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【ニュース解説】4月からどう変わる?いくら支払う? 新型コロナワクチン 無料接種終了へ

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2023年5月に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が感染症法の5類に移行したことで、行政上は「コロナ禍」は終了しましたが、新型コロナウイルスそのものは消えたわけではありません。新型コロナへの対抗手段としては現在もワクチン接種で一定の効果が認められています。敢えて言及しますが、ワクチンは感染・発症・重症化のリスクを軽減するもので、コロナワクチン以外のワクチンも100%感染を防げるわけではありません。より平たく言うと、接種からの経過時間や個々人の免疫状況によってワクチンの効果は多少のばらつきがあります。人によってワクチンを接種後に感染・発症した人としない人がいるのはこのためです。昨今ではSNSなどで新型コロナワクチンの効果に懐疑的な情報も流れていますが、現状では数多くの医学論文で感染・発症・重症化のリスク軽減効果が示されています。

さてこの新型コロナワクチン接種ですが、これまでは生後6ヵ月以上の国民を対象に公費負担で無料接種が行われてきましたが、2024年度からはこの制度が廃止されます。今回は、この件について解説します。

定期接種対象者のワクチン自己負担額7,000円前後に 自治体ごとに補助が出る可能性も

まず、結論から言うと2024年4月1日から新型コロナワクチンは予防接種法のB類疾病として定期接種の対象となります。

厚労省リーフレットより

ワクチン接種に関しては、予防接種法で市区町村が主体となって実施する「定期接種」を定めています。定期接種の対象とする感染症については、社会全体での集団予防を目的とするA類疾病、個人での予防を目的とするB類疾病の2種類があります。A類疾病にはいま国内で蔓延が問題になっている麻疹(はしか)や風疹など、B類疾病にはインフルエンザなどがそれぞれ分類されています。A類疾病のワクチン接種は、幼少期などにすべての人に推奨され、接種費用は公費負担、すなわちタダです。また、法的に本人が接種するよう努めなければならない努力義務と地区町村による接種勧奨が行われます。これに対しB類に関しては、成人後などに一定の基準を設けた接種対象が設定され、接種時の費用は公費から一部助成、つまり接種者も一部自己負担が生じます。ただ、市区町村によっては、自己負担分も含め全額を補助する場合もあります。また、努力義務、接種勧奨はともにありません。

2024年4月1日以降B類疾病となる新型コロナのワクチン接種は、65歳以上の高齢者と60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される人、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染で免疫機能に障害があって日常生活がほとんど不可能な人を対象に秋冬に定期接種が行われます。

4月1日以降の新型コロナワクチン定期接種対象者の接種費用の自己負担額については7,000円を標準としています。内訳はワクチン価格3,260円、ワクチン接種を行う医師の手技料3,740円です。もっともこの数字は昨年末に厚労省が積算したものですが、その後、ワクチン製造企業との非公開ヒアリングの結果、ワクチン価格を1万1,600円に見直しました。つまり医師の手技料を含めると接種1回あたり1万5,300円程度になりますが、国は接種1回あたり8,300円を助成金として自治体に交付する計画です。

ただし、7000円は標準の自己負担額で、実際には市区町村によってこの金額は多少高くなることもあれば、安くなることもあります。おそらく市区町村によっては、接種対象者の自己負担分も無料にするところも出てくるでしょう。また、従来からB類疾病の定期接種では、住民税非課税世帯や生活保護世帯の対象者は無償で接種できます。この無償接種分を念頭に国は市区町村に接種費用総額の3割を地方交付税として手当てする予定です。

今回の定期接種化はあくまで「追加接種」の場合のみです。ご存じのように新型コロナワクチンでは21日間隔で2回の接種を行うことで基礎免疫を獲得できます。この2回分の接種は一般的に「初回接種」と呼ばれます。この初回接種が2024年3月31日までに完了できない場合は、定期接種として追加接種を受けることはできません。この時点までに初回接種が終了できなかった場合の初回接種費用は全額自己負担となります。また、追加接種は最後の接種から3か月以上経っていることが条件です。

使用するワクチンに関しては、今回のコロナ禍により接種に使われるようになったメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが当面使用される見込みです。現在、定期接種としての追加接種に使えるmRNAワクチンは、オミクロン株XBB1.5系統対応のファイザー社製、モデルナ社製、第一三共製の3種類です。第一三共製は昨年承認された初の国産mRNAワクチンです。念のためお伝えすると、この3種類は使われ方や接種適応年齢が若干異なります。まず、ファイザー社製とモデルナ社製はいずれも初回接種、追加接種ともに使用できますが、第一三共製は現時点では追加接種にしか使えません。適応年齢は、初回接種はファイザー社製とモデルナ社製が生後6カ月以上、追加接種はファイザー社製が生後6カ月以上、モデルナ社製が6歳以上、第一三共製が12歳以上となっています。

介護施設職員は「任意接種」扱いのため1万5000円前後の費用は全額自己負担に

さてここからも分かるように医療機関や介護施設の職員は、定期接種の対象外なので、もし接種する場合は法的には「任意接種」の扱いとなり、前述の1回接種当たり1万5000円前後の費用は全額自己負担となります。決して安いものではないことは間違いありません。

接種判断を完全に職員個人レベルに任せるか、接種是非を個人の判断としながらも各事業所で接種機会や接種費用の補助をするのかはやや悩ましいかもしれません。ただし、繰り返しになりますが、現時点でも新型コロナのmRNAワクチンには感染・発症・重症化リスクの軽減効果は認められているのは確かです。

厚生労働省「新型コロナワクチン接種をご希望の方へ」

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