10月10日、東京都福祉局は「介護報酬改定等に関する緊急提言」を都のHPに掲載しました。そこからは、大都市特有、特に東京都特有の問題が提示されました。
人件費割合や物件費・土地建物の取得費等が割高な東京都
介護報酬は、介護サービスに要する平均的な費用の額を勘案しており、地域ごとの人件費の地域差を調整するため、地域区分を設定し、地域別・人件費割合別(サービス別)に1単位当たりの単価を定めています。
東京都は提言の中で、介護報酬改定に向けて国が実施する介護事業経営実態調査の結果等を踏まえて見直しが行われているが、不十分であり、現行の介護報酬上の人件費割合と、介護事業経営実態調査における収入に対する給与費の割合にはかい離が生じている、としています。さらに都では、人件費のみならず物件費や土地・建物の調達費用についても、地域差を勘案すべきで、東京都の実態に合わせることを要望しています。
東京都が提示したデータからは、特別養護老人ホーム建設費や消費者物価、同一地域区分内の地価・家賃などが全国平均からだけでなく、愛知や福岡、大阪などの他の大都市圏と比較しても高いことが伺えます。
提言では他に、
・現下の物価高騰の影響も踏まえ、介護事業所・ 施設が安定的・継続的に事業運営できるよう、介護報 酬に適切に反映すること
・介護保険施設の居住費・食費の基準費用額に ついて、東京の地価等を反映したものとするととも に、物価高騰の影響についても、適切に反映できる仕 組みとすること
・介護事業者が介護人材の確保・育成・定着を 図り、事業運営を安定的に行うことができる介護報酬 とすること
・介護支援専門員の安定的な確保を図るため、 処遇を改善すること
を掲げています。
東京都福祉局「介護報酬改定等に関する緊急提言について」
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