ドクターメイトにご相談いただいた実際の事例の中から,ご了解を得て紹介しています.

看護師

一つお伺いします。時期的に脱水傾向の方が増えてくる時期となってきました。

利用者さまが来所された際、皮膚や口唇、腋かの状態、バイタルサインなどを観察し、明らかな脱水症状が認められた場合は、経口補水液(OS-1®)を飲んでいただいたり、重症の場合は病院受診をすすめたりといった対応をとっています。軽い症状の方の場合、多めの水分対応(水分の種類としては、緑茶、コーヒー、麦茶、スポーツドリンク)と要観察で対応して、体温や血圧が落ち着くのを待つ対応をしています。

その際の水分種類の選択として、緑茶やコーヒーは適切なのか、また、スポーツドリンクは糖分も多い種類もあるため、糖尿病の方への影響はどうなのか、アイソトニック飲料が良いのか、ハイポトニック飲料が良いのか、効率的に水分を吸収させるためには、ある程度の糖分も必要なのでは?など、いろいろ考えていたら混乱してきました。

アドバイスお願い致します。

皮膚科医 青柳

この件は内科の山村先生にご回答いただきましょうか。

内科医 山村

夏場の水分補給はとっても大事ですね.お食事が取れている方の水分補給であれば,水,緑茶,コーヒー,麦茶など糖分,電解質を含まないもので十分補充できます.

たしかに,緑茶,紅茶,コーヒーはカフェインを含み,利尿作用を促しますが,水分が不足しているときには,腎臓が水分を出しすぎないように調整しますので,利用者様の好きな味のもので摂取していだだければ大丈夫です.

高齢者は暑くなると常に脱水傾向にあるので,来所時だけでなく,来所中,帰宅時などにも継続的に水分摂取を促すことも大切です.

スポーツドリンクについては,後ほど返答しますね.

看護師

山村先生、ありがとうございます!

水分補給を嫌がるお客様も多い中、コップに少量の水分で、回数多く促すようにしています。たくさん注いでしまうと、それを見ただけで、拒否されるお客様も中にはいらっしゃいます。

スタッフみんなで声をかけて水分摂取を促すようにしていきます!

内科医 山村

少しずつ,こまめな水分摂取を促されているようで安心ですね.

糖尿病のない方であれば,スポーツドリンクの摂取も問題ありません.

もともとはスポーツの際の発汗,エネルギー消費を念頭につくられた飲み物なので,それほどの発汗,エネルギー消費がないようであれば,あえてスポーツドリンクを選ばなくても結構です.口当たりがいいので,水分摂取を促す上では有用ですね.

スポーツ以外の場合であれば,発熱時や,発熱するほど気温が高いとき,気分不良,体調不良などで食事が摂れないときに,水分,エネルギーを補充するのには便利です.

ただし,持病に糖尿病のある方には原則お勧めしません.スポーツドリンクは糖尿病患者さんが飲むには糖分が多すぎます.汗をかいて脱水しているときに,さらに血糖値が上がってしまうと尿に糖が出ていきます.このとき糖分と一緒に水分が出ていってしまい,さらに脱水が進んでしまいます.

糖尿病をお持ちのかたは,糖分を含まない水,お茶,無糖のコーヒーなどで水分補給を促して下さい.もともとジュース類がお好きなかたであれば,ゼロカロリー飲料で促すのもいいですね.

あまり飲んでくれない方には,レモンなどの風味を加えたり,ラカントやパルスイートなどの人工甘味料で薄く味をつけると飲んでくれるかもしれません.

内科医 山村

スポーツドリンクで水分補給する場合,ハイポトニック飲料をお勧めします.これは吸収が良いからというわけではなく,ハイポトニック飲料のほうが糖分が少ないからです.

スポーツドリンクの浸透圧は主に糖分(ブドウ糖)で調整されています.ナトリウムやカリウムの影響はほんの少しです.アイソトニック飲料は体液の浸透圧に近づけるため,より多くの糖分を含んでいます.ハイポトニックは糖分が少ないので浸透圧がやや低いわけです.

ふだんのお食事が摂れているかたであれば,あえてスポーツドリンクの糖分からエネルギーを取る必要はありません.間食をとるのと同じで血糖値が上がり,普段の3食への食欲が下がってしまう場合もあります.

というわけで,水,お茶などを第1に,口当たりや変化を加えるために味,香りのついた飲み物を工夫してみて下さい.

看護師

詳しく教えていただき、ありがとうございました!水分補給の参考にさせていただきます!

以上,夏場の水分摂取についてのご相談でした.熱中症,脱水対策に大いに役立てていただけると幸いです.