独立行政法人福祉医療機構が公開した、2021年度の社会福祉法人の経営状況等についての分析レポートから、介護主体の社会福祉法人における経営状況ならびに人材確保の状況について解説する2回シリーズ。2回目は採用/離職状況について解説します。
2021年度の採用率15.6% 離職率15.1%
介護主体の社会福祉法人における2021年度の採用率は15.6%でその内訳は中途採用が14.3%、新卒採用が1.3%でした。一方、離職率は15.1%で、介護業界内での転職が比較的多く、人材定着に苦慮する状況がみられます。前年度からの推移でみると、介護職に対する処遇改善が進んだことが背景に離職率は横ばいにあるものの、採用率は低下傾向にあることが分かりました。介護サービスの職業の有効求人倍率も低下していて、2019年から2021年にかけての低下幅は、0.71と大きく、こうした背景も主たる事業別の採用率低下の動きに影響したのではないか、とレポートでは分析しています。
必ずしも規模が大きいことで経営が安定しているとはいえない状況
レポートでは、2021年度の社会福祉法人の経営状況は、前年度より赤字法人割合が拡大するなど悪化。長引くコロナの影響によるところも大きいと推察したほか、収益規模の大きな法人であっても約3割が赤字であることから、必ずしも規模が大きいことで経営が安定しているとはいえず、職員確保や教育体制が整わないなかでの大規模化は運営上のリスクにもなる可能性を指摘、拡大には慎重な検討が必要としています。
独立行政法人福祉医療機構「2021年度(令和3年度)社会福祉法人の経営状況について」
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