ドクターメイトにご相談いただいた実際の事例の中から,ご了解を得て紹介しています.

看護師

泌尿器科領域の相談です。

うつ病の既往のある方が、精神病院入院中の不適切な対応により、全身の筋緊張、硬直状態をきたすようになり、寝たきり、尿閉となって尿道カテーテル留置、ウブレチド®2.5㎎も服用されていました。1年前に当施設入居後、尿道カテーテル抜去して自尿は順調に出ています。5ヶ月前に薬剤性肝障害にて、すべての内服薬が中止になりました。現在は、肝機能が改善してチラージンのみ服用再開となっています。

排尿について、トイレ誘導も行ってはいますが、排泄パターンが把握しにくい方で、ほとんどオムツでの排泄です。その排尿量が、一度に500~700g、いっきに出るのです。1日の排尿回数は2~3回で、時間もバラバラですが、特に夜間に多いです。

1回でそれだけの量が出るものですから、排尿スピードが驚くほど速く、オムツで受けきれないことがしばしばあり、衣類やシーツまで汚染してご本人にも迷惑をかけていますし、対応する介護職員もとても困っています。

眠前と朝に導尿を行う方法とか、トイレ誘導を増やす、夕食以降の水分摂取は控えていただくなど、様々な対応を試みてきましたが、どれも効果がみられず現在に至っています。何かアドバイスがあればお願いします。

皮膚科医 青柳

泌尿器科医師にも意見を求めてみますので、少々お待ちください。

ちなみに、導尿は有効な手段な気がするのですが、寝る前の導尿では尿得られずに夜間に大量に自尿として出てしまうのでしょうか?

看護師

導尿では、50~150mL程度しか出ないのに、深夜にドバーっと出る感じです。導尿の時間をある程度決めていても、尿が作られて排出する時間が本当にバラバラなので、そのタイミングをねらって導尿するという事が難しいです。

内科医 山村

尿量自体は1日1500~2000mLと、多すぎるわけでもなさそうなので、膀胱の問題のように思われます。1日に3L超えるようであれば、尿崩症、糖尿病など内分泌の異常も疑われます。

すぐに施設で出来る工夫としては、介護負担軽減を優先させるなら、尿道カテーテル留置が望ましいでしょう。留置できない事情(管理の可否、抜去リスク、本人・家族の希望など)があれば、大容量タイプのオムツを使用して漏れないか試してみてもよいかもしれません。

看護師

ありがとうございます。オムツも時々引き裂いておられるくらいなので、抜去リスクもあると思いますし、できれば尿道カテーテル留置は避けたいところではあります。

皮膚科医 青柳

泌尿器科医の意見も踏まえてコメントしますね。

・総尿量は多いわけではなく、多尿の状態ではない。
・1回の排尿量が500mlは確かに多いので、排尿障害はある。
・高齢によるものか、以前に糖尿病やパーキンソン病、脳梗塞、脊椎疾患などの既往があれば神経因性膀胱の可能性がある。
・認知症でトイレの習慣が失われている機能性排尿障害の状態とも考えられる。
・男性であれば前立腺肥大が起きていて、排尿時の抵抗があるため尿がたまるまで出せないという可能性もある。
・便秘があると排尿障害をきたすことがある。

ということです。その上で対処法として、

・男性であればまずは前立腺が肥大していないかを診てみる。超音波検査で簡単にできます。肥大があればαブロッカー(ユリーフ®など)をまずは投与する。
・女性であっても男性であってもエブランチル®は尿道を広げる効果として適応があるため使用してみると良いかも。ただし、血圧が下がることがあるため、低血圧がないか注意する。
・効果がなければ、膀胱の収縮力自体が下がっている可能性があるため、コリンエステラーゼ阻害剤を使用してみる。(ベサコリン®やウブレチド®など、ただしウブレチド®はコリン作動性クリーゼという重篤な副作用があるため注意する)。
・夜間の尿量に困っているということであれば、早めの時間に利尿薬を内服するという手もあるが、排尿経路に問題がないことを確認してから使用するべきである。

ということです。
ご参考になりましたでしょうか?

看護師

詳しくありがとうございました。相談の入居者さまは女性です.処方について、配置医師と相談してみます。

皮膚科医 青柳

追加で「DIBキャップ(http://www.dib-cs.co.jp/urology/goods08/)」を検討してはどうかという意見がありました。

たしかにDIBキャップは導尿カテーテルの先端に蓋のようにして使用するもので、バルーンよりも抵抗が少なく、先端が下着の中に隠れるため自己抜去のリスクが少ないというメリットがあります。

はじめは3-4時間ごとに開放してみて、その様子で開放時間を決めていくと良いのではないかということでした。追加で参考になれば幸いです。

看護師

ありがとうございます。これはすぐにでも試してみたいです。

実は、バルン留置でキャップをすることは考えたのですが、当施設で使用しているキャップは昔ながらのただ差し込むだけのキャップで、使い勝手が悪いので躊躇していたのです。

DIBキャップの存在は初めて知りました。マグネット式で、夜間に介護職員が扱う上でも、負担なくできそうな気がします。ご家族とも相談してみます。ありがとうございました。

皮膚科医 青柳

そう言っていただけて嬉しいです。この方だけでなく、今後同様のケースにも応用できそうですよね。

看護師

ちなみに、長期留置になってもご本人への負担(皮膚刺激など)が最小限に抑えられる尿道カテーテルの製品がありましたら、ご紹介いただけると幸いです。

皮膚科医 青柳

特定の製品というわけではないですが、ラテックス製なのかシリコン製なのかという違いがあります。シリコン製の方が生体への適合性が良いと言われているので、オールシリコン製カテーテルの方が望ましいですね。最近では尿路感染防止に抗菌薬配合のカテーテルも出ています。

看護師

そうなんですね。わかりました。色々とありがとうございました。

以上,尿量が多い入居者さまの排尿管理についてのご相談でした.ドクターメイトではさまざまな専門科の医師によって回答が可能です.泌尿器科特有の医療用品を紹介でき,ご検討いただくことになりました.