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2024年度の介護事業者 倒産件数 2000年度以降で過去最多に

昨年度から介護事業者の経営状況の悪化が伝えられていますが、このほど東京商工リサーチ(TSR)の調査により、2024年度の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産件数は179件で介護保険が施行された2000年度以降で過去最多となったことが明らかになりました。

2024年度の倒産件数前年比36.6%増加

2024年度の倒産件数は前年度の131件から件数で48件、率にして36.6%増加しました。これは、コロナ禍と大型の連鎖倒産が発生した2022年度の144件をも大幅に上回ります。この背景について東京商工リサーチでは「利用者獲得の競争激化、コロナ禍の影響、人手不足、介護用品の高騰など、複数の要因が重なっている」と分析しています。

倒産の業種別では、2024年4月の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられた「訪問介護」の86件(前年度比21.1%増)が最多で、倒産件数全体の半数近い48.0%を占めました。訪問介護での倒産増加は、ヘルパー不足などによるサービス提供の低下も影響していると言われています。訪問介護としての倒産件数も今回は過去最多で、訪問介護分野の厳しい経営状況を示していると言えます。

また、デイサービスなどの「通所・短期入所」は55件(同34.1%増)で2022年の72件に次ぐ過去2番目の高水準で、「有料老人ホーム」は17件(同112.5%増)で前年比2.1倍に増加し、2018年の14件を超え、過去最多を更新しました。有料老人ホームは2024年の介護報酬改定では基本報酬が引き上げられましたが、過去10年で2倍に施設数が増え、昨今では低価格の新規参入増加のあり、競争が激化したことが影響しているとみられます。

売上不振以外の倒産原因も急増

倒産の原因別分析によると、最多は「売上不振(販売不振)」の133件(同27.8%増)、次いで、赤字累積による「既往のシワ寄せ」が15件(同150.0%増)、甘い事業計画など「事業上の失敗」が同じく15件(同400.0%増)。売上不振以外の倒産原因も急増していることがわかります。

倒産した事業者の規模別では、資本金1,000万円未満の企業が157件(構成比87.7%)、従業員10人未満の企業が149件(同83.2%)、負債1億円未満の企業が144件(同80.4%)となっており、小・零細事業者の淘汰が進行しています。これらの小規模事業者は、経営資源が限られているため、外部環境の変化や競争激化に対応するのが難しく、倒産リスクが高まっていると考えられます。

地域別では、東京都の23件、大阪府の18件、神奈川県の11件、兵庫県の10件、愛知県、福岡県の各8件など大都市圏での倒産が目立ちます。都道府県別の負債総額では東京都の44億3,900万円、福岡県の15億8,700万円など倒産件数の多い大都市圏が目立ちますが、大阪府は倒産件数が多いにもかかわらず、負債総額は3億2,400万円にとどまっています。一方、新潟県(倒産件数4件)の16億4,000万円、島根県(同2件)の7億7,000万円など、地域によっても倒産事情は異なるようです。

「2025年度も倒産増は避けられない」との声も

東京商工リサーチでは、最新の介護職員平均給与が増加傾向にあるものの、いまだ全産業平均と比べると大幅に低い現状を引き合いに「人手不足の解消や運営の効率化は、事業者単体での対応には限界があり、処遇改善や物価高への対応、システム面への投資補助など、国の支援拡充がなければ、2025年度も倒産増は避けられないと予想される」との見通しを示しています。

東京商工リサーチ「2024年度「老人福祉・介護事業」の倒産調査」

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