独立行政法人 福祉医療機構が、機構の貸付先のうち介護老人福祉施設または地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を運営する 3,316 の社会福祉法人を対象に2023年1~2月にかけて実施した「2022 年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査」の集計結果を公表しました。その調査結果をテーマごとに10回にわたりご紹介します。1回目は「人材紹介会社の利用」について。
手数料水準「高い」が人材紹介会社に頼らざるを得ない事情も
正規職員(新卒)または正規職員(中途)を募集する際に人材紹介会社を利用した施設のうち、採用まで至った施設は62.5%で、1年間に人材紹介会社に支払った手数料総額の平均は354.5万円でした。ちなみにこの金額を人材紹介会社を利用した特養の平均サービス活動収益との割合で見ると0.99%となりました。この手数料の水準について、人材紹介会社を利用した特養の82.5%が「とても高い」、17.0%が「やや高い」と回答。実に99%以上の特養が手数料の水準が高いと認識していることが分かりました。
紹介会社を利用して採用し た職員とその他の方法で採 用した職員の定着率の違いについては、54.3%の特養が「同じくらい」と回答、41.7%が「定着率が低い」と回答しました。総合的な人材紹介会社に関する満足度については、「とても満足」「やや満足」と回答した特養は20.1%となりました。
人材紹介会社への不満の内容としては、
・適正な有料紹介事業者の認定を受けていても、活動は非常にいい加減である
・紹介手数料がかかりすぎ。ハローワークが役にたたない。民間紹介を規制制限してほしい
・人材紹介会社からの応募はあるが、採用までいかない
・人材紹介会社がアプローチしてくるので期待して待っているが、先方(求職者)の同意が得られない場合は そのまま返事もない。
などが挙がりましたが、
・施設立地状況から紹介会社を活用するしか採用方法がない
・常勤の正規職員を採用する為には、人材紹介会社に頼るしか手はない
・どうしても紹介会社頼りになって手数料支出がかさんでしまった
などの苦しい胸の内も意見としてありました。
独立行政法人 福祉医療機構「2022 年度特別養護老人ホームの人材確保および処遇改善に関する調査について」
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