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<介護付有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームなど>令和6年度介護報酬改定 改定項目詳細 (4)生産性向上推進体制加算 書面掲示規制の見直し ほか

2024年1月22日に開催された社会保障審議会(介護給付費分科会)で提示された、単位数や算定要件などの令和6年度介護報酬改定の具体的な改定案から介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、軽費老人ホームなどが含まれる、特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護の改定項目について、シリーズでお伝えします。

【新規加算】生産性向上推進体制加算

介護現場における生産性の向上に資する取組の促進を図る観点から、介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入後の継続的なテクノロジーの活用を支援するため、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入し、生産性向上ガイドラインの内容に基づいた業務改善を継続的に行うとともに、一定期間ごとに、業務改善の取組による効果を示すデータの提供を行うことを評価する新たな加算を設けることとする。

加えて、上記の要件を満たし、提出したデータにより業務改善の取組による成果が確認された上で、見守り機器等のテクノロジーを複数導入し、職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていることを評価する区分を設けることとする。

単位数

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)100単位/月(新設)

生産性向上推進体制加算(Ⅱ)10単位/月(新設)

算定要件等

【生産性向上推進体制加算(Ⅰ)】

(Ⅱ)の要件を満たし、(Ⅱ)のデータにより業務改善の取組による成果(※1)が確認されていること。

・見守り機器等のテクノロジー(※2)を複数導入していること。

・職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていること。

・1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

注:生産性向上に資する取組を従来より進めている施設等においては、(Ⅱ)のデータによる業務改善の取組による成果と同等以上のデータを示す等の場合には、(Ⅱ)の加算を取得せず、(Ⅰ)の加算を取得することも可能である。

【生産性向上推進体制加算(Ⅱ)】

・利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催や必要な安全対策を講じた上で、生産性向上ガイドラインに基づいた改善活動を継続的に行っていること。

・見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。

・1年以内ごとに1回、業務改善の取組による効果を示すデータの提供(オンラインによる提出)を行うこと。

(※1)業務改善の取組による効果を示すデータ等について

(Ⅰ)において提供を求めるデータは、以下の項目とする。

ア 利用者のQOL等の変化(WHO-5等)

イ 総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間の変化

ウ 年次有給休暇の取得状況の変化

エ 心理的負担等の変化(SRS-18等)

オ 機器の導入による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の変化(タイムスタディ調査)

(Ⅱ)において求めるデータは、(Ⅰ)で求めるデータのうち、アからウの項目とする。

(Ⅰ)における業務改善の取組による成果が確認されていることとは、ケアの質が確保(アが維持又は向上)された上で、職員の業務負担の軽減(イが短縮、ウが維持又は向上)が確認されることをいう。

(※2)見守り機器等のテクノロジーの要件

見守り機器等のテクノロジーとは、以下のアからウに掲げる機器をいう。

ア 見守り機器

イ インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器

ウ 介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る。)

・見守り機器等のテクノロジーを複数導入するとは、少なくともアからウまでに掲げる機器は全て使用することであり、その際、アの機器は全ての居室に設置し、イの機器は全ての介護職員が使用すること。なお、アの機器の運用については、事前に利用者の意向を確認することとし、当該利用者の意向に応じ、機器の使用を停止する等の運用は認められるものであること。

【基準緩和】生産性向上に先進的に取り組む特定施設における人員配置基準の特例的な柔軟化

テクノロジーの活用等により介護サービスの質の向上及び職員の負担軽減を推進する観点から、令和4年度及び令和5年度に実施された介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業の結果等も踏まえ、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会において、生産性向上の取組に当たって必要な安全対策について検討した上で、見守り機器等のテクノロジーの複数活用及び職員間の適切な役割分担の取組等により、介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていると認められる特定施設について、見直しを行う。

基準

特定施設ごとに置くべき看護職員及び介護職員の合計数について、要件を満たす場合は、「常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が3(要支援者の場合は10)又はその端数を増すごとに0.9以上であること」とすることとする。

(要件)

・利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会において必要な安全対策について検討等していること

・見守り機器等のテクノロジーを複数活用していること・職員間の適切な役割分担の取組等をしていること

・上記取組により介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていることがデータにより確認されること

※安全対策の具体的要件

①職員に対する十分な休憩時間の確保等の勤務・雇用条件への配慮

②緊急時の体制整備(近隣在住職員を中心とした緊急参集要員の確保等)

③機器の不具合の定期チェックの実施(メーカーとの連携を含む)

