
慢性的な人材不足を背景とした採用費の上昇に加え、食費や水道光熱費、燃料費などの物価高騰が続き、特養などの高齢者施設の経営はますます厳しいものとなっています。ドクターメイトではメールマガジン読者を対象に、2025年10月に「物価高騰の状況とコスト削減対策」に関するアンケートを実施しました。その結果を解説します。
採用費や食費、光熱費など全ての施設で前年度と同じか増加
人件費、採用費、食費、水道光熱費、燃料費の5項目に絞って、2025年度の前年度との経費増減を聞いたところ、全ての施設で「前年度と同じ」もしくは「前年度よりも増加」という結果となりました。特に水道光熱費では半数以上の施設が「大幅に増加した」と回答しています。

増加した費用は「施設で負担」多く
全ての施設で前年度よりも経費が増額していましたが、それを利用者負担額の増加という形で対応している施設は全体の3分の1ほどにとどまり、多くの施設が費用が増加しながらも施設負担でやりくりしていることが分かりました。

具体的な増加内容については
・1日食費の増額 約10%(介護老人保健施設)
・暖房費(10月~翌4月)は灯油代高騰と、猛暑で冷房使用の為の電気代増え、2千円増額し通年徴収に変更。他食費・家賃(修繕費用の高騰)合わせて2,150円増額(グループホーム)
・理美容の値上げによる増額200円(特別養護老人ホーム)
・日の食費を100円/日に増額。管理費を500円値上げ(特別養護老人ホーム)
・食費を、1日あたり100円増額(グループホーム)
とした事例が挙がったほか、
・来年度から食費、居住費を値上げするよう検討中(特別養護老人ホーム)
・今後、検討予定(特別養護老人ホーム)
という声も挙がっていました。
さまざまなコスト削減への取り組み
各施設において実施しているコスト削減への取り組みについて、以下のような回答が寄せられました。
・食材の変更、蛍光灯及びエアコンの電源を切る(特別養護老人ホーム)
・節電・施設設備費の削減(特別養護老人ホーム)
・LEDへの交換やICT導入、光熱水使用の徹底的な見直しなど各種省エネ対策を実施(特別養護老人ホーム)
・お米を麺類に変更(介護老人保健施設)
・ティッシュ等消耗品や食材は、なるべく安い物を選んで購入(グループホーム)
・既存の職員が離職しないように、サポート体制を強化(特別養護老人ホーム)
・電気料金の見直し 事務用品、介護用品業者の見積合わせ、清掃業者マット業者の変更、行事食の見直し(特別養護老人ホーム)
・食費を値上げしない代わりに食事内容がダウンしている(特別養護老人ホーム)
・FAX送信を減らしてメールへ移行。ペーパーレス化の強化。(介護老人保健施設)



