豊富な経験を持ち、就業意欲も高い「プラチナナース」が増えている
看護職員として働く人々の数は一貫して増加、2019年末時点で168万人を数えます。しかし、急速に進行する少子化は看護職員の就業構造にも影響を及ぼしており、看護職員の平均年齢は40代半ばとなっています。そうしたなか、日本看護協会では豊富な実務経験を持つ55歳以上の看護職員「プラチナナース」を看護マンパワーを支える重要な存在としてサポートをしています。
55歳以上の看護就業者の数は、2020年末には約36万人と、最近20年間でおよそ3倍に。勤務場所についても、60代以降では介護領域が増加しています。また、日本看護協会が会員を対象に実施した調査では、50代の回答者の9割が定年後も働き続ける意向であることがわかりました。58.9%が「看護職として働き続けたい」と回答。「看護職であるかどうかにはこだわらず、興味や関心の持てる仕事をしたい」も31.2%あり、就業意欲の高さがうかがえます。
プラチナナースの「働きたい」を制度も後押し
プラチナナースの「はたらく」をサポートする公的制度もあります。雇用保険マルチジョブホルダー制度は複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の適用対象者の要件全てを満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。ほかに、65 歳までの雇用の継続を援助、促進する事を目的とした高年齢者雇用継続給付は、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給される制度です。
看護職員の人手不足は特に介護領域において深刻です。介護サービスの質を維持・向上するために、プラチナナースの活用に加えて、一部業務のアウトソースなど、多様な働き方が可能な労働環境の改善が必要でしょう。
日本看護協会「プラチナナースの活躍促進」
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