④職員に対する必要な教育の実施

⑤訪室が必要な利用者に対する訪室の個別実施

人員配置基準の特例的な柔軟化の申請に当たっては、テクノロジーの活用や職員間の適切な役割分担の取組等の開始後、これらを少なくとも3か月以上試行し(試行期間中においては通常の人員配置基準を遵守すること)、現場職員の意見が適切に反映できるよう、実際にケア等を行う多職種の職員が参画する委員会において安全対策や介護サービスの質の確保、職員の負担軽減が行われていることをデータ等で確認するとともに、当該データを指定権者に提出することとする。

注:本基準の適用に当たっては、試行を行った結果として指定権者に届け出た人員配置を限度として運用することとする。

介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていることの確認については、試行前後を比較することにより、以下の事項が確認される必要があるものとする。

ⅰ 介護職員の総業務時間に占める利用者のケアに当てる時間の割合が増加していること

ⅱ 利用者の満足度等に係る指標(※1)において、本取組による悪化が見られないこと

ⅲ 総業務時間及び当該時間に含まれる超過勤務時間が短縮していること

ⅳ 介護職員の心理的負担等に係る指標(※2)において、本取組による悪化が見られないこと

※1WHO-5等※2SRS-18等

柔軟化された人員配置基準の適用後、一定期間ごとに、上記i~ⅳの事項について、指定権者に状況の報告を行うものとすること。また、届け出た人員配置より少ない人員配置を行う場合には、改めて試行を行い、必要な届出をするものとする。なお、過去一定の期間の間に行政指導等を受けている場合は、当該指導等に係る事項について改善している旨を指定権者に届け出ることとする。

【算定要件見直し】外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱い

就労開始から6月未満のEPA介護福祉士候補者及び技能実習生(以下「外国人介護職員」という。)については、日本語能力試験N1又はN2に合格した者を除き、両制度の目的を考慮し、人員配置基準への算入が認められていないが、就労開始から6月未満であってもケアの習熟度が一定に達している外国人介護職員がいる実態なども踏まえ、人員配置基準に係る取扱いについて見直しを行う。具体的には、外国人介護職員の日本語能力やケアの習熟度に個人差があることを踏まえ、事業者が、外国人介護職員の日本語能力や指導の実施状況、管理者や指導職員等の意見等を勘案し、当該外国人介護職員を人員配置基準に算入することについて意思決定を行った場合には、就労開始直後から人員配置基準に算入して差し支えないこととする。

その際、適切な指導及び支援を行う観点、安全体制の整備の観点から、以下の要件を設ける。

ア 一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制とすること。

イ 安全対策担当者の配置、指針の整備や研修の実施など、組織的に安全対策を実施する体制を整備していること。

併せて、両制度の趣旨を踏まえ、人員配置基準への算入の有無にかかわらず、研修又は実習のための指導職員の配置や、計画に基づく技能等の修得や学習への配慮など、法令等に基づき、受入れ施設において適切な指導及び支援体制の確保が必要であることを改めて周知する。

算定要件等

次のいずれかに該当するものについては、職員等の配置の基準を定就労開始就労開始6ヶ月める法令の適用について職員等とみなしても差し支えないこととする。

・受入れ施設において就労を開始した日から6月を経過した外国人介護職員

・受入れ施設において就労を開始した日から6月を経過していない外国人介護職員であって、受入れ施設(適切な研修体制及び安全管理体制が整備されているものに限る。)に係る事業を行う者が当該外国人介護職員の日本語の能力及び研修の実施状況並びに当該受入れ施設の管理者、研修責任者その他の職員の意見等を勘案し、当該外国人介護職員を職員等の配置の基準を定める法令の適用について職員等とみなすこととしたもの

・日本語能力試験N1又はN2に合格した者

【通知改正】人員配置基準における両立支援への配慮

介護現場において、治療と仕事の両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定について、以下の見直しを行う。

ア 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。

イ 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

基準・算定要件等

運営基準の解釈通知及び報酬算定上の留意事項通知について、「常勤」及び「常勤換算方法」に係る取扱いを以下のように改正する。

厚労省資料より

※人員配置基準上の「常勤」及び「常勤換算方法」の計算においては、常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本)勤務している者を「常勤」として取り扱うこととしている。

【省令改正】【通知改正】管理者の責務及び兼務範囲の明確化

提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。

いわゆるローカルルールについて

都道府県及び市町村に対して、人員配置基準に係るいわゆるローカルルールについて、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要があること、事業者から説明を求められた場合には当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにすること等を求める。

【省令改正】【告示改正】【通知改正】「書面掲示」規制の見直し

運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等については、原則として事業所内での「書面掲示」を求めている一方、備え付けの書面(紙ファイル等)又は電磁的記録の供覧により、書面による壁面等への掲示を代替できる規定になっているところ、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイト(法人のホームページ等又は情報公表システム上)に掲載・公表しなければならないこととする。

厚生労働省 第239回社会保障審議会介護給付費分科会

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