ドクターメイトにご相談いただいた実際の事例の中から,ご了解を得て紹介しています.
男性、81歳
既往歴:高血圧、前立腺肥大、右小脳梗塞、潰瘍性大腸炎、心不全
足の浮腫みがひどく内科受診をして心不全と診断されフロセミドを内服しています。
浮腫みが出はじめたあとから、発語がしっかりせず、語尾もハッキリしなくなってきました。同時期より他人に対し攻撃的な部分も出はじめました。夜も早く覚醒してしまうためか、午前2時前後に起き出すことが頻回になったりしました。
内科通院を始めた少し前(1ヶ月前ごろ)からは流涎が多く、発語がますます不明瞭となりました。日中傾眠が強いときも増えてきていました。
2週間前ごろには、目の前に人がたくさんいるにもかかわらず、「みんなのところを行くんだ」と言って人のいないところに向かおうとしたり、何も話していない人に向かって行き車椅子を蹴ったり、怒鳴ったりすることがみられてきました。普段ハッキリしない発語ですが、突然はっきりと「その時計よこせ」「ぶっ飛ばすぞ」「殴るぞ」と言うこともあったりします。
2週間前から抑肝散を朝、夕と服薬していますが、あまり効果は感じられません。どのように対応したら良いでしょうか?
(※内服薬一覧の写真を送っていただきました.)
ご質問いただきありがとうございます。
こういった精神的な不穏は、身体の調子が悪くなることによって生じてくることがあります。あるいは、一般的なこととして、不穏が出て来た頃に前後して新しく薬を始めたり、減量・中止などしているとそれも要因となることもあります。
他にも環境の変化などにも影響されることがありますので、その辺りを今一度、見直していただいても良いかもしれません。
いただいた情報からですと、今回のケースでは、心不全という身体症状の悪化によるせん妄ではないかと考えます。まずは、心不全の悪化を改善することが第一なので、そこは引き続き内科でみていただく必要があります。もし、心不全が要因であれば、心不全の改善に伴って、精神症状も改善してくるのではないかと思います。
ただ、それを待っているだけではなかなかしんどいですので、先生とご相談して、オランザピン(2.5)1錠1X 夕食後、リスペリドン内服液(0.5)1包1X不穏時頓用などを始めてみても良いかもしれません.
オランザピンはリスペリドンよりも翌朝まで眠気が残りづらいのが特徴です。糖尿病の既往があると使えません。
リスペリドンの液剤は錠剤よりも効き目が早いので頓服としては使い勝手が良いです。これで効果がなければ、様子を見ながらにはなりますが、オランザピンの増量などを考えます。
抑肝散もフロセミドと同じく電解質のカリウムを下げる可能性があるので、受診時は確認をしてもらって下さい。
お返事ありがとうございます。
リスペリドン液を頓用で処方されているので、こちらを使用してみます。ちなみに抑肝散は続けていていいのでしょうか?
カリウムについては内科の先生に経過を診ていただいています。
リスペリドン液が頓用として処方されていれば、それを使用していただいてよいと思います。
抑肝散は、効果がなさそうとのことですが、まだ2包なので、少しでも変化が感じられるのであれば、3包まで増やしてもらって、効果を確かめても良いかもしれません。オランザピンあるいはリスペリドンと抑肝散を併用すること自体は特に問題ないです。
ありがとうございます。
リスペリドンの屯用は何包まで可能でしょうか?
処方した先生の指示に従いますが,一般的にはリスペリドン液1包、0.5mgの場合,夕方に1回、追加でもう1回(日中夜間含め)くらいにとどめておいた方が良いです。
副作用が明らかでなく、効果が乏しい場合には、もう1回を朝または昼に増やしてもいいかもしれません。
翌朝ご報告をいただきました.
おはようございます。
昨日リスペリドンを夕飯前に服用しました。とても落ち着いて食事もとれ、入眠までも穏やかに過ごせ、よく眠れたそうです。アドバイスを頂いて服用してよかったと思いました。
以上、心不全に伴うせん妄への対応について、精神科医の鈴木先生が対応しました。
引き続き、かかりつけの先生とご相談の上、内服薬を調整していただいています。
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