高齢者施設における食費の基準費用額は令和3年8月に1,392円から1,445円に引き上げる見直しが行われているが、令和6年度介護報酬改定では「経営実態調査の結果、食材料費の支出については全体として大きく伸びてない」として見送られています。しかしながら、消費者物価指数(総務省)の動向によれば、食料は2021年(令和3年)比で21.4%増加するなど、食費ならびに給食に関する人件費は上昇を続けています。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会では、2024年8~9月にかけて同会会員の特別養護老人ホームを対象に、「食費(基準費用額)に関する調査」を実施。その結果を公表しました。
給食業務における外部委託の状況
給食業務の外部委託の割合については63.9%と前年・前々年と比較してほぼ横ばいでしたが、外部委託施設において、昼食夕食のいずれか又は両方の主菜において完全調理品(クックチル・クックフローズン等)を導入し、調理業務の効率化を図る「セントラルキッチン方式」の導入が増加しています。
外部委託先からの値上げ要求とその対応については、値上げ要求ならびに値上げ要求に応じた施設の割合も年々増加しています。
食事に係る費用(利用者一人一日あたり食費)
(給食材料費+調理員人件費)÷延べ利用者数から割り出した「利用者一人一日あたり食費」について、令和6年6月の利用者一人一日あたり食費は、1753.8円となり、令和4年6月と比較して91.0円増加しています。うち給食材料費は、918.7円で令和4年6月と比較して53.9円増加、調理員人件費は、835.1円で令和4年6月と比較して37.4円増加しています。
1月あたり約60万円の赤字に
食費の利用者負担額については、契約により定める利用者負担第4段階の利用者一人一日あたりの平均は1,533.6円でしたが(第4段階の方の割合は32.3%)、調査回答施設の54.2%が基準費用額と同額の1,445円に設定。同会が調査結果をもとに行った試算では、月次の給食関連費用について、一月あたり571,434.6円の赤字という極めて厳しい状況であることが分かりました。
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会「食費(基準費用額)に関する調査」
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