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【医療介護連携】在宅療養支援病院の74.4%が自法人外の介護施設と協力医療機関契約を締結

2024年の介護報酬改定で、協力医療機関との連携体制の構築に関わる省令改正が行われ、「入所者の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること」「診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること」などの要件を満たす協力医療機関を定めることが義務付けられました。また併せて、入所者の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価する新たな加算「協力医療機関連携加算」が創設されました。

介護報酬改定から2か月、また診療報酬が改定された2024年6月に日本在宅療養支援病院連絡協議会が「介護施設の「協力医療機関」に関する会員向けアンケート調査」を実施、82の医療機関から回答がありました。その調査結果をご紹介します。

74.4%の在宅療養支援病院が法人外の介護施設と協力医療機関契約を締結

調査を行った2024年6月時点での協力医療機関として契約を締結している介護施設数については、同法人内では「1~2か所」が最も多く、法人外では「5か所以上」が最多となりました。また、74.4%が法人外の介護施設と協力医療機関契約を締結していることが分かりました。

日本在宅療養支援病院連絡協議会「介護施設の「協力医療機関」に関する会員向けアンケート調査」をもとにドクターメイト編集部で作成

加算要件「概ね月1回以上」の定期的な会議 オンライン・オフラインさまざま

協力医療機関と介護施設で行う定期的な会議の実施方法について、「集まって開催」「オンラインで開催」が同数で並びましたが、「介護施設と協議中」の病院も多く、安定運用に向け試行錯誤している状況が読み取れます。

日本在宅療養支援病院連絡協議会「介護施設の「協力医療機関」に関する会員向けアンケート調査」をもとにドクターメイト編集部で作成

「定期的な会議」についての自由回答として以下のような意見が寄せられています。

・特定の施設(打診があった1施設)とは、オンラインで実施している。他の施設では検討中。

・定例的な会議は行っていないが、必要に応じて情報交換をしている。

・今回の介護報酬改定前から協力医医療機関として締結しているところが5か所。今年の改定対応で現時点で申し出がある施設は2か所。いずれの施設も訪問診療を実施しているため「定期的な会議」は訪問診療時に行えないか調整中。

・チャットソフトを活用し情報共有をしている。ZOOMを活用することや定期的な会議は、施設訪問診療の際、医師含め、病院外来看護師が同伴して参加している。 

・定例の法人内MSW会議を活用予定

・制度整備がなされて間もないため、協力先介護施設と協定書締結、中身については協議している。

・同法人内の介護施設においては、訪問診療医と介護施設の職員が集まって定期的な会議を積極的に実施している。

介護施設の入所者が病状急変時の対応

急変時の対応については、「診療情報及び病状急変時の対応方針を踏まえ診療を行い、入院の必要性があるときには入院対応を行う」が最も多く、以下、「入所者の診療情報及び病状急変時の対応方針が常に確認できる体制を整備している」「入所者の診療情報及び病状急変時の対応方針を踏まえ往診を行う」と続きました。

日本在宅療養支援病院連絡協議会「介護施設の「協力医療機関」に関する会員向けアンケート調査」をもとにドクターメイト編集部で作成

「急変時の対応」についての自由回答として以下のような意見が寄せられています。

・地域の全ての施設には、ベットが空いている限り、要請順に救急受け入れをする。一部の契約している施設に偏らないよう公平に対応すると伝えている。施設からの入院は全体の30%ぐらい。入退院支援加算の施設25はクリアーしている。

・夜間オンコール医師複数を雇用し、ファーストコールは当番医師と看護師が対応し、適宜、夜間オンコール医師(非常勤)へ診療要請をして、臨時訪問診療、救急搬送、お看取りを実施している。

・介護施設から高度急性期病院に救急で受診したが、入院の必要がないとの判断になり、帰宅の方針となった場合に介護施設で対応困難なケースは、その時点で入院を受け入れている。

介護施設の感染症対策「介護施設に赴いて実地指導」「集合研修」など

協力医療機関と介護施設の連携で行う感染症対策について、すでに実施方法が決まっている病院については「介護施設に赴いて感染症の実地指導をする」が最も多く、以下「集まって研修・訓練を行う」「オンラインで研修・訓練を行う」と続きました。

日本在宅療養支援病院連絡協議会「介護施設の「協力医療機関」に関する会員向けアンケート調査」をもとにドクターメイト編集部で作成

医療と介護の温度差、病院の人的リソースなど課題は多く

その他、介護施設との連携について聞いた質問では、「医療と介護の温度差」「連携の人的リソース」「診療・相談体制などの医療リソース」「行政の周知不足」などが挙がりました。

・医療と介護の温度差を感じる場面が多々あり、医療はエビデンスに基づく対応、介護は哲学に基づく対応、患者・利用者の見解の相違を感じる。共通パスを活用し、パスに記載した項目について、目的と意味を確認しないと病状急変時の状況で困惑する。

・入院治療後、医療依存度が高くなった患者をどこまで施設が対応できるかについてこれまでは、病院は施設に対して「治療が終わった」と言うのみ、施設は病院に対して「施設は対応の限界」と言うのみで、お互いの溝を埋める具体的な行動が少なかった。そのため施設の受け入れが難しいとされた患者については、すぐに療養型病院への方針転換という対応になっている現状がある。地域完結の地域包括ケアシステムを推進するためには、例えば、病院側がただ退院させるだけでなく、施設療養に必要な処置や対応方法を医療の視点から伝達するための研修をする、施設は医療処置対応を要する利用者の受け入れを積極的にトライする、など、双方の交流を密にして、地域で看護・介護ができるための努力が必要になると考える。

・月1回会議実施におけるマンパワーと手間が現実的でない。配置医師における会議は通常の診察があるため、その頻度が妥当なのかという疑問有。

・必要な連携と理解はしておりますし、実際にカンファレンスを開催してみて普段話せなかったような内容も意見交換が行えて有意義ではあります。しかし、カンファレンスに要する手間や時間を考えると介護報酬に比べて診療報酬上のメリットが少ないような印象があります。

・連携に関して介護報酬側には加算がついたが、医療機関側の報酬加算がIT連携以外はつかないのは片手落ちではないか。

・施設と病院が情報共有するICT活用は難しい。コスト面や既存のシステムとのダブルスタンダードが現場における大きな弊害となる。

・感染症対策の連携について医師会等の団体で研修、訓練の参加が望ましいと考える。

・急変時に往診が困難な場合がある

・全ての介護施設との連携は、通常診療もあり困難な状態であるのが現状である。

・日常的には外来診療に来院すること、病状相談、入院対応も含め相談できる体制は確立されており、今後、早期入院・受診などの対応については検討の余地があると考えている。地域連携室・入退院支援室と施設側で双方の訪問活動も行う中で調整したいと考えている。

・今回の改正を受け、近隣の介護施設にあらためて状況を問い合わせると施設開設時から契約している協力医療機関 (在宅療養支援病院・診療所ではない)があるため、新たな連携(契約)は考えていないとの発言が多く聞かれた。これまでも、協力医療機関として契約していない施設から入院要請はあり、コロナ禍においても近隣施設の受け入れを行ってたが現状は上記の通りです。指定基準のための協医療機関であり、機能的な連携に対して介護施設の認識は低いのが地域の現状である。

・法人内かつ併設型施設の場合の対応について、情報が不足している。法人外施設の場合、会議等を行うのが容易ではない。

日本在宅療養支援病院連絡協議会「介護施設の「協力医療機関」に関する会員向けアンケート調査」

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