、「救護(イベント等)」17.1%
ナースセンター登録の求職者132,938人のうち、求人の応募者は45,565人で就職者は21,660人、応募者が就職する割合は47.5%で、2020年度の51.1%とほぼ同水準でした。求職者のうちの就職率の高さでは、「市区町村・保健センター」が最も高く29.7%、次いで「救護(イベント等)」17.1%、「都道府県・保健所」15.4%となりました。求人施設が採用する割合は、「救護(イベント等)」73.7%、「市区町村・保健センター」53.8%、「都道府県・保健所」33.3%、「健診センター・労働衛生機関」33.3%の順となりました。
求人倍率低下するも、特養にとっては厳しい採用環境が続く
長年にわたり2倍以上で推移していた求人倍率が1.33倍にまで低下したことは喜ばしいことに思えますが、その内実はコロナウイルスワクチン接種やコロナ感染対策に伴う「増加した求職者が、増加した自治体関連求人ならびにイベント求人に就職した」ものが多く、特養など従前から看護師採用に難渋していた施設にとっては、応募からの就職率が低迷していることからミスマッチが多く、環境が好転しているとは言い難い状況です。加えて、訪問看護ステーションの求人倍率が上昇を続けており、特養などでは、他の特養だけでなく訪問看護ステーションからも選ばれるための求人を行う必要があり、給与面だけでなく、労働環境や休日などの大幅な労働環境改善がより一層求められるといえるでしょう。
公益社団法人日本看護協会 2021年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」
【関連トピックス】
介護業界の人手不足に出口見えず? 外国人受け入れ“消極的賛成派”が減り“積極派”増
なぜ給与が低いクリニックに看護師の応募が集まるのか~第23回医療経済実態調査から
【関連資料】