
看護体制加算とは
入所者の身体状況の重度化に伴う医療ニーズや看取り介護に柔軟に対応できるよう、看護職員を配置し、手厚いサービスを提供する事業所を評価する加算です。
現在の看護体制加算は平成18年度(2006年度)の介護報酬改定に向けた議論の際、介護老人福祉施設の入所者で医療的処置を受ける人の割合が年々増加していることや比較的重度の認知症のある入所者の割合が増加している状況を受け、24時間の連絡体制や看取りに関する体制を評価するために新設された「重度化対応加算」が起源となっています。しかし、「重度化対応加算」の算定施設割合は当初の想定を下回りました。これは同加算の算定要件では人員配置について常勤の看護職員ではなく常勤の看護師を1人以上と定め、これを満たせない施設が一部にあったことに加え、配置基準は満たせても、その他の算定要件だった「看取りに関する指針策定」、「看取りのための個室確保」が満たせない施設があることが原因でした。これを受け平成21年度(2009年度)の介護報酬改定で「重度化対応加算」を廃止し、この趣旨を引き継ぎつつ要件を実質的に緩和して新設されたのが現在の看護体制加算です。
看護体制加算(Ⅰ)
看護体制加算(Ⅰ)にはイとロの2種類があり、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設のいずれでも共通する算定の条件が、常勤看護師が1名以上で、定員の超過利用や人員基準に満たしていることです。
看護体制加算(Ⅰ)のイとロの大きな違いは、入所定員がイでは30人以上50人以下、ロでは51人以上です。また、地域密着型介護老人福祉施設では地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費かユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定していることが必要になります。

看護体制加算(Ⅰ)イ
厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設。
<平成27年厚生労働省告示第96号51イ>
⑴ 入所定員が30人以上50人以下であること。(平成30年3月31日までに指定を受けた施設にあっては、31人以上50人以下)
⑵ 常勤の看護師を1名以上配置していること。
⑶ 通所介護費等の算定方法第12号に規定する基準に該当していないこと。
看護体制加算(Ⅰ)ロ
厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設。
<平成27年厚生労働省告示第96号51ロ>
⑴ 入所定員が51人以上であること。(平成30年3月31日までに指定を受けた施設にあっては、30人又は51人以上)
⑵ イ(2)及び(3)に該当するものであること。
看護体制加算(Ⅱ)
看護体制加算(Ⅱ)について、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設のいずれでも共通するのは、加算(Ⅰ)と同様に定員の超過利用や人員基準に満していることに加え、施設の看護職員あるいは病院、診療所、訪問看護ステーションの看護職員との連携で、利用者の急変などの際に24時間連絡できる体制を確保していることです。
介護老人福祉施設の場合は加算(Ⅱ)のイとロがあります。いずれも看護職員の人員配置が利用者25名当たりの常勤換算方法で1人以上で、それ以降は端数を増すごとにさらに1人以上、なおかつ本体の基準の看護職員数よりも1人以上多く配置していることが条件です。そのうえで加算
(Ⅱ)イは入所定員が30人以上50人以下の場合、(Ⅱ)ロは入所定員が51人以上となります。
地域密着型介護老人福祉施設でも加算(Ⅱ)のイとロがあります。加算(Ⅱ)イでは、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費またはユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費、加算(Ⅱ)ロは経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費の算定がそれぞれ条件です。いずれも看護職員の人員配置は常勤換算方法で2人以上です。

看護体制加算(Ⅱ)イ
厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設。
<平成27年厚生労働省告示第96号51ハ>
⑴ イ⑴に該当するものであること。
⑵ 看護職員の数が、常勤換算方法で、入所者の数が25又はその端数を増すごとに1以上であり、かつ、指定介護老人福祉施設基準第2条第1項第3号ロに定める指定介護老人福祉施設に置くべき看護職員の数に1を加えた数以上であること。
⑶ 当該指定介護老人福祉施設の看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
⑷ イ⑶に該当するものであること。
<解説>イ(1)
入所定員が30人以上50人以下(平成30年3月31日までに指定を受けた指定介護老人福祉施設の場合は31人以上50人以下
<解説>イ(3)
定員超過利用減算、人員基準欠如減算をうけていないこと
<解説>入所者の数による計算例
入所者25人を1単位と考え、「端数」とは25人未満を指します。入所者が26人ならば「端数」は1人となります。このため入所者が26人ならば端数は1で、必要な看護職員は「25人(1単位)」で1人、「1人(端数)」で1人で、常勤換算方法で看護職員2人が必要となります。この計算式に則ると、利用者によって以下の常勤換算方式での看護職員が必要になります。
入所者50人 ⇒2人 入所者60人 ⇒3人 入所者75人 ⇒3人
また、指定介護老人福祉施設基準第2条第1項第3号ロに定める指定介護老人福祉施設に置くべき常勤換算方法での看護職員数は以下のようになります。
1.入所者数が30人以下は1人以上
2.入所者数が31人以上50人以下は2人以上
