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特養と連携する薬局薬剤師 患者数の多さやポリファーマシーで、細やかな対応が難しく

多職種連携による地域包括ケアシステムの構築が目指されているなか、重複投薬 や相互作用を確認し、医薬品の適正使用を推進する薬局・薬剤師と介護事業所の連携に関する調査報告が株式会社 野村総合研究所から公表されました。

約7割の薬局薬剤師が特養を緊急訪問 急性疾患や他科受診が訪問理由

連携を開始した経緯について(複数回答)は、「施設側からの要望」が約78.9%、「薬局側からの提案」が約 37.9%となりました。

野村総合研究所「薬局薬剤師による介護事業所との連携等に関する調査研究事業」より

特養への定期訪問の頻度について、週1回程度が最多で、少なくとも月1回以上の頻度で訪問する薬局が合計で97.5%でした。特養への緊急訪問でも、週1回程度が最多で、少なくとも月1回 以上訪問している薬局は69.1%でした。1 回の訪問当たりの利用者 1 人への対応時間について、1 分以内が 最多、次いで1∼2 分以内、3~5 分以内の順に多く、5 分以内の合計が88.9%となりました。緊急訪問では、1 分以内が最多で83.2%、5分以内の合計が 96.8%となりました。

野村総合研究所「薬局薬剤師による介護事業所との連携等に関する調査研究事業」より

特養の利用者に対して緊急・臨時訪問を行うケースは、急性疾患である場合が最多で、次いで他科受診の場合が多く見られました。

薬剤師への相談内容「薬剤の加工」「剤形変更」など

特養に訪問して実施する業務について、定期訪問では、「医薬品の供給」が最多、その他施設職員からの相談対応や服用方法等の指導、薬剤管理に関する業務を行う薬局が多く見られました。

そうしたなか、「一包化に加えた服薬管理のための工夫に時間がかかる」、「患者の数が多いため、対応に時間がかかる」、「一人当たりの服用薬剤が多い」、「移動に時間がかかる」などを負荷に感じる薬剤師が多く、「薬剤服用歴の管理」、「服薬状況の確認」、「残薬の確認」、「新規入所者の持参薬の確認、再分包」といった一包化に加えた服薬管理のための工夫が必要な業務や、患者数が多いために対応に時間がかかりそうな、「医薬品の供給」が薬剤師にとって負荷が高いことが分かりました。

野村総合研究所「薬局薬剤師による介護事業所との連携等に関する調査研究事業」より

施設訪問時以外にも日常的に受ける、特養からの薬に関する相談について、81.8%の受けていると回答。相談内容は、「薬剤の加工について」が65.1%で最多、次いで 「剤形変更について」、「服薬困難な場合の対処」、「薬の相互作用や重複の確認について」の順に多く、服薬の難しさがある場合の相談内容が多くなっている。一方、ポリファーマシーについては 20.8%にとどまっていました。

野村総合研究所「薬局薬剤師による介護事業所との連携等に関する調査研究事業」より

特養と連携の薬局「他科受診時の処方を一元的に受けている」66.8%

特養の入所者について、定期的な処方以外の他科受診の際の処方を一元的に受けているかについて、「概ね受けている」と回答した薬局が66.8%で最多となりました。

野村総合研究所「薬局薬剤師による介護事業所との連携等に関する調査研究事業」より

概ね受けていると回答しなかった薬局において、他科受診の処方の内容も含めた確認の実施については、実施している薬局が 83.7%、重複処方や相互作用等が確認された場合の対応としては、「施設の配置医師に連絡して処方内容の見直しを提案」することが62.1%で最多、次いで「施設の看護師に連絡して、処方内容の見直しを医師に相談してもらうよう提案」することが多いなど、施設の他職種の誰かしらとの連携をとっている薬局が半数を超えていました。

野村総合研究所「薬局薬剤師による介護事業所との連携等に関する調査研究事業」

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