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【2024介護報酬改定】【詳しく解説】新設される訪問介護と通所介護を組み合わせた「複合型サービス」とは<daily news pickup>

厚生労働省は11月6日に開催された第230回社会保障審議会介護給付費分科会で来年度から新設される「複合型サービス」について、その検討案を公開しました。その内容について解説します。

「複合型サービス」新設の背景は

訪問介護は「サービス提供を断ったことがある理由の約9割が人手不足」という調査結果にあるように、人材不足が顕著でかつ、訪問介護への就業希望者が少ない理由として、「一人で利用者宅に訪問してケアを提供することに対する不安が大きい」ということが挙げられていました。

一方、コロナ禍における特例として訪問サービスの提供が行われていた通所介護では、「日常の様子をみている職員が訪問するため利用者の状態の変化にいち早く気づくことができた」ことや「これまで関わりのある職員が訪問するため、利用者または家族の安心感があった」という意見が挙がったほか、訪問サービスの提供を行うこととした理由として、利用者・家族からの要望や職員からの提案によるものもあり、代替となるサービスが見つからなかった場合などにも利用者の在宅における生活の維持が図られたケースもありました。

そうした中で、令和4年12月に開催された社会保障審議会介護保険部会で、「複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当である」と、検討が開始されました。

「複合型サービス」その機能と役割は

今回、新設される複合型サービスについては、訪問介護と通所介護を組み合わせ、一体的にサービスを提供することにより、把握した利用者の状況・ニーズを随時共有し、きめ細かなに訪問や通所に反映。比較的軽度の段階から機能訓練等を効果的に行い、利用者にとっても従事者にとっても安心感のある環境の中、生活機能の維持・向上を図り、利用者の自立支援・重度化防止につなげることを役割としています。

また、事業所を一体的に運営することによる効率的な運営と、通所介護と訪問介護に対応できる専門職の養成につながり、より質の高い介護サービスの提供につながる、としています。

厚労省資料より

「複合型サービス」の人員・設備・運営基準は

人員基準

・管理者はひとつのサービスとなり一元的に管理することとなるため、1名の配置とする。

・ 職員の柔軟な働き方を行いやすくするよう、事業所全体で必要な人員を確保することにより、基準を満たしているものとする。

・複合型サービスと訪問介護事業所の指定を併せて受け、一体的に運営している場合、複合型サービスの訪問介護員の基準を満たすこととする。

厚労省資料より

設備基準

・設備はそれぞれのサービスで必要だったものを共有して使用することとする。

・サービスの登録定員の上限を29名以下とする。(通所介護の利用定員は19名以上)

厚労省資料より

運営基準

・地域に開かれたサービスとし、サービスの質の確保を図る観点から、運営の公平性や透明性を確保するための運営推進会議(6か月に1回以上開催)を設ける。

・居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作成したケアプランに基づきサービス提供を行う。

・個別サービス計画については、利用者の状況等に応じてきめ細かなケアを行う観点から、居宅介護支援事業所の介護支援専門員との連携のもと、個別サービス計画において利用日時等について決定する。

「複合型サービス」の介護報酬は ~出来高払いから包括払いに~

基本報酬については、利用者の状態の変化等に応じて、時間区分にとらわれない訪問・通所のきめ細かなサービス提供を行う観点から、利用者の自己負担額の変動を回避し、円滑なサービス提供を行いやすくするため、包括払い(要介護度別)とするほか、加算・減算は、訪問介護と通所介護において設けられるものを基本としつつ、複合型サービスの特性に合わせて整理を行うとしています。

厚労省資料より

従来の出来高払いでは、「サービスの利用回数・時間に応じた支払となるため、納得感が得られやすい」「新規利用の際に、少ない利用回数でも負担が少なく利用を開始できる」としたメリットがある一方、「利用状況に応じて毎月の負担額が異なるため、支払が安定しない」「利用者数や利用状況により毎月の収入が変動することから、特に利用者が少ない小規模事業所にとって経営が安定しない可能性がある」といったデメリットがありました。

新設される複合型サービスで採用される包括払いについては、「利用者の状態等が変化し、サービスを追加した場合でも、サービスの利用回数にかかわらず負担が一定で安心感がある」「利用者数に応じて収入の見込みが立つため、特に小規模な事業所にとって経営の安定につながる」メリットがある一方で、「利用者間で利用回数に差が生じることにより、不公平となる可能性がある」「新規利用の際に、少ない利用回数でも一定額の支払が生じてしまう」としたデメリットも指摘されています。

厚生労働省「第230回社会保障審議会介護給付費分科会」

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