
公益社団法人全国老人福祉施設協議会は、2025年9〜10月にかけて同会会員の特別養護老人ホームを対象に「食費(基準費用額)に関する調査」を実施。その調査結果を公開しました。同会の試算では、定員80人の特養+短期施設の場合、年間約1000万円の赤字という極めて厳しい状況になる、としています。
消費者物価指数(総務省)によると、2025年の食料物価は、2021年8月比で27.1ポ イント増加。介護保険における食費の基準費用額は令和3年8月に1,392円から1,445円に引き上げる見直しが行われていますが、令和6年度介護報酬改定では「経営実態調査の結果、食材料費の支出については全体として大きく伸びてない」として見送られた背景があります。
利用者一人1日あたり食費 令和6年比で87.7円増加の1787.6円に
2025年6月時点の給食材料費と調理員人件費の合計を延べ利用者数で割った「利用者一人1日あたり食費」について、1787.6円(うち給食材料費が972.8円、 調理員人件費が814.8円)となり、令和6年6月と比較して87.7円増加していることが分かりました。給食材料費は2024年6月と比較して66.2円増加、調理員人件費は、2024年6月と比較して21.5円増加しています。

「第4段階の食費」半数の特養が基準費用額で据え置き
第4段階の方の食費の設定額について、2025年6月時点の平均額は1561.9円となり、2024年6月と比較して27.8 円増加していますが、半数以上の特養が基準費用額と同額の設定をしていることが分かりました。2024~2025年度にかけて食費の利用者負担額の見直しを行った特養は26.7%。見直し後の単価は平均1,773円であり、見直し前から148円増加しています。


6割の特養で「外部委託先からの値上げ要求」あり
食事に関する外部委託先からの値上げ要求について、2025年度においては約6割の特養が「要求あり」と回答。うち、87.1%の特養でその値上げ要求に応じた、と回答しています。

公益社団法人全国老人福祉施設協議会 「食費(基準費用額)に関する調査」