3.入所者数が51人以上130人以下では3人以上
4.入所者数が131人以上では50人以内とその端数の増加に1人以上増員
例えば131人以上180以下では4人、181人以上230人以下では5人となります。この加算(Ⅱ)ではこの数字にさらにプラス1人ということになります。この2つをともに満たすことが必要になるため、例えば入所者数が50人の場合は常勤換算で3人以上が必要になります。
看護体制加算(Ⅱ)ロ
厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設。
<平成27年厚生労働省告示第96号51ニ>
⑴ ロ⑴に該当するものであること。
⑵ ハ⑵から⑷までに該当するものであること。
<解説>ロ(1)
入所定員が51人以上(平成30年3月31日までに指定を受けた指定介護老人福祉施設では30人または51人以上)
<解説>ハ(2)(3)(4)
・看護職員の数が、常勤換算方法で、入所者の数が25又はその端数を増すごとに1以上であり、かつ、指定介護老人福祉施設基準第2条第1項第3号ロに定める指定介護老人福祉施設に置くべき看護職員の数に1を加えた数以上であること
・当該指定介護老人福祉施設の看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること
・定員超過利用減算、人員基準欠如減算をうけていないこと
看護体制加算 Q&A
Q.本体施設が介護老人福祉施設で併設がショートステイの場合は、一体的に加算を算定できますか
A.本体施設と併設のショートステイのそれぞれについて別個に加算算定の可否が判断されます。つまり本体施設と併設のショートステイでそれぞれ常勤の看護師を1 人ずつ配置している場合は看護体制加算(Ⅰ)、本体施設と併設のショートステイでそれぞれ常勤換算で25:1 以上、かつ本体施設では最低基準に加え1 以上の看護職員を配置している場合には看護体制加算(Ⅱ)が算定可能になります。
看護体制加算(Ⅱ)については、本体施設と併設のショートステイを兼務している看護職員は、勤務実態、利用者数、ベッド数等に基づき按分するなどの方法で常勤換算数を本体施設とショートステイに割り振った上で、本体施設とショートステイそれぞれについて加算の算定の可否を判断することになります。
なお、空床利用型ショートステイについては、本体施設で加算(Ⅰ)、(Ⅱ)の算定基準を満たしていれば算定することができます。
Q.本体施設と併設のショートステイの両方で看護体制加算(Ⅰ)を算定する場合、ショートステイの看護師は本体施設の業務に従事してはいけませんか
A.本体施設と併設のショートステイの両方で看護体制加算(Ⅰ)を算定する場合、本体施設とショートステイそれぞれを担当する常勤の看護師が定められていることが必要ですが、ショートステイを担当する常勤看護師が、ショートステイの業務に支障のない範囲で本体施設の業務に従事することを妨げるものではありません。なお、逆に本体施設を担当する常勤看護師がショートステイの業務に従事する場合も同じです。
Q. 本体施設と併設のショートステイを通じて常勤看護師が1人しかいませんが、その1人が特養とショートステイの両方を均等に兼務している場合、本体施設と併設のショートステイのどちらで看護体制加算(Ⅰ)を算定するかは事業者が選択できますか
A.本体施設と併設のショートステイのどちらで看護体制加算(Ⅰ)を算定するかは事業者の選択で構いませんが、算定する事業所を主として勤務を行うようにしましょう。
Q.本体施設50 床+併設ショートステイ10 床の施設が看護体制加算を算定しようとする場合、本体施設である介護老人福祉施設については31 人~50人規模の単位数を算定できますか
A.定員規模に関する要件は介護老人福祉施設のみの定員で判断するため、算定は可能です。なお、この定員規模に関する要件は夜勤職員配置加算についても同様の適用となります。
Q.機能訓練指導員が看護師である場合、看護体制加算(Ⅱ)の看護職員配置に含められますか。看護体制加算(Ⅰ)についてはどうでしょうか
A.看護体制加算(Ⅱ)については、機能訓練指導員となっている看護師が看護職員として業務に従事している実態がある場合は、看護業務に関する勤務時間を常勤換算の看護職員数の中に含めることは可能となっています。ただし、看護体制加算(Ⅰ)については、看護職員としての業務以外に従事する看護師を基に同加算を算定することは望ましくありません。
Q.一部ユニット型施設・事業所が、ユニット型部分とユニット型以外の部分をそれぞれ別施設・事業所として指定された場合、加算算定の要件となっている入所者数に基づいた必要職員数は、それぞれどのように考えればよいのでしょうか
A.入所者数に基づく必要職員数を算定要件としている「看護体制加算」と「夜勤職員配置加算」では、この場合は双方の入所者の合計数に基づいて職員数を算定することになります。この点について夜勤職員配置加算に関する「平成21年4月改定関係Q&A(Vol.1)」(平成21年3月23日)では、「一部ユニット型については、ユニット部分及び多床室部分それぞれで要件を満たす必要がある」としていますが、指定更新の際にユニット型部分とそれ以外が別指定を受けることとなった場合も含め、同一建物内にユニット型とユニット型以外の施設(介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設)が併設されている場合については、それぞれの入所者とユニット数の合計数に基づいて職員数を算出して差し支えありません。
なお、この際、ユニット型施設と従来型施設のそれぞれで1日平均夜勤職員数を算出し、その合計が施設全体として1以上上回っている場合に夜勤職員配置加算が算定できます。ただし、ユニット型施設と従来型施設の入所者のそれぞれの基本サービス費について加算が算定されることになりますので、それぞれの施設で夜勤職員を通常より多く配置する状況が極端に偏りのあるものにならないよう注意が必要です。



