folder_open 介護施設介護経営働き方・処遇改善調査・レポート calendar_month update

「離職防止」が新規人材採用コストを下げる可能性~介護業界の「離職」に関する最新データを読み解く

慢性的な人手不足にある介護業界ですが、厚労省が12月25日に公表した「介護職員数の推移の更新(令和5年分)」では、令和5年10月1日時点の介護職員数が約212.6万人で対前年2.9万人(1.3%)の減少となり、これまでの右肩上がりの増加局面から大きな転換点を迎えています。介護の人的経営において、これまでの「どうやって介護業界(ひいては、自施設)で働いてもらうか」と同じくらい、「どうすれば介護の仕事(ひいては自施設)を辞めないか」という離職防止にも注力しなければなりません。そこで、介護職員や看護職員の「離職」に関する最新データをお伝えします。

就職後3年以内の離職率は新規高卒38.4%、新規大卒34.9%

厚労省がまとめた、令和3年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況について、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が38.4%(前年度比1.4ポイント上昇)、新規大学卒就職者が34.9%(同2.6ポイント上昇)となりました。18分野に分けられた産業別では、「医療、福祉業界」は新規高卒では4番目に高く49.3%、新規大卒では5番目に高く41.5%となりました。また、事業所規模別では、事業所規模が小さいほど3年以内離職率が高くなる傾向がありました。

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」より

特養で退職した介護・看護職員の半数以上が勤続3年未満

独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター リサーチグループが公表した「2023年度 特別養護老人ホームの人材確保に関する調査結果」によれば、特養から2022年度中に退職した介護職員の勤続年数については、「3年以上10年未満」が最も多く31.3%でした。また、同じく看護職員の勤続年数については、「1年未満」が最も多く34.3%でした。介護職員・看護職員ともに半数以上が勤続3年未満での退職で、看護職員においては退職者の3人に2人が3年未満での退職ということがわかりました。

独立行政法人福祉医療機構 「2023年度 特別養護老人ホームの人材確保に関する調査結果」より

離職理由 看護職員「職場の人間関係」 介護職員「収入が少ない」が他職種と比較して多く

公益財団法人介護労働安定センターが公表した、令和5年度の介護労働実態調査の労働者調査によると、直前職が介護関係の仕事だった介護従事者の直前職を辞めた理由について、「職場の人間関係に問題があったため」が 34.3%で最も多く、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」の 26.3%、「他に良い仕事・職場があったため」の 19.9%、「収入が少なかったため」の 16.6%と続きました。

公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」より

年齢層別では「職場の人間関係に問題があったため」、「己分の将来の見込みが立たなかったため」、「収入が少なかったため」が年齢層が低いほど多くなる傾向がみられました。

職種別では、看護職員は「職場の人間関係に問題があったため」、介護職員では、施設系(入所型)において「収入が少なかったため」が他のサービス系型種別と比べて多くなる傾向が見られました。

「離職が少ない」ことが「新規採用」にもつながる

これらのデータが示すように、人材のさらなる流動化は止められない状況となっており、介護職員・看護職員の多くが「より働きやすい環境」「より賃金が高い環境」を求めて情報収集をしている、という前提に立って採用活動を行う必要があります。また、経営情報などさまざまな経営データの公開が義務化されている中、職員の離職数なども公開情報として誰もが閲覧可能な状況で、「離職者が多い施設」=「定着しない、働きづらい施設」と見られてしまう可能性もあります。

人手不足がこのまま続くと、転職サイトなどへの掲載料金や人材紹介の紹介料などの人材採用コストは上昇の一途となります。「今いる職員が働きやすいと感じて辞めない施設」を作ることは、離職者を減らし、新規人材獲得コストを減らすだけでなく、そのまま「働きやすい環境を探している方への情報提供」にもなり、更なる採用コストの減少にも繋がることは間違い無いでしょう。

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」

独立行政法人福祉医療機構 「2023年度 特別養護老人ホームの人材確保に関する調査結果」 「2023 年度特別養護老人ホームの人材確保に関する調査について」

公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」

【関連トピックス】

最新データから「介護事業所数」「介護職員数の推移」を読み解く

現在の職場を選んだ理由〜令和5年度介護労働実態調査 労働者調査から(1)

「介護の職場」を辞める時〜令和5年度介護労働実態調査 労働者調査から(2)

【関連資料】

介護現場におけるパワー・ハラスメント対策

【2023最新データ】介護職員「はたらく」実態 データBOOK

【2023最新データ】人材難時代を”勝ち抜く”ための介護施設 採用・離職防止データBOOK

\夜間オンコールができる看護師が足りない…/
\受診するべきか相談できればいいのに…/

ドクターメイトの
「夜間オンコール代行™」「日中医療相談」で解決!

導入した施設様のインタビューはこちら>>