folder_open 介護施設介護経営調査・レポート calendar_month update

最新データで見る特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善実態(9)ICT機器・ロボットの導入状況<daily news pickup 4月7日>

独立行政法人 福祉医療機構が3,316 の社会福祉法人を対象に2023年1~2月にかけて実施した「2022 年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査」の集計結果をテーマごとに10回にわたりご紹介します。9回目は「ICT機器・ロボットの導入状況」について。

ICT機器・ロボットの導入状況については、介護ソフトについては85.9%の施設で導入。見守り機器については56.6%、移乗介助ロボットが22.4%の施設で導入されています。

介護ソフト(業務記録・報酬請求等)の業務への導入効果については「施設内で連携しやすくなった」が最も多く56.6%、次いで「直接ケアにあたる時間が増えた」「業務上の単純ミスが減った」と続きました。一方、導入の効果があったとはいえない理由として、「記録業務の時間は減っているが、記録業務に付随する新たな手順を作っており効率化は出来ていない」「記録の入力が介護職員の負担となるケースもある」などの意見が挙がりました。

見守り機器(着圧センサー・バイタルセンサー等)の業務への導入効果については「職員の精神的負担が減った」が最も多く71.3%、次いで「ケアの質が上がった」「直接ケアにあたる時間が増えた」と続きました。一方、導入の効果があったとはいえない理由として、「センサーの電源を入れ忘れる等のヒューマンエラーが多い」「コールが頻回になるため、負担感は減らない」などの意見が挙がりました。

移乗介助ロボットの業務への導入効果については「職員の精神的負担が減った」が最も多く51.0%、次いで「ケアの質が上がった」「直接ケアにあたる時間が増えた」と続きました。一方、導入の効果があったとはいえない理由として、「準備に時間を要し、直接移乗介助を行ってしまう 職員が多い」「体への負担が大きく、腰だけにはいいかもしれないが、 トータルでメリットよりもデメリットの方が大きい」などの意見が挙がりました。

移乗支援ロボットの業務への導入効果については「職員の精神的負担が減った」が最も多く48.6%、次いで「ケアの質が上がった」「直接ケアにあたる時間が増えた」と続きました。一方、導入の効果があったとはいえない理由として、「マッスルスーツを導入したが、使いこなせていない。装着に時間がかかる。持ち上げ時に違和感」「使い勝手が悪く利用頻度が低い」などの意見が挙がりました。

排泄支援ロボットの業務への導入効果については「ケアの質が上がった」「職員の精神的負担が減った」が最も多く71.4%、次いで「直接ケアにあたる時間が増えた」と続きました。一方、導入の効果があったとはいえない理由として、「排泄のタイミングの通知音など全職員へ共有が困難」などの意見が挙がりました。

入浴支援ロボットの業務への導入効果については「ケアの質が上がった」「職員の精神的負担が減った」が最も多く62.1%、次いで「直接ケアにあたる時間が増えた」と続きました。一方、導入の効果があったとはいえない理由として、「職員が使いこなすことが難しい(ロボットを信用していない)」などの意見が挙がりました。

コミュニケーションロボットの業務への導入効果については「職員の精神的負担が減った」が最も多く36.7%、次いで「ケアの質が上がった」「直接ケアにあたる時間が増えた」と続きました。一方、導入の効果があったとはいえない理由として、「利用者が嫌がった。乱暴に取り扱われると故障し、修理代が高い」「最初の物珍しさはあったが、認知症入居者には話しかけから返事するまでのタイムラグが理解されず使用できていない」などの意見が挙がりました。

ICT・ロボット導入は採用に良い影響を与える場合も

ICT機器・ロボットを導入している施設の12.8%で、導入していることを人材募集等の広告に掲載しています。掲載することの採用への良い影響として、

・若い世代には介護=重労働のイメージがあるようなので、一定程度は楽になるのかと思われるケースもある 

・「積極的に導入していることに惹かれた」と言われた

・採用面接時にICT機器や介護ロボットを導入している施設を探していたと言われたことがある

・入浴用リフトや多機能型車いすなど他では利用されてなく、しっかり考え方と支援方法を併せることで、質の充実を求めた人材の入職に繋がった

・負担軽減に先進的に取り組んでいる姿勢が好印象であったという反応

・Instagramの閲覧数が増えた

・県内トップレベルの先進施設としてブランド力アップにつながった

などの意見が挙がりました。

独立行政法人 福祉医療機構「2022 年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査について」

【関連トピックス】

介護現場でのテクノロジー活用 最新調査の結果から(1)施設内での入力、連絡用の機器

介護現場でのテクノロジー活用 最新調査の結果から(2)介護ロボット導入で施設の採用・経営はどう変わったか

介護のデジタル化は人材需給ギャップの解消に貢献するのか

【関連資料】

経営課題に直結する職員教育

データで知る 求職者からの介護業界の見られかた

財務諸表から読み解く黒字の特養赤字の特養

\夜間オンコールができる看護師が足りない…/
\受診するべきか相談できればいいのに…/

ドクターメイトの
「夜間オンコール代行™」「日中医療相談」で解決!

導入した施設様のインタビューはこちら>>