folder_open 介護施設介護経営働き方・処遇改善 calendar_month update

令和5年度の高齢者施設における高齢者虐待件数、前年度よりも大幅に増加

厚生労働省は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく令和5年度の対応状況等に関する調査結果を公表しました。この調査は、平成18年4月に施行された「高齢者虐待の防止、高齢の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)に基づき、平成19年度から毎年度実施しており、全国の市町村・都道府県で発生した高齢者に対する虐待への対応状況等をまとめたものです。

高齢者虐待と認められた件数は、介護老人福祉施設など養介護施設又は居宅サービス事業など養介護事業の業務に従事する養介護施設従事者等によるものが令和5年度で1,123件あり、前年度より267件(31.2%)増加しています。市町村への相談・通報件数は、養介護施設従事者等によるものが3,441件で、前年度より 646件 (23.1%)増加しています。

厚労省資料より

虐待が発生した施設・事業所の状況

虐待の事実が認められた施設・事業所の種別は、「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が31.3%で最も多く、次いで「有料老人ホーム」が28.0%、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が13.9%、「介護老人保健施設」が10.2%となりました。

厚労省資料より

虐待の内容

虐待の種別(複数回答)は「身体的虐待」が51.3%と最も多く、次いで「心理的虐待」が24.3%、「介護等放棄」が22.3%、「経済的虐待」が18.2%、「性的虐待」が2.7%でした。また、被虐待高齢者 2,335人のうち「身体拘束あり」が25.6%、「身体拘束なし」が74.4%、虐待の程度(深刻度)の割合では、「2(中度)」が 59.7%と最も多く、次いで「1(軽度)」が32.8%、「3(重度)」が 4.8%、「4(最重度)」が 2.7%の順でした。

厚労省資料より

被虐待高齢者の状況

年齢については、「90~94歳」が21.9%と最も多く、次いで「85~89 歳」が 21.3%、「80~84 歳」が 15.6%、「95~99 歳」が9.9%となりました。要介護状態区分及び認知症日常生活自立度については、「要介護4」が 28.2%と最も多く、次いで「要介護 3」が 22.6%、「要介護 5」が 18.9%となり、「要介護 3 以上」が69.7%を占めています。また、認知症高齢者の日常生活自立度II以上の者は 73.0%、要介護認定者のうち障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)A以上 の者は 55.3%でした。

厚労省資料より

虐待を行った養介護施設従事者等(虐待者)の状況

年齢については、「40~49歳」が 15.2%、「60歳以上」が 15.2%、「50~59歳」が 15.1%とほぼ同数で、「30~39歳」が 13.6%、「30 歳未満」が10.1%でした。職種については、「介護職」が 82.8%、「看護職」が 5.6%、「施設長」が3.4%、「管理職」が 3.3%でした。

厚労省資料より

相談・通報者の内訳

相談・通報者の内訳は、「当該施設職員」が28.7%と最も多く、次いで「当該施設管理者等」が16.7%、「家族・親族」が15.2%、「当該施設元職員」が7.5%でした。

厚労省資料より

虐待の発生要因

「職員の虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足」が77.2%で最も多く、次いで「職員のストレス・感情コントロール」が67.9%、「職員の倫理観・理念の欠如」が66.8%、「職員の性格や資質の問題」が66.7%、「職員の高齢者介護や認知症ケア等に関する知識・技術不足」が63.6%と、「虐待を行った職員の課題」は虐待の発生要因の大半を占めています。

厚労省資料より

厚生労働省「令和5年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」

【関連トピックス】

ポスト2025年に備えて 国が示した「介護施設の進むべき道」とは

「約3人に1人が高齢者」と同様に深刻な「高齢者の高齢化」問題

【関連資料】

【オンデマンド動画】意外な盲点も。介護施設の倫理と法令遵守について解説

経営課題に直結する職員教育

介護⇔看護の連携強化で介護職員が働きやすい職場をつくる

【2023最新データ】人材難時代を”勝ち抜く”ための介護施設 採用・離職防止データBOOK

\夜間オンコールができる看護師が足りない…/
\受診するべきか相談できればいいのに…/

ドクターメイトの
「夜間オンコール代行™」「日中医療相談」で解決!

導入した施設様のインタビューはこちら>>